本文
ベトナム社会主義共和国との交流活動
議会が築く交流の歴史
2008
福岡県がハノイ市と友好提携を締結
両地域の友好・協力関係の覚書を締結し交流の出発点となる。九州ベトナム友好協会が設立され民間レベルでの交流促進が開始
2009
福岡県議会ベトナム友好議員連盟設立
両国の架け橋として、議員交流を深化させ公的交流や行事を推進し、相互理解と友好親善を強化。在福岡ベトナム総領事館が開設
2013
福岡県・ハノイ市友好提携5周年
九州国立博物館で「大ベトナム展」を開催。松尾統章議長(当時)がサン国家主席(当時)を表敬。廃棄物処分場の整備など複数の覚書を締結
2014
ハノイ市への修学旅行実現に向けた基盤を構築
ハノイ市人民評議会タイン議長(当時)と連携強化を合意。修学旅行先にハノイ市も加わり、後に累計約1万人の学生が訪越する結果に至る
2018
福岡県・ハノイ市友好提携10周年
知事や議長をはじめ、高レベルの代表団の定期的な交流により経済、人的交流、環境、教育、文化、など様々な分野で両地域の協力関係が確立
2023
ベトナム国家主席が福岡訪問
ヴォー・ヴァン・トゥオン国家主席(当時)が来県。福岡が中心となり国家主席と九州各県知事・議長との面談を実施
2024
ワンヘルス共同宣言
ワンヘルスの推進に関する共同宣言への署名の為、タイン ハノイ市人民委員会委員長を団長とする訪問団が来県。新たな外交関係の段階へ
議会が築いた交流が、
県民の利益につながっています
福岡県議会とハノイ市人民評議会との交流が生み出してきた成果
福岡県議会は、ベトナムとの交流を単なる親善にとどめることなく、県民生活の向上や地域経済の発展に資する実効性ある成果へと結実させることを重視し、取り組んでまいりました。ハノイ市人民評議会との友好関係を礎に、福岡県議会は現地の議会および関係機関との連携を着実に深め、九州ベトナム友好協会とも連携を図りながら継続的な往来と実務的な対話を重ねてきました。こうした繋がりは、形式的な表敬にとどまるものではなく、議員同士が顔の見える信頼関係を築き上げることで、経済、人材、観光、環境など多岐にわたる分野において、後述のとおり具体的な実績に結びつく取り組みを重ね、大きな成果を上げてきました。
なお、福岡県議会とハノイ市人民評議会をはじめとするベトナムとの海外交流事業につきましては、友好提携の理念に基づき、これまで一貫して現地からの招聘(要請)に応じて執り行われています。
議会の交流が、なぜ県民の役に立つのか
福岡県議会によるベトナムとの交流は、議員団による海外訪問やベトナムから県議会等への訪問受入れなどを通じて行われており、これらの交流は重要な意義を有するとともに、県民生活に直結する多くの可能性を広げています。福岡県議会が構築してきた長い歴史を有する友好関係を基盤として、県内企業の海外展開を後押しし、新たな経済成長の創出に寄与してまいりました。また、修学旅行や若者の交流を推進することで、国際的視野を備えた人材の育成にも大きく貢献してきました。さらに、本県経済を支える技能実習生が安心して学び働くことのできる環境整備にも、議会間の対話を通じて積極的に取り組んでまいりました。議会による国際活動は、こうした流れを後押しする「土台づくり」の役割を果たしており、友好の架け橋として行政を補完することにより、経済・教育・福祉など多岐の分野において持続的な地域発展を牽引し、県民生活の向上に寄与しております。
交流が形になった大きな成果
福岡県とベトナムの交流は、経済・人材・文化等に加え、教育分野でも大きな成果を上げてきました。松尾統章ベトナム議員連盟会長の尽力により実現したベトナムへの修学旅行施策は累計で約10,000人を超える高校生が訪越しています。経済面では長年にわたり海外展開を後押してきた結果、福岡からベトナムへの輸出額*1は2023年に約4,500億円に達し、2011年の423億円と比較して約10倍に成長しました。また2024年末時点では県内企業33社*2がベトナムで事業展開を行っており、ベトナムへのビジネス展開に関する県への相談件数もこれまで260 件*3 を超えるなど、新たな経済成長の創出に大きく寄与しています。
さらに、企業進出や貿易の拡大にとどまらず、人材面においても、技能実習生や留学生の受け入れを通じて相互理解の促進と地域の活性化に寄与してきました。ハノイ市において、文化庁、九州国立博物館及びベトナム国立歴史博物館が一体となって開催する「日本文化展」などを開催し、イベントや観光交流が活発化し、人的往来も急増しました。近年はトゥオン国家主席が初来県するなどハイレベルな外交も行われ、強固な友好関係が確立されています。
福岡の国際的な存在感を高めた成果
在福岡ベトナム総領事館は2009年に設置されて以来、相互交流の重要な拠点として、福岡県議会においても緊密な連携を図りながら関係の発展に寄与してきました。総領事館は我が国において大阪府及び福岡県の2か所に設置されており、本県に所在することは、福岡が九州における対ベトナム交流の中心的役割を担っていることを示しています。総領事館が福岡に設置されていることにより、企業、学校、自治体、各種団体による交流や相談がより円滑に行えるようになり、福岡とベトナムの関係は一層身近で実務的なものとなっています。これは県内の経済活動や教育、文化の国際的発展を支える重要な基盤であり、県民にとっても大きな財産となっています。
地域経済に返ってくる交流
ベトナムの一人当たりGDPはこの10年間で約2倍に成長し、旺盛な消費意欲を持つ世代を中心に、1億人を超える人口を背景とした有望な市場が形成されています。こうした好機を捉え、成果に結びつけるため、福岡県と福岡県議会が緊密に連携し2022年からは福岡県産温州みかんの輸出を開始し販路拡大に成功しています。また八女茶も継続して輸出拡大されております。このように、本県の優れた農産物が海外で高い評価を得ており、農業者の所得向上や産地振興に寄与しています。さらに県産水産物の販路開拓支援も進み、一次産品の輸出拡大につながっています。福岡とハノイ間の航空路線については、ハノイ市人民委員会及びハノイ市人民評議会との継続的な連携により、直行便が毎日運航されています。本県へのベトナム人入国者数*4は2025年に約4.2万人に達し、10年前と比較して約3.5倍に増加し人的往来の拡大は本県経済にも大きく貢献しています。
政策にも生かされる交流
福岡県と福岡県議会によるベトナムとの長年の交流の蓄積を背景に、環境分野での協力も政策に反映してきました。県内企業の優れた環境技術の現地への導入及び現地の環境改善のため、環境省事業を活用し、脱炭素社会の実現に向けた都市間連携をハノイ市と進めています。その枠組みを通じて、県内企業が国の補助金等を活用しながら、ソーラーシェアリングなどの再生可能エネルギーの実証事業を展開しています。また、フエ市では現地の環境改善のために「福岡方式」による廃棄物処分場の整備を行っています。さらに、ベトナムの行政官を本県に受け入れる人材育成なども進めており、これら一連の施策は、ベトナムの持続的な発展に資するとともに、本県の環境政策の一層の高度化及び海外展開を力強く推進する基盤となっています。
未来につながる新たな協力
2024年、チャン・シー・タイン ハノイ市人民委員会委員長を団長とする訪問団が「福岡県とハノイ市によるワンヘルスの推進に関する共同宣言」に署名するため来県されました。翌年に福岡県議会は訪問団を結成し、ワンヘルスの理念を加えた新たな取決め文書の調印のため訪越しました。人の健康、動物の健康、環境の健全性を一つとして捉えるワンヘルスは、感染症対策や食の安全、環境保全など、これからの時代に重要な視点です。
福岡県が進めてきた理念や取組が海外に広がり、国際的な共感と連携につながっていることは、福岡の先進性を示す大きな成果の一つといえます。
議会の海外交流は、県民の未来への投資です
福岡県議会が進めてきたベトナムとの取組みは、長年の信頼関係の積み重ねによって総領事館の設置、直行便の就航、修学旅行による人材交流、地域の魅力発信、環境分野の技術連携、ワンヘルスの国際的な広がりなど、さまざまな形で実を結んできました。
急成長するベトナムと強固な絆を築くことで、県内企業の市場開拓を支援し、若者の教育や人材育成の場を広げ、技能実習生など本県の経済を現場から支える人々に対しても、安心して働き、学び、成長できる環境づくりを進めてきました。
この国際的な「未来への投資」は、多面的な成長をもたらし、次世代へ豊かな社会を引き継ぐための戦略的な礎となっています
福岡県議会は、これからも海外との交流を通じて、福岡の強みを生かし、県民の利益につながる実りある関係づくりを進めていきます。
今後の交流活動については、福岡県議会ウェブサイトを通じて、随時情報発信を行ってまいります。
出典:
*1 門司税関「九州経済圏各県別の貿易」
*2 (公財)九州経済調査協会「九州・山口企業の海外進出」
*3 福岡県商工部スタートアップ推進課
*4 出入国在留管理庁「出入国管理統計」

