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福岡県議会の海外活動に関するQ&A

海外活動・ワンヘルス政策編―

県民の皆様からのご質問にお答えします

 福岡県議会の活動について、県民の皆様から多くのご質問やご意見を頂いています。
 本資料では、海外活動と、福岡県が先導してきたワンヘルス政策について、現時点での事実と県議会の考え方をご説明します。
 県の将来にとって必要な活動は、その意義と成果を、できるだけ具体的にお伝えします。
 また、県民の皆様から頂いたご意見やご批判も真摯に受け止めながら、事実関係と県議会の考え方をできるだけ分かりやすくお伝えします。


1.海外活動について

Q. 県議会が海外活動を行う理由は何ですか。

 福岡県議会の海外活動の柱は、ハワイ、タイ、ベトナム、韓国などとの長年にわたる交流・連携です。国と国の関係が難しい時期でも、地域同士のつながりを保っておくことは、観光・経済・教育などの分野で、将来の福岡県の財産になります。
 たとえば日韓関係が冷え込んだ時期も、県議会は日韓友好議員連盟を中心に交流を続け、民間レベルの経済交流が途絶えないよう努めてきました。
 成果は一年ですぐ目に見えるものになりませんが、十年単位では実を結んでいく活動だと考えています。
 なお、福岡県は外国の領事館数が全国第3位(大阪市、名古屋市に次ぐ)で、アメリカ、韓国、中国、ベトナム、タイ、インドの領事館が置かれています。(外務省『駐日外国公館リスト』2025年7月時点)。
 地方都市の中でも国際交流の拠点となっていることは、福岡の大きな特徴です。
 加えて、地方都市では珍しい国連の出先機関である国連ハビタット福岡本部も活動しています。アジアの玄関口であることに加え、福岡が地域外交の重要な役割を担ってきたことが、交流活動の多さにつながっています。
 もう一つ、福岡県ならではの背景があります。海外移住の歴史です。福岡県~海外への移住は、1885年(明治18年)のハワイ移住にはじまりました。戦前・戦後を合わせた移住者数は約5万7千人にのぼり、全国でも4番目の規模です。
 戦後は、県の経済を支えた石炭産業の衰退と炭鉱の閉山に伴う失業対策として、行政が指導し、中南米などへの移住が進められた経緯もあります。
 移住された方々は、言葉も気候も異なる土地で開拓に努め、その勤勉さと誠実さで現地社会の信頼を築いてこられました。その移住者や子孫、アジアを中心に活躍する駐在員らで構成される「海外福岡県人会」は、現在、世界24の国・地域に39団体(公財 福岡県国際交流センター)あります。
 現地に根を張るこのつながりは、他県にはない福岡の財産です。先人が築いた絆を絶やさず、次の世代のビジネス、文化交流、国際課題への連携につなげていくことも、県議会が海外活動を行う理由の一つです。


Q. 「海外視察」と「海外活動」はどう違うのですか。

 大まかに言うと「海外視察」は、海外での調査活動です。
 一方、福岡県議会の「海外活動」は相手との交流です。
 具体的には、上記の「海外視察」に加え、

  1. 福岡県主催の海外でのイベントへの参加 
  2. 相手政府や政府機関からの招聘による交流事業の参加
  3. 相手国への友好訪問等を行っています。

 地域の政府関係者、議会関係者、経済界などと意見交換を行い、福岡県の取組を理解して頂き、また、相互の協力関係を築くことに重きを置いています。
 相手国の都合により、日程や訪問先、面会する要人が直前に変わることもあり、定型的な視察とは性格が異なります。


Q. なぜ感染症やワンヘルスのことで海外まで行くのですか。

 感染症は、ひとたびパンデミックになれば短期間で世界中に広がります。福岡県だけで備えても防ぎきれません。九州が一体となり、さらに近隣諸国と連携して初めて対策が成り立つことは、新型コロナで実証されました。 
 福岡県議会は2020年12月、全国で初めて「福岡県ワンヘルス推進基本条例」を議員提案で成立させました。この理念を諸外国と共有し、連携の輪を広げることが、県民の命と健康を守ることにつながります。(ワンヘルスについては「3.ワンヘルス政策」にて詳しく説明します。)


Q. ホテル代が高額だったのではないですか。

 ご指摘は重く受け止めています。
 近年は海外の物価上昇が日本を大きく上回り、円安も重なって、宿泊費を含む諸経費が円換算で大幅に上がっています。
 その上で申し上げると、議員の側から特定のホテルや部屋を指定したことはなく、移動の利便性や、各国での安全性を考慮して手配業者が提示した中から決定してきました。
 なお、ホテルの選定は福岡県の旅費関係の規定に即したものであると議会事務局から報告を受けています。とはいえ、より安価で安全面にも問題のない宿泊先があるなら、そちらを選ぶべきです。今後は事務局を通じて手配業者に対しても、その方針で提示するよう求めていきます。


Q. 航空機のビジネスクラス利用は必要ですか。

 到着してすぐに公式行事や政府関係者・要人との会談が続く場合があります。そのため、公務遂行上の観点から、国および県の旅費規程に準じて利用しています。
 公務として、既定の範囲内で対応しているものです。


Q. 特定の旅行会社との契約で費用が膨らんだのは問題ではないですか。

 海外活動の契約事務は議会事務局が行っており、議員が業者を指定することはありません。
 円安や航空運賃・現地経費の高騰が費用上昇の大きな要因となったことは事実です。一方で、契約方法や見積りの取り方について、県民の皆様に十分ご納得いただける仕組みであったかは、見直す必要があると考えています。
 これまでの随意契約については、今後、原則として指名競争入札に切り替える方向で見直しを進めています。
 なお、契約事務の詳細については、議会事務局より説明しておりますので、下記リンクをご覧ください。
 福岡県議会の海外活動における契約手続きに関するQ&A


Q. 議員の海外派遣は、どのように決めているのですか。

 各会派の代表者で構成する代表者会議に議員派遣を諮ったうえで、本会議で「議員派遣の件」を議題とし、議決により決定しています。
 議会としての正式な手続きを経て派遣しており、人数は訪問の目的に応じて決めています。
 公費で参加するのは、議長または副議長、会派代表者、議員連盟代表、常任・特別委員会の委員長などです。
 その他の議員が参加する場合の旅費は、個人負担または政務活動費を充てています。
 今後は、誰が、どのような目的で参加したのかについても、より分かりやすい形で公表していくことが重要です。


Q. 報告書が十分に公開されていないのではないですか。

 この点は、これまで不十分であったと率直に反省しています。
 今後は、報告書をきちんと公開し、内容を充実させていきます。
 あわせて、2026年6月から県議会の公式ホームページで、国・地域ごとの交流活動の公開を始めました。
 これまでの「分かりにくい」「見えにくい」状態から、県民の皆様に開いていく方向へ転換しています。
参考:
https://www.gikai.pref.fukuoka.lg.jp/site/diplomacy/


2. 海外活動の具体的な成果

 各国・地域との交流は一度の訪問ですぐに成果が表れるものばかりではありません。
 福岡県議会が取組んできた一つ一つの実績がどのような成果をもたらしてきたか、その一部をご紹介します。


【アメリカ・ハワイ州】

 ハワイ州は、福岡県議会が初めて海外交流を行った相手です。
 福岡県豊前市にルーツを持つジョージ・アリヨシ氏は、1974年に全米で初めて日系人の州知事となりました。同氏の在任中の1981年に福岡県とハワイ州が姉妹提携を結び、翌1982年には福岡県議会とハワイ州議会も提携しました。以来、40年以上にわたり交流が続いています。
 主な成果として、県立水産高校の遠洋航海実習がハワイに寄港できるようになったこと、ワンヘルス教育に早くから取り組むハワイ大学と県内大学との間でワンヘルスに関するMOU、覚書が結ばれたことなどがあります。


【韓国】

 福岡県議会は1975年に日韓友好議員連盟を設立し、慶尚南道議会とは2012年に友好交流協定を締結しました。コロナ禍を除き、毎年相互訪問を続けています。
 2028年の世界卓球選手権福岡大会も、韓国を通じた国際卓球連盟への働きかけが大きなきっかけとなりました。
 近年は、海洋プラスチックごみ問題への共同対応にも取り組んでいます。対馬海峡を挟む日韓共通の深刻な課題であり、福岡県だけ、日本だけでは解決できません。
 県は2023年、服部知事が沿岸8県市道による海岸清掃を提案しました。議会も2025年3月、慶尚南道議会を訪問し、友好交流の協定書とワンヘルスに関する覚書を締結しました。
 長年の交流で築いた関係が、スポーツ大会の誘致や、海洋ごみという共通課題への協力にもつながっています。


【中国】

 1992年に福岡県と江蘇省が友好提携を結び、青少年の囲碁交流大会やスポーツ交流などを重ねてきました。感染症対策の情報共有に加え、福岡にも影響する光化学スモッグ、PM2.5、黄砂などの大気環境改善に向けた技術協力にも取り組んでいます。
 政治レベルで難しい局面があっても、人と技術のつながりを絶やさないことが、環境や健康を守る協力につながります。その一例として、江蘇省南京市「桜園」に桜の木を植樹し、日中交流の証として大切にされています。


【ベトナム社会主義共和国】 

 県議会ベトナム友好議員連盟との交流を背景に、県内の高校による修学旅行が実施され、累計1万人を超える高校生がベトナムを訪れました。
 県内企業のベトナム進出も後押ししており、現在33社が現地で事業を展開しています。
 若い世代の国際理解と、県内企業の海外展開の両面で成果が生まれています。


【タイ王国】

 バンコク都議会との長年の交流により信頼関係を築き、その元議長らの尽力により、2018年に大阪に次ぐ国内2番目のタイ王国総領事館が福岡に開設されました。
 これを機に、福岡-バンコク間の直行便が増便され、タイからの来訪者も増え、宿泊・観光などに新しい需要が生まれています。
 総領事館の開設や直行便の充実は、観光、ビジネス、文化交流の土台となる具体的な成果です。また、県内で減価償却が終わった中古消防自動車10台をタイ国へ寄贈するなどの活動も行いました。


【オーストラリア】

 2015年にシドニーで福岡県人会が発足し、2018年には県議会がニューサウスウェールズ州を訪問しました。以後、交流を重ねています。福岡県とオーストラリアを結ぶ縁の原点は、九州電力の社長を務めた永倉三郎氏にあります。
 永倉氏は1980年代、経済ミッションでニューサウスウェールズ州カウラ市を訪れた際、敵対国であったにもかかわらず日本人戦没者墓地を大切に維持管理するカウラ市民の姿に深く心を動かされました。そして私財を投じて永倉三郎基金を設立し、1993年に「サブロー・ナガクラ・パーク」を開園しました。基金は今もご子息らに引き継がれ、カウラ市の公園などの維持管理に役立てられています。
 2024年は、第二次大戦中の「カウラ日本人捕虜集団脱走事件」から80周年の節目でした。同年4月にカウラ市長一行が知事と県議会を訪問して式典への招待があり、8月には服部知事、香原県議会議長らが記念慰霊式典に参列し、日本人墓地に献花しました。
 この縁を土台に、近年はニューサウスウェールズ州との交流が実利を伴う段階に入っています。
 2023年11月、福岡県とニューサウスウェールズ州は水素分野での協力に関する覚書を締結しました。グリーン水素の供給拠点への転換を進めるニューカッスル港と、北九州市の響灘エリアで水素拠点づくりを目指す福岡県。脱炭素という共通の課題で、企業や大学の連携を進めています。
 スポーツでも、ラグビー、野球、水泳の各競技団体との間で相互交流の覚書を結び、子どもたちが世界に視線を向ける機会をつくっています。
 ラグビーでの縁は、ここでもつながっています。ラグビーワールドカップ2019で福岡開催の機運醸成に力を貸してくださった元オーストラリア代表のニック・ファージョーンズ氏は、永倉三郎基金の理事でもあります。このご縁が、その後のラグビー交流の事業化を後押ししました。
 人と人とのご縁が自治体間の交流に育ち、いまや経済、エネルギー、スポーツの協力へと広がっています。


Q. 国連ハビタットを誘致して、いま福岡県にどんなメリットがあるのですか。

 福岡県、県議会、経済界による約30年前の誘致が、いま福岡にとって「世界へ通じる扉」になっています。国連ハビタット福岡本部は、県・県議会・地域経済界が一体で誘致し、1997年に九州唯一の国連機関として開設されたものです。
 相互交流の約束を交わし、折を見て本拠地を訪ね、関係を育ててきました。
 その縁で、2024年にナイロビの本部を訪ねた際、エジプトでの会合への招待を受け、さらにその流れから、2026年5月にアゼルバイジャンのバクーで開かれた第13回世界都市フォーラムにおいて、福岡セッションが実現しました。176か国から57,000人超が集い、579のイベントが行われた、フォーラム史上最大規模の国際会議です。
 ここで藏内議長が「ワンヘルスアプローチによるレジリエンスなまちづくり」と題し、九州北部豪雨からの復興経験という福岡の取組を世界へ発信しました。
一地方である福岡が、世界の議論の場に名を連ね、経験を発信できる。これこそ、国連機関を誘致し、関係を継続してきた成果の一つです。


Q. 成果を数値で示せますか。

 数値的に目に見えやすいのは、世界規模の学会やスポーツ大会の誘致です。
 福岡県の知名度向上に加え、国内外からの来訪による経済波及効果をもたらします。
 福岡県議会が大きな役割を果たした一例として、福岡県・北九州市で開催されたバレーボールネーションズリーグ2024福岡大会は、福岡県・北九州市での経済波及効果が36億800万円と算出されています。
 こうした大会の開催地に福岡が選ばれる背景にも、長年の国際交流で培った信頼があります。
 2023年に始まったツール・ド・九州は、九州経済連合会の呼びかけで福岡県も参画する国際自転車ロードレースで、九州全体の観光振興と地域経済の活性化につなげてきました。
 2025年の第3回大会の経済波及効果は、九州全体で約28億円と算出されています。
 また、2028年に福岡県での開催が決まった世界卓球選手権も、大きな経済効果が期待されます。2026年のロンドン大会では、チケット総数が約5万9千枚に上り、購入者の約27%が英国外からの来場でした。2028年福岡大会でも、数万人規模の誘客と、宿泊・飲食・交通・観光消費を通じた地域経済効果が見込まれます。


Q. なぜ福岡県議会は、他県と比べて諸外国と多くの関係を築けているのですか。

 ハワイ州との交流を皮切りに、アジア各国との定期的な交流を地道に積み重ねてきたことで、相手国と安定した関係を築けています。これが観光客の受け入れ拡大や、県内企業の海外進出を支える基盤になっています。
 そもそも、福岡はアジアの玄関口です。
 福岡県内の領事館数は大阪市、名古屋市に次ぐ全国3位。アメリカ・韓国・中国・ベトナム、タイ・インドの領事館が置かれています。加えて、国連の出先機関、国連ハビタット福岡本部も活動しています。この関係づくりは、観光、経済、教育、環境、感染症対策など幅広い分野で重要な意味を持ちます。


3. ワンヘルス政策について

Q. そもそもワンヘルスとは何ですか。
 ひと言でいえば、「人の健康は、動物と自然の健康とつながっている」という考え方で、県民の健康を守る運動です。
 新型コロナも鳥インフルエンザも、もとをたどれば動物から人にうつった感染症です。人の医療だけを見ていても感染症は防げず、動物の健康、環境の健全性まで一体で守って初めて、人の命と健康を守ることができます。これがワンヘルスです。
 これは目新しい話ではなく、医学・獣医学の世界で長く積み重ねられてきた考え方です。
 世界では1990年代から議論が進み、2004年にはアメリカ・ニューヨークで開かれた、獣医学・医学・公衆衛生の専門家が集う国際シンポジウムで「マンハッタン原則」が提言されました。
 日本でも2013年に日本医師会と日本獣医師会が学術協力の協定を結び、2016年までに全国すべての地域で医師会と獣医師会が同様の協定を結びました。
 その積み重ねの上に、今のワンヘルスがあります。


Q. 感染症は、人や社会にどのような影響を与えるのですか。

 感染症は単なる医療や保健の問題にとどまりません。人の命はもとより、社会生活や経済活動にまで、広く影響を及ぼします。
 歴史を振り返れば、その規模は明らかです。14世紀のペスト、いわゆる黒死病では、欧州の人口の3分の1以上が失われたとされています。1918年からのインフルエンザ、いわゆるスペイン風邪では、世界人口の約3分の1にあたる約5億人が感染し、少なくとも5,000万人が亡くなったと推計されています。(米国疾病予防管理センター(CDC)推計)。   
 新型コロナ感染症でも、WHOに報告された確認死亡数は世界で700万人を超えており、医療や経済はもちろん、教育や地域活動にも深い爪痕を残しました。
 感染症は、見方を変えれば自然災害の一種と言えます。自然災害には、台風や豪雨などの「気象災害」、地震や火山噴火などの「地殻災害」、そしてウイルスや細菌などによる「生物災害」があります。感染症は、この生物災害にあたります。
 災害である以上、起きてから対応するだけでは間に合いません。日頃から備え、被害を防ぎ、広がりをちいさくしておくことが何よりも大切です。人の健康、動物の健康、環境の健全性を一体で守るワンヘルス。次の感染症に備えるための、重要な考え方です。


Q. なぜ福岡県がワンヘルスに取り組むのですか。

 福岡県は、ワンヘルスの理念を自治体政策として具現化してきた地域だからです。
 2016年に北九州市で開かれた国際会議(第2回世界獣医師会-世界医師会One Healthに関する国際会議)で「福岡宣言」がまとめられ、ここからワンヘルスへの取組が本格的に動き出しました。地方が先頭に立って動いてきたことで、国の政策にも理念が反映されています。
 2023年のG7広島サミットの首脳宣言を受け、国の「骨太の方針2023」に「ワンヘルス・アプローチの推進」が明記され、2026年2月の施策方針演説でも、高市早苗総理がワンヘルスの取組推進に言及し、4月には厚生労働省内に「ワンヘルス対策推進室」が設置されました。
 福岡で進められてきた取組が、国の政策にも反映されているのです。


Q. ワンヘルス予算は適正なのですか。

 このご指摘には、見直すべき点がありました。
 これまで「関連予算」の中に、有害鳥獣の侵入防止柵や研究所の建て替えなど、本来は別の目的で計上すべき事業まで幅広く含めていたためです。
 県はこれを率直に反省し、目的に直接関係する事業に整理し直しました。
 その結果、関連予算は一昨年度の約18億円から昨年度は約5億円となりました。
 ご指摘を踏まえ、基準を整理し直し、数字を分かりやすくしたものです。


Q. ワンヘルスセンターとはどういうものですか。

 法律で県への設置が義務づけられた施設である「保健環境研究所(太宰府市)」と「家畜保健衛生所(筑後市)」は、建設から50年以上が経ち、老朽化が深刻で、ワンヘルスの有無にかかわらず、早急な建て替えが必要な施設でした。
 この二つの施設をみやま市へ移設統合した総合庁舎の呼称を「ワンヘルスセンター」としました。家畜保健衛生所は、この建て替えを機に「動物保健衛生所」の名称が加わります。移設統合の事業費は、保健環境研究所が約163億円、動物保健衛生所が約41億円です。ただし、移転先であるみやま市から土地や一部建物を無償で譲り受けたことで、経費を抑えることができています。


Q. それほどの費用をかける価値はありますか。

 新型コロナでは、九州・山口で1万人を超える命が失われ、2020年度の域内総生産は前年度から約2兆円押し下げられました。福岡県だけでも、2兆5,000億円を超える財政支出を強いられました。
 これに対し、整理後のワンヘルス関連予算は年に約5億円です。次の感染症の被害を防ぐ、または小さくするための備えとして、費用対効果の高い投資だと考えています。
 災害対策と同じく、起きてから慌てるのではなく、起こさないため被害を小さくするために備えるものです。


Q. ワンヘルスは県民に広がっているのですか。

 広がりつつあります。高校生が参加する「ワンヘルス未来会議」では、県へ身近な取組の提案が行われています。市町村や宣言事業者と連携し、県内全域に広げる取組も進んでいます。
 九州・山口が一体となった官民連携の感染症対策や、九州経済連合会内の委員会にプロジェクトチームが立ち上がるなど、企業による産業化の動きも始まりました。
 福岡県が先鞭をつけたワンヘルス条例の動きは、他の自治体にも広がり、多くの自治体が福岡県の事例を学ぶために視察に訪れています。
 教育に基づき、地域に広がる段階に入っています。
 ワンヘルスの取組は、行政だけではありません。感染症対策、動物愛護、環境保全、食の安全、教育など、県民生活に身近な分野とつながっています。


おわりに

 福岡は、古くからアジアの玄関口として世界とつながってきました。
 海外との交流は、観光や企業の進出を支えるだけでなく、感染症や海洋ごみといった、一県だけでは解決できない課題に向き合う足がかりにもなっています。
 ワンヘルスもまた、福岡県が自治体政策として全国に先駆けて進め、地方から国の政策を動かしてきた取組です。
 いずれも、すぐに目に見える形になるものばかりではありません。
 だからこそ、その意義と成果を、これからも具体的にお伝えしていく責任があると考えています。
 海外活動やワンヘルス政策に意義があることと、費用・契約・報告・公表のあり方を不断に見直すことは、分けて考えるべき問題です。報告書の公開や契約の競争入札など、改めるべき点は素直に見直しを進めています。説明を尽くしながら、県の将来にとって必要な活動を続けてまいります。

 

※本資料は2026年6月時点の事実関係に基づいています。
 状況の変化に応じて適宜更新します。

 

福岡県議会外観画像


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