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令和元年6月定例会の知事議案説明要旨

当初提出議案(令和元年6月13日)

 本日ここに、第2回定例県議会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、ご参集いただき、厚くお礼申し上げます。
 このたびの議会は、県政運営の基本となる令和元年度当初予算をはじめ、多くの重要な案件についてご審議をお願いするものであります。
 議案の説明に先立ち、まず3期目の県政運営に関する私の所信を申し上げ、議員各位をはじめ、県民の皆様のご理解と、より一層のご協力をお願い申し上げる次第です。

 世界情勢を見ますと、日中関係は、首脳間の交流を通じて大きく改善しており、本県においても、協力関係強化のため、地域レベルの交流をさらに促進してまいります。
 また昨年、タイ王国総領事館が開設されたほか、ハノイ市との友好提携が10周年を迎えるなど、アセアン諸国と本県との交流がますます活発になっております。今後も成長著しいアセアン諸国の活力を取り込んで、ともに発展していきたいと考えております。
 経済面では、日本など11か国が参加する「環太平洋経済連携協定(TPP11)」や「日EU経済連携協定(EPA)」が発効し、新たな貿易の枠組みが広がる一方で、米中貿易摩擦、英国のEU離脱問題などが世界経済の先行きに影を落としています。
 また、先月開催された日米首脳会談では、日米貿易交渉の議論をさらに加速させることで一致しました。
 これらの動きが県内経済に及ぼす影響を注視し、今後とも県内産業の支援を行ってまいります。
 去る6月8日、9日、本県において「G20福岡財務大臣・中央銀行総裁会議」が開催され、今後の世界経済の見通しや質の高いインフラ投資、経済の電子化に伴う課税上の課題などについて活発な議論が行われました。この機会を捉え、観光、食、農林水産物といった本県の魅力を大いに発信したところです。

 国内では、6年にわたるアベノミクスの推進により、昨年度の名目GDPは550兆円と過去最高を更新しています。最近では、中国経済の減速などから、輸出や生産の弱さが続いているものの、本年4月の全国の有効求人倍率は1.63倍と1970年代前半以来の高水準となっており、賃金についても2%程度の高い賃上げが6年連続で実現する見通しであるなど、雇用・所得環境は改善が続いていることから、国内需要を支える基礎的な条件はしっかりしています。
 その中で、本県経済は、輸出や生産の一部に海外経済減速の影響がみられるものの、その指標は全国を上回るなど、緩やかに拡大しています。有効求人倍率は、1.64倍、昭和38年の調査開始以来最高となりました。人口についても、前年から増え続けている全国7都県の一つであります。
 しかしながら、本県の人口も減少に転ずることが予測されており、それぞれの地域をいかに元気にするか、地方創生がきわめて重要な課題となっています。

 私は、知事就任以来、「県民幸福度日本一」の福岡県を目指して、これまで県民の皆様の生活の「安定」「安全」「安心」の向上に全力で取り組んでまいりました。
 その際には、生活者の視点を重視しながら、弱い立場にある方々に寄り添う「温かみのある行政」を心掛け、福岡県をさらに元気にすべく、様々な施策を推進してきました。県民の皆様のご理解とご協力をいただき、その取組みは着実に進んでいます。
 毎年実施している「県民意識調査」では、「福岡県に生まれてよかった、生活してよかった」と感じている方々が知事就任以来、増加しており、ここ3年連続8割を超えるなど、県民の皆様の幸福実感は高まっていると考えています。

 一方、本県は、この8年の間に3度、豪雨災害に見舞われました。平成24年の災害については、全ての復旧が完了しました。しかしながら、一昨年、昨年の豪雨災害の復旧・復興については、まさにこれからが正念場です。
 まず、被災者の皆様の生活再建を図るため、災害公営住宅等を着実に完成させるとともに、朝倉市、東峰村と協力し、個別訪問や住宅相談会などにより、住宅再建に向けたきめ細かな支援を行い、被災者の皆様がその住まいを確保できるよう取り組んでいきます。
 道路、河川、治山ダムなどの公共土木施設はもとより、産地の復興のため、農地、農業用施設の復旧を加速し、目に見えるような進捗を図り、1日も早い被災地の復旧・復興を成し遂げてまいります。
 また、近年、全国的に大規模な災害が頻発している状況を踏まえ、防災・減災のためのインフラ整備や防災情報の周知など、ハード・ソフト両面にわたり、県民の皆様の安全確保に万全を期してまいります。

 さて、今、私たちは、大きな時代の変化に直面しております。AI、IoTなど最新技術を駆使した新たな産業革命、いわゆる「第4次産業革命」と、「人生百年時代」の到来です。
 この2つの大きな変化を的確に捉え、これに対応してまいります。

 まず、「第4次産業革命」への取組みとして、中小企業や農林水産業の現場に、それぞれの実態とニーズに適したAI、IoT、ロボットといった最新技術を導入することにより、「中小企業の生産性向上」「スマート農林水産業」を実現し、成長産業への転換を図ってまいります。
 一方で、AIや次世代通信による自動運転技術の進化は、過疎地域や高齢者の移動手段の確保につながり、また、AIとロボット技術の融合は、介護負担を大幅に軽減することから、この分野での人手不足の解消につながるものです。
 これらの最新技術の導入に先導的に取り組むことにより、本県経済の成長・発展だけでなく、地域交通や保健医療、介護福祉など、幅広い分野における人材不足、サービスの向上、働き方改革といった社会的課題の解決を図ってまいります。

 次に、「人生100年時代」の到来への対応です。
 我が国は、世界有数の長寿国となりましたが、生涯にわたり安心して暮らし、そして元気に活躍し続けるためには、健康寿命をさらに延ばしていくことが重要です。
 このため、県民一人ひとりの健康寿命を延ばす「ふくおか健康づくり県民運動」と、スポーツの力で県民生活を元気にする「スポーツ立県福岡」を推進し、その相乗効果により、県民の皆様を健康で元気にしてまいります。
 特に、本年9月にアジアで初めて開催される「ラグビーワールドカップ2019」を成功に導くとともに、国内外からの観戦客の本県への誘客と周遊の促進に向けた取組みに加え、2020年の「東京オリンピック・パラリンピック競技大会」に向けた事前キャンプの受入れを進めます。
 そして、本県がこれまで進めてきた「70歳現役社会づくり」の基盤の上に立ち、100年の人生を充実して過ごせる「100年グッドライフ福岡県」の構築を目指します。

 また一方で、先ほど申し上げたとおり、本県もやがて人口減少に転じると予測されており、将来の人口減少や超高齢化社会に備えていく「地方創生」が喫緊の課題であります。
 この大きな課題に立ち向かっていくため、誰もが住み慣れたところで、働き、長く元気に暮らし、安心して子どもを産み育てていくことができる地域社会を作っていくための施策を全力で進めてまいります。

 私は、「県民第一」「県民の声を大切に」「県民のために」、スピード感を持って政策を進め、引き続き「県民幸福度日本一」の福岡県を目指してまいります。
 そして、日本海側に位置しているこの福岡県を、アジアとともに発展する一大拠点にしていくことによって、九州を牽引し、この日本の国のバランスのとれた発展に貢献していきます。

 ここで、令和元年度の当初予算について、ご説明申し上げます。

 令和元年度当初予算においては、先ほど申し上げました「豪雨災害の復旧・復興」、時代の変化へ対応するための「第4次産業革命」への取組み、「100年グッドライフ福岡県」の構築、そして「地方創生」の実現に向け、誰もが住み慣れたところで「働く」「暮らす」「育てる」、この3つができる地域社会づくりに取り組むこととしています。
 併せて、財政の健全化を着実に推進するため、「財政改革プラン2017」に沿ったメリハリの効いた予算編成を行いました。

 令和元年度当初予算の規模は、
 一般会計で1兆7858億1600万円余、
 特別会計の総額で9503億1900万円余、
 企業会計の総額で106億1000万円余
 であります。
 一般会計の予算規模は、前年度当初予算比で3.1%の増となっております。

 歳出予算については、社会保障費が幼児教育・保育の無償化等により、108億円の増となっております。
 また、公共事業費及び災害復旧費については、豪雨災害復旧・復興をはじめとして、それぞれ162億円、166億円の増となりました。

 歳入予算については、県税等が、法人二税や地方消費税の増により、171億円の増となっております。
 一方、県債については、臨時財政対策債は減となったものの、豪雨災害の復旧・復興による通常債の発行増に伴い、56億円の増となりました。

 歳出予算の主要施策について、ご説明申し上げます。
 第一は、「豪雨災害の復旧・復興」であります。
 一昨年、昨年の豪雨災害で被災した道路や河川等の復旧を加速するとともに、河川の拡幅、道路施設の改良、砂防施設の設置など災害の再発防止対策を推進します。
 また、九州北部豪雨で被災した朝倉地域における被災者の営農再開と産地の復興を支援するため、省力機械や新たな栽培技術、収益性の高い園芸品目を導入する「複合経営園地」の整備を進めます。
 さらに、被災者の住まいの再建を支援するため、仮設住宅等からの引越費用や民間賃貸住宅に入居する際の初期費用を助成します。

 第二は、「時代の変化への対応」であります。
 「第4次産業革命」の技術革新を存分に取り込み、産業の生産性の飛躍的な向上と社会的課題の解決を図ってまいります。
 まず、人手不足に悩む中小企業の生産性向上を図るため、中小企業診断士等の専門家を企業へ派遣し、現場の実態とニーズを踏まえた最新技術の導入をきめ細かく指導するとともに、自動化・IoT設備の導入を支援します。
 また、IoTを活用して県内企業が開発した優れた製品・サービスについて、認定制度を創設し、普及を促進します。
 農林水産業の競争力の強化を図るため、AIやICT等の最新技術を導入し、生産の安定性、効率性を両立させる「スマート農林水産業」への転換を推進します。
 水田農業においては、自動で収量を測定するコンバイン、薬剤を散布するドローン等の導入、園芸農業では、ハウス施設内の環境をタブレット端末により遠隔で管理するシステム等の整備を支援します。
 畜産業では、高品質な乳用牛や「博多和牛」を生産するため、DNA解析により早期に選抜が可能となるゲノミック評価に対して助成します。
 林業では、木材の効率的な流通を促進するため、生産・流通・加工の各事業者がICTを活用して需給情報を共有する取組みを支援します。
 水産業においては、ICTを活用した漁場の観測網を整備し、水温分布や潮流を予測するシステムの実用化を行い、若手漁業者等の効率的な操業を支援します。
 高齢者の見守り活動では、IoTを活用した高齢者見守り機器等の導入検証を支援し、多重的に見守る体制の強化を図ります。

 次に、誰もがいきいきと活躍し、健康で充実した人生を過ごせる「100年グッドライフ福岡県」の構築であります。
 県民一人ひとりが健康の維持、増進を目指す「ふくおか健康づくり県民運動」を推進するため、アプリを活用した健康ポイント事業を実施するとともに、食生活の改善を目的とした「チャレンジ!レシピコンクール」を開催し受賞レシピのPRに取り組むほか、市町村が実施する運動習慣定着の取組みを支援します。
 スポーツの力で県民生活を元気にする「スポーツ立県福岡」については、大規模スポーツ大会・合宿の誘致を進めるため、官民連携による「福岡県スポーツコミッション(仮称)」を設立することとし、その準備会議を開催します。
 また、競技スポーツの活性化を図るため、競技団体が行う将来有望な小・中学生選手の発掘・育成、国民体育大会上位入賞競技の遠征・合宿を支援するとともに、本県ゆかりのトップアスリートが安定した競技生活を継続できるよう、雇用や活動費用の支援を行う県内企業とのマッチングを実施します。
 このほか、県営公園のウォーキング・ジョギングコースに案内板を設置します。
 高齢者がいきいきと活躍できる「70歳現役社会づくり」を推進するため、「70歳現役応援センター」において、引き続き、就業・社会参加に対する支援や求人開拓を実施するとともに、新たに進路未決定者に就労適性診断を実施し、適性に応じた仕事を紹介してまいります。

 第三は、「地方創生の推進」であります。
 まず、「住み慣れたところで『働く』ことができる地域社会づくり」であります。
 県経済の発展の原動力である中小企業の振興については、県内四地域に設置した「地域中小企業支援協議会」において、個々の企業の成長段階と事業環境に応じて、きめ細かな支援を行ってまいりました。福岡県をもっと元気にしていくため、人材や資金の確保、事業承継など、引き続き地域ぐるみで支援します。
 中小企業振興資金の融資枠を十分に確保し、一層の経営安定を図るほか、消費税率引上げにより影響を受ける中小企業を新たに緊急経済対策資金の融資対象とします。
 また、商工会議所、商工会などが行うプレミアム付き地域商品券の発行を引き続き支援するほか、商工会議所、商工会と連携し、県内中小企業のキャッシュレス決済の導入を支援します。

 就任以来、力を入れてきた「グリーンアジア国際戦略総合特区」は、設備投資額が3000億円を突破し、約1600人の新規雇用が生まれ、国から全国7つの特区の中で最も高い評価を得ています。
 この特区を一層活用するとともに、生産の国内回帰の動きを捉え、ユニ・チャームプロダクツや資生堂によるアジア向けの拠点となる工場の建設に続く企業誘致にも、引き続き取り組んでいきます。
 また、自動車、バイオ、水素、航空機といった先端成長産業の育成にも努めてまいります。
 自動車産業のさらなる発展に向け、電動化や安全運転技術の進展により、部品に占める割合が高まっている電装分野への地元企業の参入を促進するため、アドバイザーによる支援や展示商談会の開催などに引き続き取り組むとともに、「福岡モーターショー2019」を開催します。
 バイオ産業の拠点化を推進するため、ゲノム編集技術とIT・AIを組み合わせることで、生物の持つ物質生産能力を最大限に引き出した細胞である「スマートセル」の実用化を支援するとともに、その研究開発から試作、製造までを一貫して支援できる施設の整備に着手します。
 中小企業の航空機産業への参入を促進するため、工業技術センターに航空機産業技術支援グループを設置し、技術支援を強化します。

 農林水産業では、「ブランド化」「輸出促進」「6次産業化」を推進するとともに、担い手の確保・育成、地産地消にも取り組み、農林水産業を「稼げる、魅力ある産業」にしていきます。
 県産農林水産物の販売・消費を拡大するため、アンテナレストラン「福扇華」を航空機内誌でPRするとともに、レストランで使用される食材・商品の通販カタログを作成し、「福岡の食」の魅力の発信を強化します。また、首都圏での6次化商品の商談会を開催します。
 輸出促進については、輸出が解禁された米国向けのみかんと柿、ベトナム向けの梨に加え、シンガポール、ベトナム向け県産水産物の販売促進フェアを開催します。また、県産木材の製材品の販路を拡大するため、中国、韓国で開催される商談会への出展を支援します。
 担い手対策として、農林漁業の新規就業者の確保を図るため、農業分野における求職と求人のマッチングを行う「福岡県就農マッチングセンター」の対象分野を林業、漁業に拡大するとともに、合同会社説明会や現地見学会を実施します。
 観光面では、本県へのインバウンド観光客は平成26年から昨年までの5年間で国の伸びを上回る2.7倍に急増しました。
 これをさらに拡大するため、羽田・成田空港から入国する外国人を対象に、本県への誘客を喚起するキャンペーンを実施します。また、中国向けホームページを開設し、中国からの個人旅行者の誘客を図ります。
 県内各地域の地域資源を活用した観光プロモーションを強化するとともに、キャッシュレス決済の普及・促進、サイクリング旅行者の誘客促進のためのサイクルスタンドの設置など受入環境の整備にも取り組み、心からのおもてなしで、国内外からの本県への誘客を促進してまいります。

 将来の発展基盤の充実も重要です。福岡空港の滑走路増設及び平行誘導路二重化を着実に推進するとともに、北九州空港については、新規路線の誘致や路線の定着、国際貨物の通関体制の構築に取り組み、一層の利用促進を図ります。

 次に、「住み慣れたところで『暮らす』ことができる地域社会づくり」であります。
 人口が減少していく中、地域の活力を維持していくためには、県民すべての方々に持てる能力を存分に発揮していただくことが大切です。
 そのため、県民一人ひとりを健康で元気にしていく取組みに加え、女性や高齢者、障がいのある方々がいきいきと活躍し、安心して暮らせる福岡県にします。
 まず、小児・AYA世代のがん患者の方が希望をもってがん治療に取り組むことができるよう、妊よう性温存治療費を助成するほか、末期がん患者の方の在宅療養を支援してまいります。
 医療、介護、予防、住まい、生活支援といったサービスを一体的に切れ目なく提供する「地域包括ケアシステム」の構築を引き続き市町村と連携して進めるとともに、介護人材の確保・定着を図るため、外国人留学生を介護人材として確保する介護福祉士養成施設を支援します。
 医療的ケア児への支援を強化するため、介護職員の医療的ケア研修の受講を支援するほか、医療的ケア児の自宅へ看護師を派遣し、介助者の負担軽減を図ります。
 障がいのある方の活躍を支援するため、障がい者雇用に意欲のある企業を対象に、テレワーク導入に向けた取組みを支援します。

 私は、就任以来、率先して女性職員の積極的な登用を行ってまいりました。今年度の課長相当職以上の女性職員は、私が知事になる前の21名から78名となり、その割合は、過去最高の14.1%になりました。企業や地域においても、リーダーとなる女性を積極的に育成するとともに、農林水産業や建設業など様々な業種への女性の就業を促し、福岡県を「女性活躍先進県」にしてまいります。
 このため、引き続き、女性の活躍を進めようとする企業に専門家を派遣し、採用や人材育成など各企業の課題に応じた個別支援を行います。
 また、新たに非正規雇用の未婚女性を対象に、抱えている不安を解消するための応援講座を開催するとともに、地域で活躍する女性人材の活用を促進するため、市町村職員を対象とした研修を実施します。

 求職者の年齢や状況に応じたきめ細かな就職の支援にも取り組んでまいります。
 企業の働き方改革を広げるため、「ふくおか・よかばい・かえるばいキャンペーン」を引き続き実施するとともに、新たに県内四地域においてモデル事業を創出し、企業の先駆的な取組みを紹介します。

 地域防災力の向上を図るため、引き続き、緊急輸送道路、河川、砂防施設の整備などに取り組むとともに、防災意識を強化するため、高齢者、子ども、外国人、中小企業といった特定の対象者向けに、その特性に応じた啓発冊子の作成、説明会・研修会を実施します。
 気候変動の影響による被害の防止・軽減を図るため、「福岡県気候変動適応センター」を設置し、地球温暖化に伴う影響や適応策に関する情報を収集・分析し、市町村等に提供します。

 暮らしの安全・安心の確保にも努めてまいります。
 暴力団対策について、引き続き、暴力団に対する徹底した取締りを行うとともに、暴力団員の離脱・就労の促進に取り組みます。
 犯罪被害者等への支援を強化するため、「福岡犯罪被害者総合サポートセンター」の相談窓口を、新たに筑後、筑豊地域に設置します。
 性暴力対策を強化するため、「性暴力対策検討会議」を開催するとともに、性暴力根絶に向けた教育や啓発を行う人材を養成します。

 また、資源の有効活用の観点から、廃棄太陽光パネルの保管情報を一元的に管理し、効率的に回収できるシステムの実証実験を行います。

 次に、「住み慣れたところで『育てる』ことができる地域社会づくり」であります。
 出会い、結婚、出産、子育て、仕事の各ライフステージに合わせたきめ細かな施策を総合的に切れ目なく講じ、若者の結婚や子育てについての希望をかなえることによって、少子化を食い止めてまいります。そのため、「出会い応援団体」「子育て応援宣言企業」の登録の推進、保育所等の運営支援などを進めていきます。
 待機児童の解消を図るため、待機児童の8割を占める3歳未満児の受入れを増やす保育所や認定こども園を支援するほか、届出保育施設が行う児童の健康診断や保育士の研修受講のために配置する代替職員の雇用費用を助成します。
 人材の育成も重要です。「社会の宝」である子どもたちが国際的な視野を持ち、地域で活躍する「人財」に育つよう、「ふくおか未来人財育成ビジョン」に沿って、各種施策を展開しており、引き続き取組みを進めてまいります。
 来年度以降、学校教育は大きく変わります。新しい学習指導要領が小学校、中学校、高等学校で順次実施され、言語能力と並び学習の基盤となる情報活用能力の育成に向けたプログラミング教育が始まります。子どもたちが時代の大きな変化に主体的に向き合い、よりよい社会、自らの幸福な人生、この両方を創っていく力を育んでまいります。
 小・中・高、各段階に応じたプログラミング教育の円滑な実施に向け、モデルカリキュラム及び教員研修プログラムを開発し、教員の指導力の向上を図ります。
 県立学校における教育のICT環境を充実するため、無線LANやタブレット型パソコンを整備します。
 子どもの貧困対策については、貧困の連鎖を断ち切るため、生活困窮世帯の子どもの大学進学について相談支援を実施します。

 以上が、令和元年度当初予算の概要であります。

 本日、ここに提案しております議案は、ただいまご説明申し上げました令和元年度予算議案20件のほか、条例議案12件、専決処分3件、契約の締結に関する議案2件、経費負担に関する議案3件、人事に関する議案3件であります。
 このうち、条例議案について、その概要をご説明申し上げます。

 第一は、「福岡県宿泊税条例」及び「福岡県宿泊税基金条例」の制定であります。その内容は、観光資源の魅力向上、旅行者の受入環境の充実その他の観光の振興を図る施策に要する費用に充てるため、宿泊税を創設するとともに、その使途を明確にするため、収納した税を積み立てる「宿泊税基金」を設置するものです。

 第二は、「福岡県税条例等の一部を改正する条例」の制定であります。その内容は、「地方税法」等の一部改正に伴い、法人事業税及び自動車税の税率の引下げを行うほか、所要の規定の整備を行うものであります。

 第三は、福岡県立公文書館条例など36条例を改正する「福岡県立公文書館条例等の一部を改正する条例」であります。その内容は、本年10月1日から消費税率が引き上げられることに伴い、いずれも使用料の額等を改定するものであります。

 そのほか、会計年度任用職員の給与、費用弁償及び旅費を定める条例、国の森林環境譲与税の創設に伴い「福岡県森林環境譲与税基金」を設置する条例、屋外広告物に係る条例の制定や改廃に関する事務を小郡市が処理することを可能とする条例、関係法令の一部改正に伴い所要の規定の整備を行う条例4件などであります。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。