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平成31年2月定例会の知事議案説明要旨

当初提出議案(平成31年2月6日)

 本日ここに、第20回定例県議会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、ご参集いただき、厚くお礼申し上げます。
 このたびの議会は、議員各位、また、私にとりまして任期最後の定例県議会であります。皆様方におかれましては、県勢の発展のために多大なご尽力をいただき、心から敬意を表します。
 また、県政運営に深いご理解とご協力を賜りましたことに対し、厚くお礼を申し上げる次第であります。

 私は、知事就任以来、「県民幸福度日本一」の福岡県を目指して、これまで県民の皆様の生活の「安定」「安全」「安心」の向上に全力で取り組んでまいりました。
 その際には、生活者の視点を重視しながら、課題や問題を抱えておられる県民の方々に寄り添う「温かみのある行政」を心掛け、福岡県をさらに元気にすべく、施策を推進してきました。

 その主なものを挙げますと、まず第一に、「地域経済の活性化と魅力ある雇用の創出」です。
 中小企業の振興については、県内4地域に「地域中小企業支援協議会」を設置し、個々の企業の成長段階と事業環境に応じ、きめ細かな支援を行ってまいりました。
 就任以来、力を入れてきた「グリーンアジア国際戦略総合特区」は、国から全国7つの特区の中で最も高い評価を得ています。
 北部九州の自動車産業は、159万台の生産能力に、開発・設計機能が付け加わり、生産まで一貫して担うことができる世界有数の生産拠点に成長しました。
 このほか、将来の成長が見込まれるバイオ、ロボット、水素エネルギー、IoT、航空機といった先端成長産業の育成にも取り組んできました。
 農林水産業では、「ブランド化」、「輸出促進」、「6次産業化」を推進するとともに、担い手の確保、地産地消にも力を入れてまいりました。
 「はかた地どり」は出荷羽数九州一を実現し、平成29年度の県産農林水産物の輸出額は32億円を超え、過去最高を更新しました。
 観光面では、インバウンド観光客が急増しています。更なる誘客に努めるとともに、福岡空港や北九州空港の利便性の向上、多言語コールセンターの設置など受入環境の整備に取り組んでいるところです。
 また、「明治日本の産業革命遺産」と「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」がユネスコの世界文化遺産に登録されました。無形文化遺産に登録された「博多祇園山笠」、「戸畑衹園大山笠」、「世界の記憶」に登録された「山本作兵衛コレクション」などとともに、歴史、伝統、文化、そして、観光の面からも本県の魅力を国内外に発信しています。

 こうした産業振興策により、雇用の場の確保を図るとともに、求職者の年齢や状況に応じたきめ細かな就職の支援にも取り組んできました。現在、県の有効求人倍率は、昭和38年の統計開始以来、過去最高の水準で推移しており、就業者数もこの1年間で4万7千人増えております。

 第二に、「若い世代の夢と希望をかなえる社会の実現」です。
 これまで、若者のライフステージに合わせたきめ細かな施策を総合的に切れ目なく講じ、「出会い応援団体」、「子育て応援宣言企業」の登録の推進、保育所の整備や保育士確保などを進めてきました。
 また、「子ども医療費支給制度」を大幅に拡充し、入院・通院とも対象を小学校就学前から小学校6年生まで引き上げました。
 平成27年、「ふくおか未来人財育成ビジョン」を策定し、社会の宝である子どもたちが国際的な視野を持ち、地域で活躍する「人財」に育つよう、各種施策を展開しているところです。
 第三に、「安全・安心、災害に強い福岡県づくり」です。
 本県は、この8年の間に3度、豪雨災害に見舞われました。平成24年の災害については、昨年度末をもって全ての復旧が完了し、一昨年、昨年の災害については、復旧・復興に全力を挙げているところです。
 併せて、熊本地震や一昨年の九州北部豪雨を教訓とした地域防災計画の見直しを行うとともに、災害時における支援・受援体制の整備を進めるなど、防災対策の強化を図ってまいりました。
 治安面では、暴力団対策、飲酒運転撲滅、性犯罪対策、ニセ電話詐欺防止などに取り組んできました。
 第四に、「誰もが活躍できる社会の実現」です。
 就任以来、県自ら率先して、県庁の女性管理職を3倍に増やすなど、女性の活躍を進めてきました。
 本県から始まった「70歳現役社会」の取組みは、九州・山口まで広がりをみせています。
 また、障がいのある方の自立支援と社会参加の促進に努めるとともに、今年度から、県民一人一人が自分の健康について考え、自らその維持・増進に取り組む「ふくおか健康づくり県民運動」を新たに開始したところです。

 そのほか、生活の利便性、安全性を高め、産業の発展を支える社会基盤の整備を進めてまいりました。
 平成28年、東九州自動車道の北九州市から宮崎市までの全線が、29年、有明海沿岸道路の大牟田市から大川市までがそれぞれ開通しました。30年には、五ケ山ダム、伊良原ダムが竣工し、県道八女香春線の合瀬耳納トンネルが完成しました。
 また、スポーツの力で県と県民生活をより元気にする「スポーツ立県福岡」に取り組んでいるところです。
 特に、本年9月から開催される「ラグビーワールドカップ2019」の成功と、国内外からの観戦客の誘客と周遊に向けた取組みに加え、「ラグビーワールドカップ2019」、「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会」に係るキャンプ地の誘致を進めてまいりました。
 こうした施策に取り組み、各分野において、着実に成果は上がってきております。
 毎年実施している「県民意識調査」では、「福岡県に生まれてよかった、生活してよかった」と感じている人が、知事就任以来、上昇基調にあり、ここ3年連続して8割を超えるなど、県民の皆様の幸福実感は着実に高まっていると考えています。

 福岡県の人口は513万1千人で、前年から増え続けている7都県の1つです。その一方で、この福岡県もやがて人口減少に転じると予測されており、本県においても、地方創生が喫緊の課題です。
 地方創生の基本は、「誰もが住み慣れたところで働き、安心してお子さんを産み育て、長く元気に暮らすことができる、そうした地域社会をそれぞれの地域につくっていくこと」です。
 県民の皆様と知恵を出し合い、力を合わせ、それぞれの地域の強みや特色に磨きをかけ、各地域を元気にし、福岡県を前進、発展させていきたいと考えています。
 そして、福岡県を「日本海側の、しかもアジアを向いた一大拠点」として成長させ、九州を牽引し、我が国のバランスの取れた発展に貢献してまいります。

 さて、本日提案いたしております平成31年度予算は、統一地方選挙が行われるため、暫定予算によることとしております。
 今回の暫定予算は、4月から7月までの4か月間に必要な行政運営経費を計上することといたしております。
 社会保障費につきましては、国の制度改正や対象人員の変動等を見込んで必要額を計上しております。
 公共事業費は、上期の契約額の確保に配慮し、全体として前年度当初予算額の2分の1を上回る事業費を計上しています。
 災害復旧費は、復旧計画に基づく所要額と合わせて、新たな災害に備えた応急復旧費を計上いたしております。
 以上の方針に基づいて編成いたしました暫定予算は、
 一般会計で、7061億2900万円余
 特別会計の総額で、2386億4500万円余
 企業会計の総額で、51億1800万円余の規模となり、一般会計の対前年度当初予算比は40.8%となっております。
 一般会計の歳入につきましては、国庫支出金、県債などの特定財源のほか、県税、地方交付税などを計上いたしております。

 次に、歳出予算の主な項目についてご説明申し上げます。
 まず、総務部では、防災危機管理体制を強化するため、「防災・行政情報通信ネットワーク」の再整備に要する経費を計上しております。
 また、九州のブランド力を向上させるため、「九州ロゴマーク」の活用に要する経費を措置するとともに、県庁舎内に整備する託児施設の実施設計費を計上しています。

 企画・地域振興部では、「関門海峡ミュージアム」のリニューアルオープンに合わせ、北九州市と共同で行う記念イベントに要する経費を措置するとともに、北九州空港のより一層の利用促進のため、新規路線の誘致及び路線の定着に要する経費を計上しております。
 また、タイ王国総領事館の正式開館に合わせたレセプション及びタイフェスティバルの開催に要する経費を計上しています。

 人づくり・県民生活部では、「ラグビーワールドカップ2019」の開催に要する経費を措置するとともに、「世界フィギュアスケート国別対抗戦2019大会」及び「第103回日本陸上競技選手権大会」の開催支援に要する経費を計上しております。
 また、「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」の価値を広く発信するため、海の日に実施する遺産群周遊イベントに要する経費を計上しています。
 そのほか、私立学校の経営の健全性を確保し、保護者の経済的負担の軽減を図るための私立学校振興対策費を計上しております。

 保健医療介護部では、災害の発災直後から中長期にわたり、精神科医療及び精神保健活動の支援を行う災害派遣精神医療チーム「ふくおかDPAT」の整備に要する経費を計上しております。
 また、所得の低い高齢者の方が負担する介護保険料の軽減強化に要する経費を措置するとともに、「ふくおか健康づくり県民運動」を着実に進めるため、「ふくおか健康づくり団体・事業所宣言」の登録推進、専用ホームページによる情報発信に要する経費を計上しています。

 福祉労働部では、待機児童の早期解消を図るため、認定こども園等の整備、保育士等キャリアアップ研修の実施に要する経費を措置するとともに、保育士の処遇改善に要する経費を計上しております。
 また、各都道府県が共同で設置する被災者生活再建支援基金への追加拠出に要する経費を措置するほか、若者、中高年、子育て女性といった年代別及び対象別の就職支援センターの運営費、職業訓練に要する経費を計上しております。

 環境部では、アジア諸地域の環境問題の解決に貢献するため、ベトナム国内での福岡方式による廃棄物処分場に対する技術協力、中国やインド、アセアンの環境施策に携わる職員を対象とした国際環境人材の育成研修に要する経費を計上しております。
 また、フードバンク活動が持続可能な取組みとなるよう、食品提供企業の開拓や食品の受入れ、管理を一元化する取組みへの支援に要する経費を措置しています。
 そのほか、浄化槽の設置に対する助成費、産業廃棄物の適正処理の推進に要する経費を計上しております。

 商工部では、地域経済を支える中小企業の円滑な資金繰りを支援するため、中小企業振興資金の融資枠を引き続き十分確保するとともに、県内企業の生産性向上や課題解決を図るため、県内各産業へのIoT導入を促進する「IoTビジネスフォーラム福岡」の開催に要する経費を措置しております。
 また、本県及び九州への外国人観光客を拡大するため、フランスで開催される「JAPAN EXPO2019」で行う「ラグビーワールドカップ2019」のプロモーションに要する経費を計上しています。

 農林水産部では、九州北部豪雨で被災した朝倉地域における被災者の営農再開と産地の復興を支援するため、省力機械や新たな栽培技術、収益性の高い園芸品目を導入する「複合経営園地」の整備に要する経費を計上しております。
 また、県産農林水産物の販売・消費拡大のため、アンテナレストラン「福扇華」を活用した「福岡の食」の魅力発信の強化に要する経費を計上しています。
 そのほか、農業農村整備、林道、治山、造林及び沿岸漁場、漁港などの農林水産施設公共事業費を措置するとともに、高収益型園芸農業の振興に要する経費を計上しております。

 県土整備部では、一昨年、昨年の豪雨災害からの復旧を加速するため、災害復旧費を措置するとともに、災害の再発防止対策を推進するため、河川の拡幅、道路施設の改良、砂防施設の設置などの改良復旧費を計上しております。
 また、災害発生時に、被害状況を迅速かつ安全に把握し、早期の応急対応を行うとともに、復旧事業の進捗状況を地域住民に情報発信するため、カメラ搭載ドローンを導入する経費を計上しています。

 建築都市部では、九州北部豪雨における被災者の住まいの確保を支援するため、災害公営住宅等の整備を進めるとともに、仮設住宅等からの引越費用や民間賃貸住宅に入居する際の初期費用に対する助成費を計上しております。
 そのほか、公営住宅、街路、都市公園などの都市施設公共事業費、市街地再開発事業費及び流域下水道建設費を措置するとともに、民間の大規模建築物及び木造戸建住宅の耐震改修に対する助成費を計上しています。

 警察本部では、女性警察官の採用・登用を拡大するため、SNS等を活用した警察官の魅力発信に要する経費を措置するとともに、警察署における更衣室等の女性専用施設の整備費を計上しております。
 また、高齢運転者を対象とした講習等を円滑に実施するため、予約受付コールセンターの設置、講習等管理システムの構築に要する経費を計上しています。
 そのほか、「G20福岡財務大臣・中央銀行総裁会議」の円滑な進行を確保するための警備に要する経費を計上しております。

 教育委員会では、近年の猛暑や日常生活の中で空調使用が一般化している状況等を踏まえ、PTAにより設置・管理されている県立学校の空調設備を、県に移管するための経費を計上しております。
また、県立学校施設の大規模改築、県立スポーツ施設のバリアフリー化、老朽化対策工事に要する経費を措置しています。
 以上が暫定予算の概要であります。

 本日、ここに提案しております議案及び諮問は、ただいまご説明申し上げました予算議案20件のほか、条例議案18件、専決処分したものについて報告し承認を求める議案1件、契約の締結に関する議案2件、その他の議案4件、人事に関する議案2件、福岡県教育委員会が行った退職手当の支給制限処分について知事への審査請求がなされたことに伴う県議会への諮問1件であります。
 このうち、条例議案について、その概要をご説明申し上げます。

 第一は、「福岡県部落差別事象の発生の防止に関する条例の全部を改正する条例」であります。その内容は、「部落差別の解消の推進に関する法律」が制定されたことに鑑み、部落差別の解消に関し、基本理念を定め、県の責務を明らかにするほか、必要な事項を定めるものです。

 第二は、「福岡県迷惑行為防止条例の一部を改正する条例」であります。その内容は、透視機能を用いた写真機での撮影行為など、近年の多様化した暴力的不良行為等に的確に対応するため、これを規制するとともに、罰則の改正を行うほか、所要の規定の整備を行うものです。

 そのほか、旅券の発給申請の受理や交付の事務を上毛町に移譲する条例、屋外広告物に係る条例の制定や改廃に関する事務を古賀市が処理することとする条例、県立学校及び市町村立学校職員の定数を改める条例、関係法令の一部改正等に伴い所要の規定の整備を行う条例5件などであります。

 以上、提出議案等の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。

追加提出議案(平成31年2月13日)

 本日、追加提案いたしました議案は、19件であります。その内訳は、平成30年度補正予算議案9件、経費負担に関する議案10件であります。

 まず、予算議案について、ご説明申し上げます。
 今回の補正予算は、国の補正予算を最大限活用し、豪雨災害復旧・復興、防災減災、農林水産業の競争力強化等に必要な経費について、総額359億9700万円余を追加いたしております。
 そのほか、障がい者自立支援給付費をはじめとする社会保障費などを増額するほか、年度内の所要額がほぼ確定した災害復旧費や経費の節減を行った事業費等を減額しております。

 補正予算の額は、一般会計で130億4800万円余、特別会計で13億6300万円余をそれぞれ増額しております。
 一般会計の歳入につきましては、県税、地方交付税のほか、歳出予算に対応した国庫支出金、県債等の補正を行っております。
 その結果、平成30年度予算の総額は、一般会計で1兆7847億500万円余、特別会計で9867億9100万円余となっております。

 次に、歳出予算で追加いたしております主な経費について、ご説明申し上げます。
まず、豪雨災害からの復旧・復興を加速するため、河川の改良、砂防ダムの設置などの改良復旧費を計上するとともに、緊急輸送道路、ため池の整備、西鉄天神大牟田線の連続立体交差事業の推進等の防災減災に必要な経費を追加しております。
 併せて、農林水産業の競争力強化に向けた生産流通施設の整備、障がい者支援施設の整備に対する助成費を追加しております。
 このほか、関門海峡ミュージアムの展示更新や農林業総合試験場の機能強化に要する経費を措置しております。
 以上が補正予算の概要であります。

 経費負担に関する議案は、福岡県防災・行政情報通信ネットワーク再整備事業ほか2件について市町村等の負担すべき金額を定めるもの及び空港整備事業ほか6件について議決内容の一部を変更するものであります。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。