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平成27年6月定例会の知事議案説明要旨

当初提出議案(平成27年6月17日)

 本日ここに、第2回定例県議会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、ご参集いただき、厚くお礼申し上げます。
 このたびの議会は、県政運営の基本となる平成27年度の当初予算をはじめ、多くの重要な案件についてご審議をお願いするものであります。
 議案の説明に先立ち、まず二期目の県政運営に関する私の所信を申し上げ、議員各位をはじめ、県民の皆様のご理解と、より一層のご協力をお願い申し上げる次第であります。

 私は、知事就任以来、この福岡県を太平洋側ではない、唯一日本海側の、しかもアジアを向いた一大拠点として発展させ、この国の発展に貢献していくこと、そして、県民の皆様が「この県に生まれてよかった、生活してよかった」と思っていただける「県民幸福度日本一」を目指して、全力投球をしてまいりました。その際、「現場主義」、「生活者の視点」、「温かみのある行政」、この三つを心掛けてまいりました。
 日本の経済が緩やかに回復している中、福岡県の経済も持ち直してきており、この4年間で8万7千人の新しい雇用が生まれました。県の有効求人倍率は、昭和38年に統計を開始して以降、過去最高の水準で推移しています。
 これからが大事な時期です。
 私は、持ち直してきている県経済、その回復を確固たるものにし、県内各地の皆様が、それを実感できるようにしてまいります。
 このため、まず第一に、国の予算も活用して、機動的な経済対策を講じて、「景気の回復と魅力ある雇用の場の創出」を図ってまいります。
 雇用の8割を担い、地域経済を支える中小企業を総合的に支援するため、「中小企業振興条例」の制定に向け、準備を進めているところです。
 また、本年4月、県内4地域に「地域中小企業支援協議会」を設立しました。県の中小企業振興事務所を中心に、市町村や商工会議所・商工会などの支援機関、金融機関、専門家団体などが連携し、地域の力を結集することによって、中小企業に対する支援を充実してまいります。
 「プレミアム付き地域商品券」について、今年度は昨年度の倍の250億円発行し、地域の消費を喚起し、地域経済を下支えしていきます。
 「グリーンアジア国際戦略総合特区」は、設備投資額が1,200億円を突破、約750人の新規雇用が生まれ、2年連続で国から最も高い評価を受けました。
 引き続き、産学官が一体となって、一つでも多くの事業を具体化し、その効果を広く県の内外に波及させるとともに、特区事業への参入を目指す企業を支援してまいります。
 将来の成長産業の育成も進めてまいります。
 北部九州は、154万台の生産能力を誇る世界有数の自動車生産拠点です。昨年3月、ダイハツ工業の「久留米開発センター」が開設され、トヨタ自動車九州においても、来年春、R&D部門と生産技術部門の連携拠点となる「開発棟」が開設されます。このように、生産だけではなく、設計・開発機能の集積も進んでおり、世界のマザー工場としての役割が期待されています。
 水素エネルギー社会の構築については、昨年8月、官民一体となって「ふくおかFCVクラブ」を立ち上げ、FCVの普及と水素ステーションの整備を一体的に進めております。
 FCVの普及については、今年度から、新たに、FCVを県民の皆様に、より認識していただくための展示・試乗会「ふくおかFCVキャラバン」を開催するとともに、レンタカーへの導入についても支援を行うこととしています。
 水素ステーションについては、当面の目標としていた県内10か所について、開所され、又は整備が決定され、県庁においても、今年度、移動式の水素ステーションの整備を行うこととしています。
 官民挙げて、これらの取組みを進めることによって、福岡県が他に先駆けてFCVの普及拠点となることを目指していきます。
 このほか、ロボット、バイオ、Rubyなどの先端産業や家事支援、介護サービスなどの新生活産業の育成にも努めてまいります。

 観光の分野について、福岡県は、九州の玄関口として大きな役割を果たしております。昨年、168万人の外国人観光客が九州を訪れ、そのうち121万人が本県に入られました。クルーズ船も外国船だけで博多港に99隻の入港があり、いずれも過去最高です。この玄関口の利便性を高め、九州観光推進機構、九州各県と連携し、特区を活用した通訳ガイドの育成、Wi―Fi網の整備など受入環境の整備を進めてまいります。
 去る5月4日、「明治日本の産業革命遺産」が、国際記念物遺跡会議(ICOMOS)の勧告で、世界遺産にふさわしいとの評価が出されました。最終的な結論は、7月にドイツ・ボン市で開かれるユネスコの「世界遺産委員会」で決まる予定です。
 「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」についても、登録に向け、しっかり取り組んでまいります。

 農林水産業は、私たちの生活と食を支える重要な産業です。本県は、農林水産業産出額が全都道府県14位の全国有数の農林水産業県です。私は、福岡県の農林水産業は、もっともっと伸びる産業であると考えております。
 昨年制定した「福岡県農林水産業・農山漁村振興条例」に基づき、収益性が高く、足腰の強い農林漁業経営を確立し、若者にとっても魅力ある産業にしてまいります。
 水田農業については、「農地中間管理機構」の活用及び県の支援策により、農地集積を進めるとともに、集落営農組織の法人化を推進し、経営基盤を強化してまいります。
 園芸農業については、高収益型園芸事業による施設の整備、ブランド化や六次産業化に力を入れるとともに、私自身、引き続き内外におけるトップセールスに努めます。
 安全で美味しい高品質な本県の農林水産物は、海外でも高い評価をいただいております。平成26年度の農産物の輸出額は、16億円を超え、過去最高を記録しました。今後は、九州各県とも一体となって、アジアをはじめとする海外への輸出拡大を図ってまいります。

 第二に、「出会い、結婚、子育て、就職・仕事の支援」です。
 近年の少子化・人口減少は、経済活動はもとより、社会保障制度や地域コミュニティの維持などに大きな影響を与えるものであります。
 福岡県の人口は、現在、509万人。今も人口が増え続けている数少ない県の一つです。しかし、余力のある今こそ、将来の人口減少に備えなければなりません。
 このため、私を本部長とする「福岡県人口減少対策本部」を庁内に設置し、少子化と社会増減の両面から、様々な分析と検討を行っています。その際、市町村との連携はもちろん、各分野の関係者からも幅広くご意見をお聞きしながら、本県における人口ビジョン及び総合戦略の策定作業を進めているところです。
 また、少子化対策については、男女の出会い、結婚、出産、子育て、就職といった、人それぞれのライフステージに合わせたきめ細かな施策を総合的に推進することが必要です。
 特に、子どもの医療費助成については、少子化対策の重要な柱として、大幅に拡充したいと考えています。将来にわたって持続可能な制度となるよう、市町村の財政状況を勘案しながら、検討しているところです。
 また、保育所の整備や保育士の確保を進め、待機児童の解消を目指してまいります。
 さらに、希望する方の正規雇用への転換促進と非正規雇用の処遇改善に取り組んでまいります。
 このほか、多様な出会いの機会の提供による結婚の応援、保育サービスの充実、「子育て応援宣言企業」の拡大と育児休業の取得の促進、若者や子育て女性の就職支援も行ってまいります。

 第三に、「女性や高齢者の活躍の応援」です。
 人口が減少する中、地域が活力を維持していくためには、女性や高齢者の方々に生き生きとご活躍いただくことが不可欠です。
 私は、就任以来、率先して女性の登用を行ってきました。今年度の課長相当職以上の女性職員は61名、私が知事になる前の27名から倍増し、割合も3.5%から8%へ増えました。行政改革大綱の平成28年度までの目標6%を、2年前倒しで達成しました。今年度中に、新たな目標を策定することとしています。
 また、女性が活躍できる環境の整備として、男性管理職を対象としたセミナーや「ふくおか女性いきいき塾」を開催していますが、今年度は、新たに「女性起業家育成塾」を開催します。
 「子育て応援宣言企業」については、さらなる拡大を進め、6千社を目指してまいります。
 全国に先駆けて設置した「70歳現役応援センター」は、開所から4年目を迎えました。これまでに6千人を超える高齢者が登録をされ、2千人を超える方が仕事やボランティアで活躍されています。県民の皆様に身近な地域でご利用いただけるよう、今年度、新たに久留米と飯塚それぞれに常設のオフィスを設置します。
 今後も、社会で活躍したい高齢者の皆様を応援する取組みを推進し、福岡県が先頭に立って、九州・山口、そして全国へと、この「70歳現役社会づくり」を広げてまいります。

 第四に、「たくましいグローバルな人材の育成」です。
 資源の乏しい我が国においては、「人」こそが最も重要な資源であり、子どもたちは、次代を担う大切な「宝」です。
 今後の福岡県、そしてこの日本の国の発展を考えると、「国際的な視野を持って、地域で活躍をする」人材の育成が不可欠です。
 福岡県は、残念ながら、「学力」「体力」とも全国平均を下回っています。この現状及び「教育力向上県民運動」、「青少年アンビシャス運動」などこれまでの取組みの検証結果を踏まえ、グローバル化など今後の社会情勢の変化も見据えて、「新しい人材育成策」を打ち出してまいります。そして、この「新しい人材育成策」を、県総合教育会議が策定する「教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策の大綱」にも位置付けたいと考えております。
 また、今年度、児童生徒の学力及び体力向上に向けた新たな取組みを進めてまいります。

 2019年、ラグビーの世界一を決めるワールドカップが日本で開催されます。本年3月、その開催地の一つに「博多の森球技場」が選ばれました。
 次の目標は、キャンプ地の誘致です。2020年東京オリンピック・パラリンピックのキャンプ地では、昨年10月、一足早く、スウェーデンと基本合意書を締結することができました。県内の多くの市や町が両大会に係るキャンプ地の誘致を目指しています。今後、関係者の皆様と一体となって、誘致に取り組んでまいります。
 このほか、「新県立美術館」の整備について、検討を進めてまいります。

 第五に、「安心して生活できる共助社会の実現」です。
 福岡県は、十年後、3人に1人が高齢者になると予想されています。高齢者が住み慣れた地域で安心して生活できるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援といったサービスを一体的に切れ目なく提供する「地域包括ケアシステム」の構築を、市町村と連携して進めているところです。
 「見守りネットふくおか」、「認知症高齢者等徘徊SOSネットワーク」など、ネットワークの多重化により、一人暮らしの高齢者や認知症の方々を地域社会全体で支援する取組みを拡充してまいります。
 障害者の自立支援については、「障害者就業・生活支援センター」の支援員を増員し、就業支援体制を強化します。
 また、「まごころ製品」の大規模販売会、障害者施設と民間企業との商談会を開催するとともに、「障害者応援まごころ企業」の拡大に取り組み、障害者の方々の収入拡大を支援してまいります。

 最後に、「安全・安心、災害に強い県づくり」です。
 平成24年の九州北部豪雨で、本県は、甚大な被害が発生しました。
 関係者の皆様のご尽力により、県の公共土木施設の原形復旧工事は、本年3月までに全て完了しました。河川の拡幅や橋りょうの架け替えなど改良復旧工事は、全て着手しており、現時点で約8割が完成しています。一日も早い完全復興に向け、引き続き全力を尽くしてまいります。
 建築物の耐震化については、これまで、木造戸建住宅、私立学校、災害拠点病院などの耐震改修を助成し、着実に進めてまいりました。今年度は、新たに民間大規模建築物の耐震改修に対する助成制度を創設し、建築物の耐震化を加速してまいります。
 空き家対策については、本年三月、「福岡県空家対策連絡協議会」を設置し、人口減少社会対応への観点からも、官民連携による新たな仕組みの検討を進め、対策の充実強化を図ってまいります。

 治安の面では、危険ドラッグについて、昨年12月、「福岡県薬物の濫用防止に関する条例」が制定されました。この条例に基づき、「法律で指定されていない危険ドラッグ」などを「知事指定薬物」として規制するなど警察と連携した取締りを強化するとともに、県民の皆様の協力も得ながら、薬物乱用を撲滅してまいります。
 飲酒運転の撲滅については、本年2月、「飲酒運転撲滅条例」が改正され、飲酒運転検挙者全員に対し、アルコール依存症の受診を義務付けるなどさらなる対策の強化が図られたところです。「飲酒運転は絶対しない、させない、許さない」、引き続き飲酒運転の撲滅に取り組んでまいります。
 このほか、大きな前進がありました暴力団対策や県内での被害が急増している「ニセ電話詐欺」、性犯罪の撲滅についても、引き続き全力で取り組み、県民の皆様の安全・安心を向上させてまいります。

 地域の将来の発展基盤の整備も重要です。福岡空港の平行誘導路二重化の早期完成、今年度国の予算において、初めて事業予算が計上された滑走路増設の早期着工と完成について、引き続き関係者の皆様と力を合わせ、着実に事業が実施されるよう取り組んでまいります。
 北九州空港においては、今年度、国土交通省から、エプロンの新設が発表されました。新たな路線誘致や貨物拠点化に取り組んでまいります。
 福岡・北九州両空港の連携強化のため、北九州空港と福岡都市圏を直接結ぶリムジンバスを本年7月から運行することとし、その準備を進めています。
 このほか、東九州自動車道についても、沿線自治体をはじめ関係者の皆様と一体となり、一日も早い全線開通と沿線地域の活性化を目指します。

 県内各地には、豊かな自然、歴史、文化、そして産業など特色ある市町村があります。私は、地域の皆様と知恵を出し合い、力を合わせて、それぞれの地域が持っている特性や強みを最大限活かすことによって、それぞれの地域を元気にし、福岡県全体を元気にし、前進、発展させていきたいと考えております。

 ここで、平成27年度の当初予算について、ご説明申し上げます。

 地方財政は、地方税収入や地方交付税の原資となる国税収入が一定程度増加する一方で、社会保障関係費の自然増や公債費が高い水準で推移すること等により、依然として財源不足が生じるものと見込まれています。
 県としては、こうした厳しい財政環境を踏まえ「財政改革推進プラン」を着実に進めることによって、行政改革と一体となった財政健全化に取り組み、メリハリを付けた予算編成を行うこととしました。

 平成27年度の当初予算は、
 一般会計で、1兆7769億7400万円余
 特別会計の総額で、6105億600万円余
 企業会計の総額で、89億5300万円余
の規模となっております。
 一般会計につきまして、その内容を概括的に申し上げますと、予算規模は、前年度当初予算比で6.3%の増で、過去最大となっております。
 歳出予算については、公共事業費について、補助公共事業費が151億円、14.8%の減となる中、県債の発行抑制に配慮しつつ、必要な単独公共事業費を措置いたしました。その結果、公共事業費全体では、国が市町村に直接補助する方式に変更された保育所整備費を除き、110億円、5.8%の減となっております。引き続き国に対して補助事業の予算獲得を働きかけるとともに、今後、県内経済の動向を見極めつつ、必要な事業量の確保に努めてまいります。
 社会保障費については、子ども・子育て支援新制度の本格実施や難病医療費助成の拡充等に伴う県負担の増額などを含めて131億円の増、公債費は31億円の増となっています。人件費は、引き続き職員定員の削減を実施したものの、警察官定数の増加や退職者の増加等により、29億円の増となっています。

 歳入予算につきましては、地方消費税率の引上げの平年度化や法人二税が堅調であること等により、県税等の収入が前年度に比べ1652億円の増で、過去最大となっております。
 また、地方交付税の振替措置である臨時財政対策債を含めた地方交付税等は、県税収入等の増に伴い総額で302億円の減となっております。

 歳入・歳出全般にわたって極力財源不足の圧縮に努めた結果、40億円の財源不足が生じる見込みとなりました。これについては、財政調整基金や減債基金等からの繰入れを行い、収支の均衡を図ったところであります。

 歳出予算の主要施策につきまして、ご説明申し上げます。

 第一は、「景気の回復と魅力ある雇用の場の創出」であります。
 地域経済を支える中小企業の経営安定を図るため、中小企業振興資金の融資枠を引き続き十分確保します。また、小規模事業者の設備・運転資金の調達を支援する「小規模事業者振興資金」を創設するとともに、緊急経済対策資金の融資対象に、原材料価格高騰の影響を受ける中小企業を追加します。
 「グリーンアジア国際戦略総合特区」への企業立地促進交付金を十分に確保するとともに、特区関連分野への参入を図る企業の人材確保・育成を支援します。
 また、市町村が行う工場適地選定調査、オフィス系企業の受け皿となる公的遊休施設の整備に対する新たな助成を行います。
 さらに、本県への本社機能等誘致を進めるため、三大都市圏において企業立地セミナーを開催し、アジアとの近接性や多彩で優秀な人材など本県の魅力の発信に努めます。
 新たに、域外からの創業希望者を掘り起し、地域資源を活用した創業を地域が一体となって支援します。
 また、「北部九州自動車産業アジア先進拠点推進構想」の実現に向け、地元企業の取引拡大及び電子・電装系分野への参入支援を図ってまいります。

 アセアン、欧州において、食、観光、若者文化など本県の魅力に関するプロモーションを実施するほか、県産品の輸出促進及び海外からの観光客誘致を積極的に進めます。
 また、来年3月の「福岡ソフトバンクホークスファーム本拠地球場」の開業を契機に、地元自治体、JR九州と連携した記念イベント、筑後七国等と連携した関連イベントを展開します。
 さらに、「東京ガールズコレクションin北九州」の開催を支援し、国内外からの誘客、県内周遊を促進します。
 「明治日本の産業革命遺産」について、世界遺産登録が実現した際には、記念式典を開催するとともに、県管理の三池港に案内解説板や駐車場等の整備を行い来訪者の利便性向上を図ります。
 「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」については、景観ガイドラインの策定を行うほか、本年10月に本県で開催される「国際イコモス年次総会」において、約130か国から出席する役員、専門家に対し、同遺産のPRを行い、早期登録を目指してまいります。

 次に、収益性の高い農林水産業の確立と輸出の促進であります。
 水田農業について、県独自の交付金などを活用し、「農地中間管理機構」を通じた担い手への農地集積を強力に推進します。
 収益性の高い活力ある園芸農業の育成・強化については、新たにハウス等の改修・補強を支援し、園芸施設の長寿命化を図ります。
 また、畜産業の競争力を強化するため、畜産農家での自給牧草飼料の生産拡大に必要な機械の整備に対して新たに助成を行います。
 併せて、福岡県産品のブランド化対策として、「博多和牛」の増産に向け、乳用種から収益性の高い「博多和牛」への生産転換を支援するとともに、県産和牛子牛の県内取引の拡大を図ります。
 また、農林水産物の鳥獣被害防止に引き続き取り組むとともに、来年2月の「日本ジビエサミット」に合わせて全国ジビエ祭り・地域ジビエ祭りを開催します。
 さらに、食育・地産地消の県民運動を推進するため、農山漁村の魅力を都市に発信する交流会を開催します。
 林業については、異業種からの参入を促進するため、高性能林業機械の導入及び運転技能習得を新たに支援するほか、建築物の木造・木質化を推進します。
 また、福岡、佐賀、長崎三県合同による中国、韓国への木材輸出の実証、EUへの緑花木の輸送品質を維持させる技術開発に取り組みます。
 水産業については、アサリ資源回復のため、県が開発した稚貝育成装置の実証を全海域で行います。
 また、平成29年度に本県で開催される「第37回全国豊かな海づくり大会」の基本構想を策定いたします。

 第二は、「出会い、結婚、子育て、就職・仕事の支援」であります。
 本年3月に策定した「ふくおか子ども・子育て応援総合プラン」に基づき、施策を推進してまいります。
 認定こども園職員研修、子育て支援員・放課後児童支援員認定研修を新たに実施し、保育の質の向上を図ります。
 また、保育所、認定こども園、幼稚園、小規模保育事業所等の運営に対する負担金を計上するとともに、市町村が地域の特性に応じて行う一時預かり事業、延長保育事業に対し助成を行います。
 併せて、市町村が行う病児保育施設の整備、小規模ファミリーサポートセンターの運営に対し新たに助成するとともに、放課後児童クラブの設置を促進します。
 若者、30代、中高年、子育て女性といった年代別及び対象別の就職支援センターにおいて、引き続き個別相談及び専門研修を実施します。
 新たに、「福岡県正規雇用促進企業支援センター(仮称)」を設置し、専門のアドバイザーによる人材採用・定着支援を行うとともに、希望する方の正規雇用への転換と非正規雇用の処遇改善を図ってまいります。

 第三は、「女性や高齢者の活躍の応援」であります。
 国際的に活躍する女性リーダーを招いた「ふくおか国際女性会議(仮称)」を開催し、女性が元気に活躍する福岡県を国内外にアピールしていきます。
 また、新たに大学生による高校生への出張授業を開催するなど自らが主体的に将来を考えることができるよう、若年層の意識啓発を強化します。
 「70歳現役社会づくり」については、今年度、新たに設置する久留米、飯塚オフィスを含め、「70歳現役応援センター」における個別相談や企業相談を充実させるなど身近で、きめ細かな支援に努めてまいります。

 第四は、「たくましいグローバルな人材の育成」であります。
 児童生徒の学力向上のため、引き続き小学5年生から中学3年生を対象とした教材集の作成と診断テストを実施するとともに、学力向上支援チームの派遣、外部人材を活用した土曜授業を推進します。
 加えて、新たに、小学5年生と中学2年生を対象とした本県独自の学力調査の実施、市町村が行う放課後学習活動の支援に取り組むとともに、児童生徒の体力向上についても、小学校への体幹を意識した運動及び望ましい食習慣を指導するアドバイザーの派遣、中学・高校の運動部活動を活性化するための外部指導者の派遣を開始します。
 また、教員の英語力・指導力向上研修や海外派遣研修の実施など英語教育の指導体制を充実することにより、児童生徒の英語コミュニケーション能力の育成強化を図ります。
 青少年アンビシャス運動については、新たに放課後児童クラブと連携するアンビシャス広場及び広域的なボランティア活動に対する助成を行います。
 また、コミュニティ・スクールの導入、家庭における読書活動、中学生読書活動サポーターの養成に取り組む市町村に対し新たに助成します。
 さらに、市町村が行う非行少年等の支援拠点に対する助成を行うとともに、ボランティア体験活動及びNPOと連携した就労への支援に取り組むほか、新たに就労開始時の身元保証に対する支援を行います。
 私立学校の経営の健全性を確保し、保護者の経済的負担の軽減を図るため、引き続き私立学校に対する必要な助成を行います。

 2019年ラクビーワールドカップの福岡開催に伴い、組織委員会への分担金を措置するとともに、ラグビー関係者、県内市町村の皆様と力を合わせて大会の成功に向け取組みを進めます。
 また、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、引き続き海外の優秀なコーチによるトップアスリートの育成に取り組むとともに、新たに練習環境の整備や有望選手の発掘など女性アスリートの育成を強化します。
 また、「新県立美術館に関する基本構想検討委員会(仮称)」を設置し、「新県立美術館」の整備検討を進めてまいります。

 第五は、「安心して生活できる共助社会の実現」であります。
 先天性心疾患など難治性疾患に対応可能な小児高度専門医療を提供する医療機関に対し、設備整備・病床運営に係る新たな助成を行います。
 また、相談支援体制の強化を図る観点から、「難病相談・支援センター」に、新たに小児慢性特定疾病児童等に対する自立支援員を配置するとともに、小児救急医療電話相談の土日、祝日の受付時間を拡大します。
 住み慣れた地域で適切な医療・介護サービスが受けられる社会を実現するため、市町村における「地域包括ケアシステム」の構築を推進します。
 また、健康寿命の延伸を図るため、医療費、介護費等の分析システムの開発、認知症・介護予防拠点施設の整備に対し助成を行います。
 さらに、介護従事者に対する認知症対応力向上研修及び介護業務の負担軽減・効率化を図るための介護ロボットの導入に対し助成します。
 併せて、地域における在宅医療の充実、医療従事者の確保・養成、介護施設の整備を推進します。
 発達障害児者とその家族に対する支援を総合的に行う「発達障害者支援センター」に、新たに、地域における関係機関の支援体制を構築する地域支援マネージャーを配置するとともに、保育士や相談支援事業所職員に対する研修の実施など発達障害児者に対する身近な地域での相談支援機能を強化します。

 第六は、「安全・安心、災害に強い県づくり」であります。
 平成24年豪雨災害からの完全復興に向け河川改修・砂防工事等を着実に実施するとともに、緊急輸送道路の整備、橋りょうの耐震補強を進めます。
 民間の大規模建築物について、これまでの耐震診断に加え、新たに耐震改修にも助成を行います。また、木造戸建住宅、災害拠点病院、JR博多駅などの主要ターミナル駅の耐震改修及び私立幼稚園・学校の耐震改修・改築に対し助成し、県下の建築物の耐震化を加速します。
 また、空き家対策として、新たに住宅の活用・管理などのノウハウを持つ民間事業者等が市町村と連携して行う空き家活用のモデル事業に対し助成します。
 災害時に安全で円滑な避難が行われるよう、消防団の協力を得て、自主防災組織の育成強化をさらに進めます。
 また、「防災・行政情報通信ネットワーク」の再整備に係る実施設計費を措置し、より迅速で確実な情報通信網を整備します。

 次に、徹底した治安の確保であります。
 危険ドラッグ撲滅対策として、大学での危険ドラッグ乱用防止研修、夜回り隊による街頭啓発など若年層への啓発を強化するとともに、専用の鑑定機器を整備し、危険ドラッグの販売業者への取締りを強化します。
 飲酒運転撲滅対策として、新たに、飲酒運転者やその家族に対する相談窓口を設置するとともに、飲酒運転違反者への適正飲酒指導、特に依存症の疑いが強い生活困窮者の指定医療機関での診察に係る費用負担を行います。
 性犯罪対策として、「性暴力被害者支援センター・ふくおか」の24時間体制を整備し、被害者へのきめ細かな支援を強化するとともに、マンガ冊子、メール配信などにより、性犯罪被害が急増する年齢層への重点的な教育・啓発を実施します。
 「ニセ電話詐欺」対策として、金融機関等と連携した水際対策を強化する防犯チェックシートを作成するとともに、取締り強化、検挙のための捜査資機材を整備します。
 また、県、警察、民間団体が推進機関となり、高齢者への声かけの推進及び通報制度の拡大を目指す「ニセ電話気づかせ隊」を発足し、社会全体で水際阻止を図ります。
 暴力団員の徹底検挙、保護対策のさらなる徹底、暴力団等の動向情報の集約・分析を行うシステムの充実を図るなど暴力団壊滅に引き続き取り組んでまいります。

 快適な生活環境の実現に向け、県独自の環境物品認定制度を創設し、県内で製造されたリサイクル製品の利用を促進します。
 また、飯塚市の産業廃棄物最終処分場において、行政代執行により、鉛を含む廃棄物層による支障のおそれを除去するための工事に着手するとともに、処分場周辺の井戸水等のモニタリングを引き続き実施します。
 福岡空港の滑走路増設及び平行誘導路二重化、北九州空港のエプロン整備による貨物拠点化等に取り組みます。
 併せて、両空港の連携強化を図るため、新たに、北九州空港と福岡都市圏を直接結ぶリムジンバスを導入するとともに、苅田北九州空港インターチェンジから北九州空港へのアクセス道路に係る調査を実施します。
 筑後広域公園など都市公園の整備を推進するとともに、五ヶ山ダムと伊良原ダムの建設を着実に進めてまいります。
 以上が当初予算の概要であります。

 本日、ここに提案しております議案は、ただいまご説明申し上げました予算議案20件のほか、条例議案12件、専決処分したものについて報告し承認を求める議案1件、契約の締結に関する議案10件、経費負担に関する議案3件、地方道路公社の定款の変更に関する議案1件、人事に関する議案3件であります。
 このうち、条例議案について、その概要をご説明申し上げます。

 第一は、「福岡県税条例等の一部を改正する条例」であります。その内容は、「地方税法」等の一部改正等に伴い、法人事業税所得割の税率の引下げと外形標準課税の拡大を行うとともに、旧三級品の製造たばこに係る県たばこ税の特例税率の見直しを行うほか、所要の規定の整備を行うものであります。

 第二は、「福岡県建築基準法施行条例の一部を改正する条例」であります。その内容は、「建築基準法」の一部改正等により、新たに特定避難時間倒壊等防止建築物が規定されたことを踏まえ、防火及び避難のための規定について、当該建築物を適用外とするほか、所要の規定の整備を行うものであります。

 第三は、「福岡県児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例」であります。その内容は、「児童福祉施設最低基準」の一部改正等に伴い、保育所に勤務する准看護師を保育士とみなすことができることとするほか、所要の規定の整備を行うものであります。

 第四は、「福岡県都市公園条例の一部を改正する条例」であります。その内容は、筑後広域公園にプール棟を整備することに伴い、館内施設のフィットネスルームの利用料金の上限を定めるほか、所要の規定の整備を行うものであります。

 そのほか、「東日本大震災の被災者に対する使用料及び手数料の免除等に関する条例の一部を改正する条例」などその有効期限を延長する条例3件及び関係法令の改正等に伴い所要の規定の整備を行う条例5件であります。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。