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令和4年9月定例会の知事議案説明要旨

当初提出議案(令和4年9月9日)

 本日ここに、第19回福岡県議会定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、ご参集いただき、厚くお礼申し上げます。

 本県における新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数は、第7波による感染拡大により、7月21日に初めて1万人を超え、8月19日には過去最多の1万5,723人となった後、減少傾向にあり、現在は概ね5千人前後の規模で推移しております。
 このような中、本県では、感染拡大に伴い、病床使用率が50%を上回り、医療現場への負荷が増大したことから、7月22日に福岡コロナ特別警報を発動し、県民及び事業者の皆様に対し、基本的な感染防止対策の徹底と、医療を守るためのご協力をお願いするとともに、高齢者など重症化リスクの高い方の命と健康を守るため、医療提供体制や検査体制の充実・強化に取り組んでまいりました。
 入院患者を受け入れる病床については、その確保に努め、特別警報発動後、新たに343床を増床し、確保病床数は2,024床となりました。
 発熱外来については、受診者の急増により、高齢者や基礎疾患をお持ちの方など重症化リスクの高い方が診療・検査を受けづらい状況が発生しました。このため、「キット配付・陽性者登録センター」を開設し、重症化リスクの低い40歳未満の有症状者に対しては、抗原定性検査キットの配付を開始しました。
 また、他地域との往来も活発なお盆を控え、8月中の休日等におけるコロナ診療・検査体制の強化を図るため、発熱外来のうち、休日等の診療・検査を新たに行う医療機関に対する協力金の支給を実施しました。
 本来であれば、県議会に必要な予算をお認めいただいた上でこれらの対策を実施すべきところでありましたが、県議会の深いご理解と特段のご配慮により、迅速に対応することができました。改めて厚くお礼申し上げます。
 抗原定性検査キットの配付につきましては、8月8日から受付を開始し、その後、運用状況を踏まえ、対象を65歳未満に拡大するとともに濃厚接触者を追加し、これまでに約25万キットを配付しております。
 8月中の休日等におけるコロナ診療・検査体制の強化につきましては、新たに211か所の医療機関から協力を得ることができました。
 ご協力いただきました医療機関の皆様に対し、心から感謝申し上げます。新規陽性者数は減少傾向にありますが、病床使用率は未だに50%を上回っており、引き続き強い警戒感を持って対応しなければなりません。
 今後も医療の逼迫を回避しながら、重症化リスクの高い方をはじめ、県民の皆様のかけがえのない命と健康を守り抜いていくため、医療提供体制や検査体制の充実・強化に努めてまいります。
 また、医療現場への負荷を軽減し、重症化リスクの高い方を守るため、陽性者の届出対象について、9月26日から全国一律の見直しが実施されることとなりました。県では、北九州市、福岡市、久留米市とともに、発生届の対象外となる方がこれまでどおり必要なときに相談でき、適切な医療支援や生活支援を受けられる体制の整備を進めてきたところであり、今後、全国一律の見直し時期に合わせて見直しを実施してまいります。

 この議会に提案しております議案は、25件であります。その内訳は、予算議案2件、条例議案5件、工事請負契約の締結に関する議案12件、経費負担に関する議案6件であります。

 まず、予算議案について、ご説明申し上げます。
 今回の補正予算は、コロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策、新型コロナウイルス感染症対策及び安全・安心の確保に要する経費のほか、地域活性化に必要な経費を措置しております。
 補正予算の額は、一般会計で800億8,000万円余となり、その結果、一般会計の総額は、2兆2,464億3,300万円余となります。
 一般会計の歳入は、国庫支出金及び県債などの特定財源のほか、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」、繰越金を計上しております。

 次に、補正予算の主な項目について、ご説明申し上げます。
 まず、コロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策であります。
 第一は、「事業継続の支援」であります。
 原材料や資材価格高騰などの影響を受ける事業者に対し、その事業活動が継続できるよう、引き続き機動的な支援を行ってまいります。
 仕入価格の高騰により利益が一定以上減少した中小企業の資金繰りを支援するため、県制度融資に全業種を対象とした「物価高騰特別枠」を創設し、保証料については全額県が負担します。
 観光産業の振興のため、本県を修学旅行の行程に組み込んだ県内外の学校に対するバス代の助成費を増額し、誘致を加速してまいります。
 また、農業分野では、肥料価格の高騰により厳しい状況が続いている本県農業を支援し、ワンヘルスの推進にもつなげるため、国の肥料購入助成の要件である2つの化学肥料低減の取組を上回る3つの取組を実施する農業者に対し、県独自の上乗せを行ってまいります。
 飼料輸入価格の急激な高騰に直面する畜産農家を支援するため、県独自の支援策として配合飼料及び乾牧草の購入に対する助成を新たに実施いたします。
 さらに、原油価格高騰の影響を受けながらも、運賃への転嫁が難しい地域鉄道、乗合バス、タクシー事業者に対して燃料代を助成し、県民の皆様の移動手段である公共交通を支援してまいります。
 このほか、物価統制令に基づき料金の上限が定められている普通公衆浴場の燃料代に対する助成費を計上しております。

 第2は、「危機に強い経済構造の実現」であります。
 社会経済情勢の様々な変化に対し、柔軟に対応できる経済構造を作っていくため、中小企業や農業分野における生産性向上や人材の確保・育成など、明日につながる取組を引き続き支援してまいります。
 人材の確保が喫緊の課題となっている県内半導体関連企業を支援するため、県内外の理工系学生を対象に、企業の技術や魅力を伝えるプロモーションツアーやウェブインターンシップを新たに実施いたします。また、実務経験を持つ転職希望者を対象に、遠方からでも多くの企業との面談が可能となるオンライン面接会を新たに開催いたします。
 高等技術専門校で機械加工などを学ぶ訓練生に対し、県内半導体関連企業でのOJT訓練を通して、就職支援員によるきめ細かなマッチングを実施します。
 県内半導体関連企業における高度技術人材育成のため、「システム開発技術カレッジ」において、県内中小企業等の若手社員を対象とした半導体に関する基礎講座の配信を開始します。
 また、デジタル技術を活用した生産性向上に取り組む中小企業に対し、生産工程の合理化のための設備導入費を助成し、中小企業におけるDXを推進してまいります。
 厳しい経営環境を乗り越えるため、中小企業が取り組む新技術や新製品の開発費に対する助成を実施します。
 工業技術センターに、金型を補修し、長寿命化を図る金属粉末製造装置などの機器を新たに導入し、中小企業の製品開発費の低コスト化を支援します。
 水素エネルギー普及の切り札として期待されるFCトラック(燃料電池トラック)の先進拠点を目指し、県内物流事業者の導入を支援するとともに、業界における導入意欲を喚起するため、県トラック協会と連携して、取得した運行データ等の情報発信及び試乗会を新たに実施します。
 トラック運送事業者が燃費向上のために行うエコタイヤの購入に対し、新たに助成を行います。
 さらに、本県を代表するブランド農産物「あまおう」を高い品質で生産する熟練者「あまおうの匠」の技術を次代に伝えるため、新規就農者を対象にリモートでの個別指導を実施します。指導に当たっては、匠の視点を「見える化」するアイカメラなどの先端機器を活用し、技術の早期習得を図ってまいります。
 併せて、農業大学校においても、即戦力の「あまおう」農家を育成するため、作業者の映像をリアルタイムで伝達できるスマートグラスなどの先端機器を取り入れた効率的な実習を実施します。
 輸入価格が高騰している配合飼料原料の自給率向上を図るため、転作して飼料用トウモロコシを生産する水田農家や、飼料用米及びトウモロコシから餌の自給生産を図る畜産農家の機械導入に対し、新たに助成します。
 このほか、自動化された生産工程のプログラム制御から保守・点検までを行うことができる即戦力人材を育成するため、高等技術専門校に実習用機器を導入いたします。

 次に、新型コロナウイルス感染症対策であります。
 第7波による感染拡大を踏まえ、PCR等検査費や医療費の自己負担分の支援、発熱外来の逼迫を防ぐための抗原定性検査キットの無料配付、入院病床や宿泊療養施設の確保など下半期における医療提供体制等の強化に必要な経費を計上しております。
 また、市町村におけるワクチン接種を支援するため、県独自の接種会場の設置・運営などに要する経費を計上しております。

 次に、安全・安心の確保であります。
 通学路及び交差点の改良工事や道路の拡幅、砂防施設の設置のほか、流域治水を進めるための農業用ため池の整備等に要する経費を増額いたしました。
 また、児童虐待の未然防止や早期発見のため、SNS相談窓口を新たに開設し、子どもや保護者がより相談しやすい環境づくりを進めてまいります。

 地域活性化では、2024パリオリンピックにおいて新たに採用されるダンス競技「ブレイキン」のアジア初の大会として、来年2月24日から2日間にわたって開催される「ブレイキンワールドシリーズ北九州大会」に北九州市とともに、共催者として参画します。
 本県が推進するワンヘルスの実践を進めるため、体験型学習や乗馬体験、ドッグランによるアニマルセラピーを通して、人と動物の健康や環境について学び、体験できる「ワンヘルスパーク」をセントラルパーク内に整備します。
 閉鎖中のパピオアイスアリーナについて、県から西部ガスや日本スケート連盟に求めていた施設の持続的な運営計画や選手育成の強化拠点に指定する方針が示されたことから、再開に必要な施設改修経費を福岡市と共同で支援することとしております。
 以上が補正予算の概要であります。

 次に、条例議案について、ご説明申し上げます。
 第1は、「福岡県農林水産関係手数料条例の一部を改正する条例」であります。その内容は、豚熱の発生を予防するために実施する家畜防疫員による家畜の注射に係る手数料等について定めるほか、所要の規定の整備を行うものであります。

 第2は、「福岡県都市公園条例の一部を改正する条例」であります。その内容は、筑後広域公園内の屋根付き広場の占用利用開始に伴い、新たに利用料金の上限を定めるものであります。

 そのほか、民生委員の定数を改める条例及び関係法令の一部改正に伴い所要の規定の整備を行う条例などであります。

 工事請負契約の締結に関する議案は、一般県道保木吉井線長野橋上部工建設工事ほか7件について契約を締結するもの及び一般国道322号香春大任バイパス1号トンネル本体工事ほか3件について議決内容の一部を変更するものであります。

 経費の負担に関する議案は、農業農村環境整備事業ほか5件について、市町の負担すべき金額を定めるものであります。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。

追加提出議案(令和4年9月29日)

 このたび、台風第14号及び第15号により、各地で大規模な被害が発生しました。お亡くなりになられた方に対し、深く哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 本日、追加提案いたしました議案は、予算議案1件であります。

 今回の補正予算は、9月20日の新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費使用の閣議決定を踏まえ、コロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策に要する経費を追加するものであります。
 補正予算の額は、一般会計で72億5,200万円余となり、その結果、一般会計の総額は、2兆2,536億8,500万円余となります。
 一般会計の歳入は、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を計上しております。

 補正予算の内容について、ご説明申し上げます。
 電力・ガス・食料品等の物価高騰の影響を受けている、医療機関、介護サービス事業所、障がい福祉サービス事業所など県民の命と健康を守る施設や、保育所、児童養護施設、私立幼稚園・小中学校、子ども食堂など将来を担う子どもの学びや成長を支える施設のほか、本県の農業を支える農業水利施設に対し、新たに光熱費等を緊急に助成し、県民の生活に密着した医療・福祉・教育などのサービスの継続を目指してまいります。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。