トップページ > 本会議の情報 > 令和3年2月定例会 >令和3年2月定例会の知事議案説明要旨

令和3年2月定例会の知事議案説明要旨

当初提出議案(令和3年2月22日)

※知事職務代理者が説明を行った。

 議案の説明に入ります前に、発言をお許しいただきたいと思います。
 私は、1月22日から小川知事の職務を代理しております。その責任は極めて重大であり、誠心誠意職務を全うする決意であります。県議会の皆様におかれましては、ご指導、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 田中久也議員が昨年12月30日にご逝去されました。田中議員には、第39代県議会議長をはじめ、半世紀の長きにわたり、県政の発展を力強く支えていただきました。これまでのご功績に敬意を表し、深く感謝を申し上げますとともに、心からご冥福をお祈り申し上げます。

 本日ここに、第11回福岡県議会定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、ご参集いただき、厚くお礼申し上げます。
 このたびの議会は、国の補正予算に係る総合経済対策の効果を速やかに発揮させるための令和2年度補正予算、これと一体となった14か月予算となる令和3年度当初予算をはじめ、多くの重要な案件についてご審議をお願いするものであります。
 議案の説明に先立ち、まず県政運営に関する基本的な方針を申し上げ、議員各位をはじめ、県民の皆様のご理解と、より一層のご協力をお願い申し上げる次第です。

 新型コロナウイルス感染症が世界規模で拡大し、陽性者数は1億人を超えました。我が国での陽性者数も40万人を超え、死亡者数は7,000人を超えました。お亡くなりになられた方々に対し深く哀悼の意を表し、今も闘病生活を送られている方々の1日も早いご回復をお祈り申し上げております。また、自らの感染リスクを顧みず奮闘されている医療関係者の皆様をはじめ、様々な現場で社会を支えていただいている皆様に心から敬意を表し、感謝を申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症の影響は、人々の生命や生活のみならず、経済、社会、さらには人々の行動、意識、価値観にまで多方面に波及しています。国際的な連携・協力のもと、ワクチンや治療薬の開発が進められ、我が国においても医療従事者に対するワクチン接種が始まったところです。1日も早くこの新型コロナウイルス感染症を封じ込め、経済を回復させ、安心して生活できる社会を取り戻さなければなりません。
 先月13日、国は、本県を緊急事態宣言の対象区域に追加いたしました。これを受け、県では、県民に対する不要不急の外出・移動の自粛や飲食店等に対する営業時間の短縮などを要請したところです。
 皆様のご理解とご協力により、新規陽性者数が減少する一方で、医療提供体制については依然として厳しい状況が続いていることから、緊急事態宣言は、3月7日まで延長されました。引き続き、国や市町村、医療機関とも連携しながら、感染拡大の防止、ワクチン接種体制の整備及び医療提供体制の強化に全力を挙げてまいります。
 この新型コロナウイルス感染症は、「人獣共通感染症」と言われています。人の健康、動物の健康、これらを取り巻く環境の保全は相互につながっています。「福岡県ワンヘルス推進基本条例」に基づき、ワンヘルスの理念に則した取組みを進め、その理念を実践する中核的な拠点施設を整備するとともに、「アジア防疫センター(仮称)」の誘致に取り組む専任の組織を設置する方向で検討してまいります。

 このような中、日本経済は依然として厳しい状況にあるものの、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが見られるところです。本県経済につきましても、消費に足踏みが見られるなど、依然として厳しい状況にありますが、生産や輸出を中心に持ち直しの動きが見られます。
 県民の皆様のご協力をいただきながら、1日も早く感染を収束させるとともに、国や市町村とも連携し、地域経済の立直しに全力を尽くしてまいります。

 こうした厳しい時こそ、将来の発展の種をまき、芽を育てることが大事です。ポストコロナに向けて、新たなスタートダッシュが切れるよう、その準備、基盤づくりを怠りなく進めるため、次の3つの事項に重点的に取り組んでまいります。

 まず、第1に、「新たな成長産業の創出」です。
 本県は、ロボット、IoT、バイオなど、成長分野における産学官が連携した活動が活発であり、優れた技術を持つ企業と九州大学などの研究機関の集積が進んでいます。
 昨年9月、宇宙ビジネスに挑戦する企業や、研究機関の活動が評価され、国から「宇宙ビジネス創出推進自治体」に選定されました。また、今春、久留米市に最先端のバイオベンチャーの集積を図るため、「福岡バイオイノベーションセンター」がオープンします。革新的な技術を持つブロックチェーン企業も数多く生まれています。これら福岡県発の新ビジネスの創出にしっかり取り組んでまいります。
 また、政府は、「2050年カーボンニュートラル」を宣言しました。脱炭素の取組みは、社会経済を大きく変革し、投資を促し、生産性を向上させ、産業構造の大転換と力強い成長を生み出す鍵となるものです。本県では、響灘沖の洋上風力発電の促進区域の早期指定に向けた取組みなど、再生可能エネルギーの導入、省エネ対策、水素エネルギーの利活用を進めてまいります。

 第2は、「人と企業の新たな受け皿づくり」です。
 頻発し激甚化する自然災害や新型コロナウイルスによる、人々の地方への移住・定住の意識の高まり、企業の本社・研究開発機能の分散化の動きが見られます。この機を捉え、本県が人と企業の受け皿として選ばれるよう、情報発信や相談体制の強化、受入環境の整備などを進めてまいります。
 また、国際的な受け皿づくりの一環として、本県のアジアとの地理的近接性、西日本屈指の人口と経済力、多様な産業や教育・研究機関の集積、地震等の大規模災害のリスクの低さといった強みを最大限発揮し、昨年9月に発足した、官民連携組織「TEAM FUKUOKA」を中心に国際金融機能の誘致に取り組んでまいります。

 第3は、「将来の発展基盤の充実と安全・安心で災害に強い福岡県の実現」です。
 「令和2年7月豪雨」により、多くの家屋や農地に浸水被害が発生し、お二人の尊い命が失われるなど、4年連続で災害に見舞われました。被災地の1日も早い復旧・復興と、防災・減災、県土強靱化に全力で取り組んでまいります。
 また、いわゆる下関北九州道路や北九州空港の滑走路延長の実現に向けた取組みを進めてまいります。そのほか、福岡高速3号線の延伸による福岡空港へのアクセス強化、東九州自動車道や国道201号八木山バイパスの4車線化など、中長期的な発展の基盤となるインフラの整備を着実に推進してまいります。
 日田彦山線沿線の地域振興については、東峰村、添田町と協議をしながら、「九州の自立を考える会」、県議会の皆様とともに取り組んでまいります。

 いよいよ、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」開催の年です。まずは、5月に県内各地で行われる聖火リレーで、県全体を盛り上げていきます。
 10月には、北九州市で体操と新体操の世界選手権大会が、史上初めて同時期に開催されます。大会成功に向け、北九州市と連携してしっかり準備を進め、福岡県の魅力を国内外に発信してまいります。

 新型コロナウイルスとの闘いは、これからも続きます。社会全体で感染防止を図りながら、一歩一歩着実に社会経済活動のレベルを上げてまいります。
 その際、地域における課題や県民の皆様のニーズなどを踏まえた施策をスピード感を持って実施し、「県民幸福度日本一」の福岡県を目指し、全庁一丸となって取り組んでまいります。

 ここで、令和2年度2月補正予算と一体となった14か月予算として編成いたしました令和3年度の当初予算について、ご説明申し上げます。
 令和3年度当初予算は、昨年から小川知事と検討を重ね、また、県議会の皆様からご意見をいただきながら編成したものであり、「新型コロナウイルス感染症対策」を着実に推進するとともに、ポストコロナに向けて、新たなスタートダッシュが切れるよう、「新たな成長産業の創出」、「人と企業の新たな受け皿づくり」及び「将来の発展基盤の充実と安全・安心で災害に強い福岡県の実現」に取り組むこととしています。
 併せて、財政の健全化を着実に推進するため、「財政改革プラン2017」に沿ったメリハリの効いた予算編成を行いました。

 令和3年度当初予算の規模は、
 一般会計で2兆1,361億3,800万円余、
 特別会計の総額で9,448億9,600万円余、
 企業会計の総額で418億1,300万円余
 であります。
 一般会計の予算規模は、前年度当初予算比で15.4%の増で、当初予算、14か月予算ともに過去最大となっております。

 14か月予算の概況について、ご説明申し上げます。
 歳出予算については、県制度融資の融資枠の拡大等の新型コロナウイルス感染症対策に伴い、行政施策費が、3,259億円の大幅増となっております。
 また、公共事業費については、国の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の活用等により、203億円の増となっております。
 さらに、社会保障費については、子育て支援の充実や高齢化の進展等により、58億円の増となりました。

 歳入予算については、新型コロナウイルス感染症の影響等により、県税等が523億円の減、地方譲与税等が336億円の減となっております。
 また、県税収入等の減に伴い、地方交付税が282億円の増、臨時財政対策債が635億円の増となっております。
 国庫支出金については、国の総合経済対策を最大限活用したことにより、894億円の増となりました。

 次に、令和2年度の補正予算について、ご説明申し上げます。
 今回の補正予算は、国の総合経済対策の効果を速やかに発揮させるために必要な経費を措置するほか、執行残が見込まれる事業費を減額しております。
 補正予算の額は、一般会計で850億4,200万円余であります。これにより、令和2年度の一般会計の総額は2兆4,524億7,800万円余となります。

 引き続き、14か月予算における歳出予算の主要施策について、ご説明申し上げます。
 最初に、「新型コロナウイルス感染症対策」であります。
 感染拡大の防止では、重症化リスクの高い高齢者及び障がいのある方への感染やクラスターの発生を防ぐため、引き続き、高齢者施設及び障がい者施設の職員に対するPCR検査を実施してまいります。
 ワクチン接種体制の整備では、医療従事者等に対する接種を円滑に実施するほか、専門的な相談を受ける窓口を設置します。
 医療提供体制の強化では、感染者の症状に合わせて適切な治療を行う医療提供体制の維持、確保を図るため、引き続き、重症者用病床を含む病床及び軽症者や無症状者を受け入れる宿泊療養施設を確保します。また、入院医療機関等が行う病室の陰圧化や個室化等に要する経費を助成するなど、医療機関の体制整備を支援してまいります。

 事業継続の支援では、県制度融資に創設した無利子、無担保の「新型コロナウイルス感染症対応資金」及び県が保証料を全額肩代わりする「緊急経済対策資金」、それぞれの融資枠を十分に確保し、引き続き中小企業の資金繰りを支援します。
 また、飲食店が行うデリバリーやテイクアウトなど経営革新のための新たな取組みを支援するとともに、売上げが15パーセント以上減少した中小企業の製品開発や設備投資を後押しする助成制度の補助率を嵩上げし、事業者負担を4分の1に軽減します。
 さらに、価格が急落している高級魚を漁獲する漁船漁業者の操業継続を支援するため、燃油代の一部を助成します。

 雇用の維持、就職の支援では、学生、留学生を含め、新型コロナウイルス感染症の影響で働く場を失った方々の当面の生計を支えるため、市町村とも連携して、引き続き緊急短期雇用創出事業を実施します。
 また、「若者就職支援センター」及び「中高年就職支援センター」の求人開拓や相談機能を強化するとともに、新たに紹介予定派遣の仕組みを活用したマッチング支援を行い、求職者の早期再就職と人材不足分野の企業の人材確保を図ってまいります。
 そのほか、地域における個人消費を喚起し、商店街をはじめ地域経済の活性化を図るため、商工会議所、商工会などが行うプレミアム付き地域商品券の発行を支援するとともに、本県の宿泊施設を利用する旅行者の宿泊料金や県内の観光施設等を訪問する際のタクシー料金の割引支援等を行います。

 ワンヘルスの推進では、県保健環境研究所がワンヘルスの理念を実践する中核的な拠点施設となるよう、必要となる機能や関係機関との連携、建設候補地などについて検討し、基本計画を策定するほか、「アジア防疫センター(仮称)」の誘致に向けて、全国及びアジア各国における人獣共通感染症対策や研究状況の調査を実施します。
 また、家畜、野生動物、愛玩動物の保健衛生を一元的に担う動物保健衛生所の設置に向け、対象動物、検査技術・手法、必要な施設、人員等について検討を進めてまいります。
 さらに、生物多様性の保全を図るため、里地里山において生態系に影響を与える野生動物の生息状況調査を行うとともに、生物多様性に関する情報を一元的に発信・提供するシステムを構築します。
 そのほか、ワンヘルスに対する理解を促進するため、県内の小中高校及び特別支援学校にリーフレットを配布し、授業等で活用するとともに、高校におけるワンヘルス教育の実践研究を実施します。

 次に、「ポストコロナに向けた基盤づくり」では、重点的に3つの事項に取り組んでまいります。
 第1は、「新たな成長産業の創出」であります。
 宇宙分野へのビジネス展開を支援するため、県内企業が行うロケット、人工衛星等の宇宙関連機器に係る研究開発に対する支援を行うとともに、衛星データを利活用した新たなビジネスの創出を進めてまいります。
 最新のシステム技術であるブロックチェーン分野では、県内企業の参入を促進するため、その製品開発、実証実験及び大型展示会への出展を支援します。
 バイオ分野では、次世代創薬やスマートセルなど最先端のバイオベンチャーを育成するため、産学官共同研究開発を実施するほか、新インキュベーション施設におけるオープンラボ利用を支援してまいります。
 自動車産業の更なる発展に向け、県内中小サプライヤー企業による技術連携促進会を開催するほか、これらの企業が他の企業等と連携して行う新製品開発や新分野参入の取組みを支援します。
 また、響灘沖の一般海域における洋上風力発電の促進区域の早期指定に向けて、関係者の理解醸成に取り組んでまいります。

 第2は、「人と企業の新たな受け皿づくり」であります。
 今回のコロナ禍を契機とした地方への移住の関心の高まり、企業の本社機能等の分散化の動きを本県への「ひと」と「しごと」の流れにつなげてまいります。
 情報発信、相談体制を強化するため、市町村と連携したオンラインセミナーを開催するほか、移住希望者のニーズにきめ細かに対応できるよう、市町村が配置する「移住コンシェルジュ」の活動を支援します。
 受入環境の整備では、移住支援金の対象地域を東京23区から3大都市圏に拡大するとともに、対象職種に人材が不足している医療福祉、農林漁業分野を追加するなど、支援対象の大幅な拡充を図ります。
 本県でのテレワークを推進するため、国の「地方創生テレワーク交付金」を活用し、県、市町村、民間でテレワークを推進するデジタル拠点を整備します。
 企業の拠点新設、本社機能の移転拡充を支援するため、企業立地交付金の対象経費に社宅建築費用を追加するほか、最先端のバイオ関連企業が新インキュベーション施設に入居する際の家賃、研究開発・実証事業を支援します。また、市町村が行う空き校舎等を活用したサテライトオフィス等の整備を支援します。

 そして、本県が「選ばれる地域」になるよう、地方創生総合戦略に沿って、活力ある地域づくりを推進します。その1つ目の柱は、「住み慣れたところで『働く』ことができる地域社会づくり」です。
 地方創生の要である「魅力ある職場」を1つでも多く作っていきます。県内雇用の8割を担い、県経済の発展と活力の原動力である中小企業に対し、その成長段階と事業環境に応じたきめ細かな支援を引き続き行ってまいります。
 人手不足や働き方改革、「第4次産業革命」の進展など、中小企業を取り巻く環境は大きく変化しています。「中小企業生産性向上支援センター」を拠点として、引き続き、現場の実態とニーズに即した生産工程の合理化等を進め、県内中小企業の生産性向上を支援してまいります。
 中小企業のデジタル化を支援するため、県内ITベンダーが行うシステム開発を支援するほか、工業技術センターに「デジタル化実証支援ラボ」を設置し、中小企業のニーズに基づく共同研究及び技術指導を実施します。

 農林水産業では、昨年、16年連続販売単価日本一を達成した「あまおう」、7年連続で農林水産大臣賞を受賞した「福岡の八女茶」の玉露など、県産農林水産物のブランド力の強化をはじめ、輸出の促進、担い手の確保・育成にさらに力を入れてまいります。また、農業版DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するとともに、農地の大区画化・集約化に取り組んでまいります。こうした取組みにより、農林水産業を「稼げる、魅力ある産業」にしてまいります。
 輸出促進については、新たな輸出先として、米国の東海岸地域への参入を目指し、市場調査や量販店等での試験販売を実施します。
 担い手対策として、高収益な農業経営ができる人材を育成するため、農業大学校のカリキュラムを見直すとともに、施設の改修を実施します。
 農業経営における生産から流通、販売まで、AI・IoT等のデジタル技術を活用して生産性向上を図る農業版DXを推進するため、スマート農業機械の整備を支援します。
 水田農業については、農地の大区画化・集約化のため、将来計画の策定や畦の除去などの簡易な整備を支援します。
 林業では、感染防止のために店舗やオフィス等が行う県産木材を活用したリノベーションを支援します。
 水産業については、漁業経営を支える魚種の1つとして、アカモク、ハマグリ、アユの資源の増大に取り組んでまいります。

 観光振興では、宿泊税を最大限に活用し、観光客の受入環境整備や観光団体のDMO化の加速等に取り組むことで、観光分野における本県の競争力をより一層高め、「持続可能な観光先進県」を目指します。
 そのほか、アンテナレストラン「福扇華」を活用し、本県が誇る食をはじめ、伝統工芸品などの物産、観光、文化などの魅力を、東京から全国へ発信してまいります。

 2つ目の柱は、「長く元気に『暮らす』ことができる地域社会づくり」であります。
 県民一人一人の健康寿命を延ばす「ふくおか健康づくり県民運動」、スポーツの力で県民生活を元気にする「スポーツ立県福岡」を推進し、その相乗効果により、県民の皆様を元気にしてまいります。
 運動習慣の定着のため、引き続き、市町村が実施するケア・トランポリン教室への支援を行うほか、「ふくおか健康ポイントアプリ」の利用促進を図ります。
 がん患者の社会参加を支援するため、ピア・サポーターの養成研修を実施するほか、医療用ウィッグ、補整具の購入を支援します。

 「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」について、本県では、開催地東京都に次ぐ29の国・地域の事前キャンプが行われます。事前キャンプの受入れや交流事業の際に、市町が行う新型コロナウイルス感染症対策を支援します。
 10月に北九州市で開催される体操と新体操の世界選手権大会では、県内の小中高生が世界トップレベルの演技を間近で体感し、夢や希望を持ってもらうよう、観戦に招待します。また、国内外の関係者やマスコミを対象に、本県の魅力を発信する福岡プロモーションを実施し、大規模国際大会や合宿・キャンプの誘致につなげてまいります。
 文化芸術の振興では、日本遺産「古代日本の『西の都』」の魅力を発信するため、全体ストーリー、構成文化財を紹介するガイドブックを作成します。また、アクロス福岡において、県の伝統工芸品を展示する「匠ギャラリー」の魅力を高めるためのリニューアルを実施します。

 人口減少が見込まれる中、地域の活力を維持していくためには、全ての県民の皆様に、その能力を存分に発揮していただくことが大切です。このため、女性や高齢者、障がいのある方など、誰もがいきいきと活躍し、安心して暮らせる福岡県にしてまいります。
 企業での女性活躍を推進するため、デジタル化など新たな経営課題に対応できる女性人材の育成に取り組みます。
 高齢者の活躍については、「70歳現役応援センター」において、引き続き、就業・社会参加に対する支援を実施するとともに、新たに人材不足分野へのキャリアチェンジを促す合同会社説明会を実施します。
 テレワークを活用した障がい者雇用を促進するため、引き続き、企業に対して相談窓口を設置するほか、在宅訓練や企業実習を通して、即戦力としてのテレワーカーを育成してまいります。

 暮らしの安全・安心の確保も重要です。
 老朽化が著しい交通機動隊庁舎の建替えに合わせて、科学捜査研究所等を警察本部庁舎から移転集約した「福岡県警察篠栗合同庁舎(仮称)」を新設するための基本設計を行います。
 暴力団対策について、引き続き、暴力団の壊滅に向け、徹底した取締りを行うとともに、裁判の証人などに対する保護対策の強化に取り組みます。
 飲酒運転撲滅対策を強化するため、飲酒運転撲滅条例の改正内容や110番通報のポイントをまとめたリーフレットを作成し、酒類を提供する飲食店や販売業者に周知します。
 性暴力対策を強化するため、学校、事業所において、性暴力根絶に向けた教育、啓発を行う性暴力対策アドバイザーの派遣を拡充します。

 デジタル化社会の実現では、ICTの浸透が人々の生活をより良い方向に変化させるDXを県全体で推進するため、「福岡県DX戦略(仮称)」を策定します。
 県発注の営繕工事の設計・施工業務の効率化を図り、建設業界の働き方改革を進めるため、ウェブ会議システム等を活用したテレワーク環境の整備や設計業務のペーパーレス化を行います。
 また、運転免許更新手続の簡略化を図るため、ウェブによる更新予約、申請書自動作成システムを導入します。

 そのほか、プラスチックごみを削減するため、大規模商談展示会において、プラスチック代替品のPRを行うほか、生分解性マルチシート等を活用した農業用プラスチックの排出削減を促進します。

 3つ目の柱は、「子どもを安心して産み『育てる』ことができる地域社会づくり」であります。
 出会い、結婚、出産、子育て、仕事の各ライフステージに合わせたきめ細かな施策を総合的に切れ目なく講じ、県民の皆様の結婚や子育てについての希望をかなえることによって、少子化を食い止めてまいります。
 出産を希望する世帯を広く支援するため、不妊治療費用に対する助成を拡充するほか、新たに、不育症検査費用に対する助成制度を設けます。
 保育所等の待機児童の解消を図るため、待機児童発生率の高い市町村に対し、待機児童解消プランの策定を支援するアドバイザーを派遣するとともに、事業者が行う小規模保育等の多様な受け皿整備の取組みを支援します。
 また、市町村が実施する子ども医療費助成に対する補助の対象を、本年4月から、現行の小学6年生までを中学3年生までに拡大します。

 ふくおか未来人財の育成では、県立学校においてICTを活用した教育を推進するため、タブレット型パソコンや大型提示装置等を引き続き整備するとともに、教員をサポートするICT支援員を全県立学校に配置します。
 また、県立特別支援学校に通う児童生徒の新型コロナウイルス感染症の感染リスクを低減するため、通学バスを増便します。

 そのほか、新たに一時保護所を併設した京築児童相談所の移転新築に着手し、児童虐待により保護を要する児童に対する一時保護機能の強化を図ってまいります。

 第3は、「将来の発展基盤の充実と安全・安心で災害に強い福岡県の実現」であります。
 本県は、平成29年の九州北部豪雨以来、4年連続で災害に見舞われました。引き続き、被災地の復旧・復興に全力を挙げてまいります。
 近年の気候変動を踏まえ、これまでの河川整備に加え、水田やグラウンド等に雨水を貯留・浸透させ、河川への流出を抑制するなどの取組みを示した「流域治水プロジェクト」を策定し、流域治水を推進してまいります。
 また、湛水による農業被害を軽減するため、筑後川及び矢部川流域の農地について、広域的な農地の利用方針や水利施設の活用方法についての計画策定に向けた降雨シミュレーションを行うほか、災害回避のための農業用ハウスの移転や浸水防止壁の設置を支援します。
 さらに、災害発生時の情報収集力を強化するため、被災地への情報連絡員の派遣に必要な資機材を災害対策地方本部等に配備します。

 将来の発展基盤の充実も重要です。
 福岡空港の滑走路増設を着実に進めるとともに、北九州空港について、貨物取扱量の増大に対応するための国際貨物上屋等の整備を支援するほか、滑走路延長に向け、PI(パブリック・インボルブメント)を実施します。
 産業振興の基盤となる県内基幹道路の整備を進めるとともに、いわゆる下関北九州道路の早期実現に向けた取組みを引き続き進めてまいります。

 以上が、予算の概要であります。

 本日、ここに提案しております議案は、ただいまご説明申し上げました令和3年度予算議案20件及び令和2年度補正予算議案1件のほか、条例議案13件、専決処分したものについて報告し承認を求める議案1件、契約の締結に関する議案4件、経費負担に関する議案2件、その他の議案3件、人事に関する議案6件であります。
 このうち、条例議案について、その概要をご説明申し上げます。

 第1は、「福岡県ホストタウン等新型コロナウイルス感染症対策基金条例」の制定であります。「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」の開催に関し、ホストタウン及び事前キャンプ地において選手等を受け入れる際の新型コロナウイルス感染症対策に要する経費の財源に充てるため、「福岡県ホストタウン等新型コロナウイルス感染症対策基金」を設置するものであります。

 第2は、「福岡県営住宅条例の一部を改正する条例」の制定であります。県営住宅のより一層の適正な管理及び入居者の安全・安心な生活の確保を図るため、迷惑行為又は家賃の滞納により県営住宅の明渡請求を受けた者の再入居を制限すること等について、所要の規定の整備を行うものであります。

 そのほか、公衆浴場における男女の混浴制限年齢の基準について見直しを行う条例、県立学校及び市町村立学校職員の定数を改める条例、関係法令の一部改正に伴い所要の規定の整備を行う条例6件などであります。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。

追加提出議案(令和3年3月5日)

※知事職務代理者が説明を行った。

 本日、追加提案いたしました議案は、19件であります。その内訳は、令和2年度補正予算議案10件、経費負担に関する議案9件であります。

 まず、予算議案について、ご説明申し上げます。
 今回の補正予算は、新型コロナウイルス感染症対策、知事選挙及び県議会議員補欠選挙の実施、その他県政運営上年度内に措置する必要がある経費を追加するものであります。また、年度内の所要額がほぼ確定した公共事業費や経費の節減を行った事業費等を減額しております。
 補正予算の額は、一般会計で101億300万円余、特別会計で57億8,100万円余を減額しております。また、企業会計では、工業用地造成事業会計において増額を行っております。
 その結果、令和2年度予算の総額は、一般会計で2兆4,423億7,400万円余、特別会計で9,500億300万円余となっております。

 一般会計の歳入につきましては、県税、地方消費税清算金のほか、歳出予算に対応した国庫支出金等の補正を行っております。
 県税収入は、現計予算額を116億円程度上回る見込みであり、一般財源の確保が見込まれます。このため、財政調整基金等3基金からの繰入金を73億円減額しております。

 次に、歳出予算で追加いたしました主な経費について、ご説明申し上げます。
 まず、新型コロナウイルス感染症対策であります。
 新型コロナウイルス感染症の再拡大を防ぐため、営業時間短縮の要請に応じた県内全ての飲食店、喫茶店及びバー、カラオケボックス等の遊興施設のうち食品衛生法上における飲食店営業の許可を受けている飲食店の事業者に対し、3月8日から21日までの期間、1店舗1日当たり4万円、最大56万円の協力金を給付するための経費を措置しております。
 また、緊急事態宣言の再発令の影響を受け、売上げが減少した中小企業者等の事業継続を支援するため、県独自の支援として、「福岡県中小企業者等一時支援金」を創設いたします。その内容は、政令市を除く地域の中小企業者等に対し、国の一時支援金の対象とならない、売上げが30パーセント以上50パーセント未満減少した法人には15万円、個人事業者には10万円をそれぞれ上限とした支援金を給付するものです。
 そのほか、小川知事の退職に伴う知事選挙及び県議会議員の補欠選挙並びにこれらの啓発に必要な経費を措置するほか、障がい児施設給付費・措置費などを増額しております。
 以上が補正予算の概要であります。

 経費負担に関する議案は、漁港関係事業及び海の中道海浜公園事業について市の負担すべき金額を定めるもの並びに空港整備事業ほか6件について議決内容の一部を変更するものであります。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。

追加提出議案(令和3年3月24日)

※知事職務代理者が説明を行った。

 本日、追加提案いたしました議案は、令和2年度補正予算議案1件であります。

 今回の補正予算は、先週16日、国が決定した「非正規雇用労働者等に対する緊急支援策」を踏まえ、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、生活に困窮している方々の支援に要する経費を追加するものであります。
 補正予算の額は、一般会計で113億9,700万円余となり、その結果、令和2年度の一般会計の総額は、2兆4,537億7,200万円余となります。
 一般会計の歳入は、国庫支出金を計上しております。

 補正予算の内容について、ご説明申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、失業等により収入が減少し生活に困っている方を支援するため、生活福祉資金の原資を増額するための経費を計上しております。
 また、低所得のひとり親世帯の生活実態が厳しい状況にあることを踏まえ、児童1人当たり5万円の特別給付金を支給するための経費を計上しております。
 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。