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令和4年12月定例会の知事議案説明要旨

当初提出議案(令和4年12月1日)

 本日ここに、第20回福岡県議会定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、ご参集いただき、厚くお礼申し上げます。

 本県における新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数は、10月下旬以降、緩やかながらも増加傾向が続いており、それに伴い、病床使用率も徐々に上昇し、現在は30%程度で推移しています。
 また、オミクロン株の亜系統が本県においても新たに検出され、今後、置き換わりが懸念されることや、これからクリスマスや年末年始を控え、人と人との接触機会が増加すること、さらに、インフルエンザが同時流行する可能性もあり、コロナの感染拡大が収まらなければ、医療への負荷が高まるおそれがあります。
 このような状況を踏まえ、県民及び事業者の皆様に対し、感染防止対策の再確認と徹底、早めのワクチン接種の検討、コロナの抗原定性検査キットや解熱薬の早めの購入などを呼びかけてきたところです。
 県では、県民の皆様の命と健康を守るため、引き続き、医療提供体制の充実・強化に取り組んでまいります。
 まず、市町村と連携してオミクロン株対応ワクチンなどの接種を促進するとともに、ノババックス製ワクチンの県による接種を継続します。インフルエンザワクチンについても、65歳以上の方など定期接種の対象の方をはじめ、早めの接種を呼びかけてまいります。
 次に、発熱外来のひっ迫を回避し、必要な方が適切に医療にアクセスできるよう、発熱外来の拡充を図るとともに、多数の発熱患者が発生し、国のレベル分類の「レベル3」となる段階を目安に、重症化リスクの低い方がオンラインで診療を受けることができる「新型コロナ自宅療養者オンライン診療センター」を新たに開設します。また、「レベル3」の段階においてインフルエンザ警報の発動を目安に、「インフルエンザオンライン診療センター」を新たに開設します。なお、今後の感染状況等に応じて機動的に開設できるよう、現在、準備を進めているところです。
 患者からの問合せ等に対応する発熱外来の負担軽減と患者の円滑な受診につなげるため、外来の混雑状況等をスマートフォン等で確認できるシステムも新たに構築します。
 感染がさらに拡大した場合には、診療・検査体制を強化するため、新たに休日・夜間に開設する発熱外来や、その処方箋を受け付ける調剤薬局に対し、協力金を給付します。
 これらの取組に加え、65歳未満の重症化リスクの低い有症状者や濃厚接触者に対する抗原定性検査キットの無料配付を行います。また、感染不安を感じる無症状者を対象とした無料検査、入所系や通所系の高齢者施設等職員を対象とした頻回検査、健康フォローアップセンターによる自宅療養者の支援などを継続することにより、今後とも、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図ってまいります。

 この議会に提案しております議案は、29件であります。その内訳は、予算議案2件、条例議案12件、工事請負契約の締結に関する議案10件、その他の議案5件であります。

 まず、予算議案について、ご説明申し上げます。
 今回の補正予算は、事業費及び給与費の補正であります。
 事業費につきましては、地域経済の活性化と成長・発展に要する経費のほか、新型コロナウイルス感染症対策、県議会議員選挙の実施に必要な経費を措置しております。
 給与費につきましては、去る9月21日、人事委員会から「福岡県の職員の給与等に関する報告及び勧告」がありましたので、勧告制度の趣旨及び国家公務員に対する国の取扱い等を勘案し、総合的に検討をしてまいりました。その結果、勧告どおり、給料月額及び期末勤勉手当の引上げなど、給与の改定を実施することとしました。併せて、特別職の職員及び県議会議員の期末手当についても、一般職の職員の期末勤勉手当の状況に鑑み、引き上げることとしております。
 これらの結果、補正予算の額は、一般会計で154億700万円余となり、補正後の一般会計の総額は、2兆2690億9200万円余となります。
 一般会計の歳入は、国庫支出金、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」、繰越金などを計上しております。

 次に、補正予算の主な項目について、ご説明申し上げます。
 まず、地域経済の活性化と成長・発展であります。
 第一は、「事業継続の支援」であります。
 依然として続くエネルギー価格や物価高騰などの影響を受ける事業者に対し、その事業活動が継続できるよう、機動的な支援を行ってまいります。
 地域における個人消費を喚起し、商店街をはじめとした地域経済を下支えするため、商工会議所・商工会等が行うプレミアム付き地域商品券の発行を支援するとともに、物価高騰に伴う発行経費の増加分に対する助成を新たに実施します。
 また、キャッシュレス商品券の普及を一層進めるため、購入サポート窓口の設置等に係る経費に対する助成を行います。
 「福岡県版Go To Eat」キャンペーンとして、県独自のプレミアム付き食事券を新たに発行し、厳しい経営環境にある飲食店の売上回復を支援します。食事券は感染防止認証店での利用とし、コロナの感染拡大により県民の皆様に対し行動制限を要請した場合は、販売を停止するとともに利用の自粛をお願いすることとしております。
 原油価格高騰の影響を受けている農業者の負担軽減を図るため、米麦の共同乾燥調製施設に係る燃料代の一部を助成いたします。
 第2は、「危機に強い経済構造の実現」であります。
 今後も起こり得る社会経済情勢の変化に対し、柔軟に対応できる経済構造を作っていくため、中小企業や農業分野における生産性向上など、引き続き明日につながる取組を支援してまいります。
 水際対策の緩和により拡大が見込まれるインバウンド需要を県内全域に波及させるため、県内周遊ツアーを造成する県内旅行会社に対し、誘客数に応じた助成を行います。
 デジタルデータを活用して、生産性を向上させる農業DXに取り組む農業者に対し、ロボットコンバインや総合環境制御システムなどのスマート農業機械の導入を支援し、燃料や農薬使用量の低減による生産コストの縮減を進めてまいります。
 福岡市が進める那珂川の「リバーフロントNEXT」と連携し、那珂川沿いの天神中央公園のライトアップを進めるため、来年度の公共事業費を一部前倒しする債務負担行為を措置し、工事の早期完了を図ってまいります。

 次に、新型コロナウイルス感染症対策であります。
 インフルエンザとの同時流行に備え、オンライン診療センターの設置や発熱外来等に対する協力金の支給のほか、発熱外来の混雑状況を確認できるシステムの構築を行ってまいります。
 第8波による感染拡大に備え、PCR等検査費や医療費の自己負担分の支援に要する経費を増額しております。
 なお、症状はないものの、感染不安を感じる方を対象とした無料検査について、必要な経費を増額しております。

 このほか、来年4月に行われる予定の県議会議員選挙及びその啓発に要する経費を措置しております。
 以上が補正予算の概要であります。

 次に、条例議案について、ご説明申し上げます。
 第1は、「福岡県営住宅条例の一部を改正する条例」であります。その内容は、単身世帯の増加など県営住宅を取り巻く環境が変化している状況に鑑み、入居者資格である同居親族要件の見直しを行うほか、所要の規定の整備を行うものであります。

 第2は、「福岡県森林環境税条例の一部を改正する条例」であります。その内容は、「福岡県森林環境税条例」の附則の規定に基づき、条例の施行状況等を勘案し検討を加えた結果、これを延長し、施行後20年を目途に再度検討を加えることとするものであります。
 そのほか、福岡県職員、公立学校職員及び警察職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例3件、関係法令の一部改正に伴い所要の規定の整備を行う条例5件などであります。

 工事請負契約の締結に関する議案は、農業水利施設保全対策事業六合南部地区排水機補修工事ほか3件について契約を締結するもの及び県営排水対策特別事業浮島地区排水機製作据付工事ほか5件について議決内容の一部を変更するものであります。

 その他の議案は、来年度の当せん金付証票の発売額及び本県が所管する公の施設のうち七施設に係る指定管理者の指定について、県議会の議決を求めるものであります。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。

追加提出議案(令和4年12月13日)

 本日、追加提案いたしました議案は、予算議案2件であります。

 今回の補正予算は、国の総合経済対策を最大限活用し、地域経済の活性化と成長・発展、次代を担う「人財」の育成、新型コロナウイルス感染症対策に要する経費のほか、安全・安心の確保に必要な経費を追加するものであります。
 補正予算の額は、一般会計で696億5200万円余、企業会計では、流域下水道事業で9億3500万円余をそれぞれ増額しております。
 その結果、一般会計の総額は、2兆3387億4500万円余となります。
 一般会計の歳入は、国庫支出金及び県債などの特定財源のほか、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」、地方交付税を計上しております。

 補正予算の主な項目について、ご説明申し上げます。
 まず、地域経済の活性化と成長・発展であります。
 第1は、「事業継続の支援」であります。
 中小企業のコロナ関連融資からの借換えや、経営改善の取組などの新たな資金需要に応え、資金繰りを支援するため、県制度融資に「経営改善借換資金」を創設し、売上高減少等の要件を満たした事業者については、事業者が負担する保証料を県が全額負担します。
 現在多くのご利用をいただいている「新たな福岡の避密の旅」観光キャンペーンについて、宿泊や旅行商品の料金に対する割引支援及び地域クーポン券の発行を1月以降も継続し、観光関連業界を支援してまいります。

 第2は、「危機に強い経済構造の実現」であります。
 ものづくり中小企業のデジタル技術を活用した製品開発や新たな生産方式の導入等を支援するため、国の補助率を県独自に嵩上げし、事業者負担を4分の1に軽減します。
 経営革新計画を策定し、売上拡大に向けた新商品・新サービスの開発に取り組む中小企業に対する助成費を増額しております。
 中小企業における、事業承継を契機とした販路拡大のための新たな事業展開や、インボイス制度への対応も見据えたデジタル化を支援するため、国の補助率を県独自に嵩上げし、事業者負担を軽減いたします。
 農業分野では、営農組織が行う農地の団地化や土壌診断、ドローンを使った農薬散布等を支援し、県産麦・大豆の生産拡大、生産性と品質の向上を図ります。
 台風被害を軽減し、収益力の強化につながる低コスト耐候性ハウスの導入や農作物直売施設の整備等に対する助成費を計上しております。
 本県が誇る八女茶の輸出を拡大するため、農林業総合試験場八女分場に製茶設備を増設し、輸出先に対応した病害虫防除体系の開発を進めます。
 林業では、県産木材の生産力を強化するため、高性能林業機械の導入や木材加工施設の整備等を支援します。
 原油価格高騰の影響を受ける、きのこ生産者に対し、木質バイオマスボイラーなどの設備導入を支援し、省エネ化による経営強化を進めてまいります。
 水産業では、県産水産物の輸出を拡大するため、福岡市中央卸売市場の冷蔵施設の整備を支援するとともに、マダイなど輸出対象水産物の増産のため、筑前海に人工魚礁を設置いたします。
 野生イノシシの豚熱遺伝子検査の精度向上のため、中央家畜保健衛生所に高性能PCR検査機器を整備します。

 次に、次代を担う「人財」の育成であります。
 飲食事業者の人材確保対策として、店長など店舗の運営管理責任者等に対し、シフト管理や労働環境改善のための講習会を実施するとともに、就職希望者に対し、個別相談からマッチングまで一貫した就職支援を新たに行います。
 農業高校の学習内容にハウス内環境の遠隔監視システムなどスマート農業機器を活用した実習や先進農家へのインターンシップを新たに導入し、DXに対応した農業人材の育成を図ってまいります。
 公立中学校における休日の部活動の地域移行を円滑に進めるため、県の移行方針等を検討する協議会を設置するとともに、市町村に対しても、地域における協議会開催経費を支援してまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策であります。
 人の往来が増える年末年始の感染対策を徹底するため、県外からの帰省者や旅行者等が受検できる無料検査を実施します。
 幼稚園や県立学校、私立学校、放課後児童クラブ等が感染防止のために行う消毒液等の衛生用品の購入を支援いたします。

 最後に、安全・安心の確保であります。
 第1は、「安全で安心な地域づくり」であります。
 子どもの安全を守り、保護者の不安を解消するため、幼稚園、届出保育施設、障がい児支援施設、小中学校、特別支援学校が行う、送迎用バスの安全装置や登園管理システム等の導入を新たに支援いたします。
 公的施設サービスにおいて、子どもの送迎に携わる全ての職員に対し、安全管理のための研修を実施し、県指針に基づく送迎安全マニュアルの確実な実施を図ってまいります。
 妊娠から出産・子育てまで切れ目のない子育て支援につなげるため、新たに妊娠8か月前後の面談を実施するなど相談支援の充実を図るとともに、妊娠届出時及び出生届出時にそれぞれ5万円相当の出産・育児支援金等を支給します。
 生活福祉資金の特例貸付を借り受けた方の償還猶予相談や生活再建支援に対応するため、自立相談支援事務所の相談支援員を増員します。
 霊感商法等の被害を防止し、消費者の安全・安心を確保するため、霊感商法被害の事例や悪質商法の相談窓口を周知してまいります。
 県民のマイナンバーカード取得を促進するため、大型商業施設や企業等において、出張申請サポートを実施し、県内すべての未取得者に対する申請手続きを支援します。

 第2は、「防災・減災、県土強靱化」であります。
 近年の豪雨による災害の激甚化・頻発化に対応するため、河川の改修工事や、土石流が発生した箇所への砂防ダム等の設置など災害防止対策を集中的に実施してまいります。
 緊急輸送道路や河川の護岸の整備、港湾の老朽化対策のほか、ため池等の安全対策を進めてまいります。
 また、盛土等による災害の発生を防止するため、規制区域の指定に向けた基礎調査を開始いたします。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上金曜なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。