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児童虐待防止対策の更なる強化を求める意見書

 暴力を振るう、食事を与えない等の行為によって保護者が我が子を死に追いやるといった深刻な児童虐待事件が相次いでいる。こうした事態を防ぐため、国は虐待の発生防止、早期発見に向けた対応を行ってきたが、悲惨な児童虐待は依然として発生し続けている。
 特に、昨年3月の東京都目黒区での女児虐待死事件を受け、政府は同年7月に緊急総合対策を取りまとめ、同年12月には「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」を策定したが、児童相談所の体制強化などを盛り込んだ法改正案の国会提出直前の今年1月にも、千葉県野田市で再び痛ましい虐待死事件が発生してしまった。児童相談所も学校も教育委員会も警察も把握していながら救えなかったことは大変悔やまれるところである。
 よって、国におかれては、先般成立した児童虐待防止対策の強化を図るための改正児童福祉法等に基づき、次の事項について取組を推進するよう強く求める。
1 「しつけによる体罰は要らない」という認識を社会全体で共有できるよう周知啓発に努めるとともに、法施行後必要な検討を進めるとしている民法上の懲戒権や子どもの権利擁護の在り方についても速やかに結論を出すこと
2 学校における虐待防止体制の構築や警察との連携強化、スクールソーシャルワーカーやスクールロイヤー配置のための財政的支援を行うこと
3 虐待防止のための情報共有システムを全ての都道府県・市町村で速やかに構築ができるようシステムの仕様の提示や財政支援など必要な対策を講じるとともに、全国統一の運用ルールや基準を国において速やかに定めること
4 児童相談所とDV被害者支援を行う配偶者暴力相談支援センターとの連携を強化し、児童虐待とDVの双方から親子を守る体制強化を進めるとともに、児童相談所の体制整備や妊娠・出産から子育てまで切れ目のない支援を行う市町村の取組を充実・強化すること

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

  令和元年7月12日

 福岡県議会議長 栗原 渉

 衆議院議長 大島 理森 殿
 参議院議長 伊達 忠一 殿
 内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
 法務大臣 山下 貴司 殿
 文部科学大臣 柴山 昌彦 殿
 厚生労働大臣 根本 匠 殿
 内閣官房長官 菅 義偉 殿
 国家公安委員会委員長 山本 順三 殿