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令和3年6月定例会の知事議案説明要旨

当初提出議案(6月4日)

  議案の説明に入ります前に、発言をお許しいただきたいと思います。
  先月30日、器物損壊により職員が逮捕される事態が発生しました。
  県民の皆様に不要不急の外出自粛、特に20時以降の外出を慎んでいただくようお願いしている中、職員が遵守すべき通知を無視し、酒類を提供する店で飲酒し、深夜、酒に酔った状態で引き起こしたものです。
  このことは、要請にご協力いただいている多くの飲食事業者の皆様を裏切る行為であるだけでなく、県政に対する信頼を著しく損ねるものであり、大変申し訳なく、本県議会を通じて県民及び事業者の皆様に対し深くお詫び申し上げます。
 今後、詳細な事実関係を確認の上、厳正な処分を行うとともに、改めて職員に対し通知厳守を徹底させ、信頼される県政の推進に全力を尽くしてまいります。

  本日ここに、第14回福岡県議会定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、ご参集いただき、厚くお礼申し上げます。

  本県では、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、4月20日からのまん延防止等重点措置に準じる県独自の措置、5月12日からの緊急事態措置など、これまで、不要不急の外出自粛や休業・営業時間短縮などの厳しい要請を行ってまいりました。これに対し、多くの県民及び事業者の皆様にご理解とご協力をいただいておりますことに、深く感謝申し上げます。
  また、医療従事者の皆様、様々な現場で社会を支えていただいている皆様に対しましても、改めて敬意を表し、感謝申し上げます。

  本県における新型コロナウイルスの新規陽性者数は、5月12日に過去最多の634人となって以降、徐々に減少しましたが、1日200人前後の高い水準で推移し、5月24日時点の直近1週間の人口10万人当たりの数は46・9人と、国の分科会が示す判断指標のステージⅣ相当に留まっており、予断を許さない状況にありました。
  また、医療提供体制については、5月24日時点の病床使用率は80%、重症病床使用率は50・6%と高い水準となっており、医療機関への負荷が大きい状態が続いておりました。
  これらの状況に加え、従来株に比べて感染性が強い変異株による感染が約9割と拡大しており、早期のリバウンドを警戒する必要もあったことから、当初の期限である5月31日をもって緊急事態措置を解除することは困難であると判断し、また、専門家も同様の意見であったため、5月25日、私から西村経済再生担当大臣に対し、緊急事態措置の延長を検討するよう要請しました。大臣からは、国としても福岡県の状況を注視しており、県の意見を踏まえて検討していきたい、との話がありました。
  そして、5月28日、政府対策本部は、特措法第32条第3項に基づき、本県が緊急事態措置を実施すべき期間を延長し、6月20日までとすることを決定しました。
  これを受け、県では、国の基本的対処方針に基づき、緊急事態措置を継続し、これを徹底することにより、感染の封じ込めを図ることを決定したところです。
  現在、新規陽性者数は、皆様のご協力により、ここ数日間は100人前後で推移しており、6月3日時点の直近1週間の人口10万人当たりの数は17・5人と、判断指標のステージⅣからステージⅢ相当とはなっておりますが、依然、厳しい状況にあります。
  このような中で、飲食店の皆様に対する休業・営業時間短縮要請に対しては、98・8%の店舗が要請に応じていただいており、ご協力いただいている飲食店の皆様に感謝申し上げます。正当な理由なく、要請に応じていただいていない店舗につきましては、特措法に基づく措置・命令も視野に入れて対応してまいります。
  医療提供体制の強化については、4月19日時点で802床であった陽性患者を受け入れる病床は、目標の1,220床を上回る1,359床に、うち重症病床は111床から187床に増床しました。ご協力いただいた医療機関の皆様に改めて感謝申し上げます。引き続き、緊急時を見据えた1,480床の確保に向けて、関係者と協議を進めてまいります。
  宿泊療養施設については、5月以降、新たに4施設を開設し、計10施設、目標の2,000室を上回る2,106室となりました。
  また、県タクシー協会のご協力をいただき、療養者の施設への移送を強化することとしております。
  さらに、増加している自宅療養者の方々に対しては、6月1日から、基礎疾患をお持ちの方などに宿泊療養を促すため、看護師等からなるアドバイスチームを立ち上げるとともに、食料品や日用品の無料配送による生活支援を開始しております。
  感染収束の切り札となるワクチンの接種体制については、県内全ての希望する高齢者が7月末までにワクチン接種を受けられるよう、田川市、みやま市に「福岡県新型コロナウイルスワクチン広域接種センター」を設置いたしました。まずは、5月25日時点で県による集団接種の実施を希望するとの申し出があった6市町の高齢者へのワクチン接種を行い、今後、近隣の市町村の意向を踏まえ、接種対象市町村の追加を検討してまいりたいと考えております。
 また、業務上、ワクチン接種の対象外となっている子どもに接触せざるを得ない保育士や教職員などの方々に対する優先接種について検討するなど、県民のワクチン接種を迅速、円滑に進めるため、6月1日に「ワクチン接種推進室」を新たに設置し、体制を16名から25名に拡充・強化したところであります。

 緊急事態措置の延長に伴い、県民及び事業者の皆様には、引き続き大変なご苦労、ご不便をおかけすることとなり、大変心苦しく、申し訳なく思っております。今後、再び感染拡大することのないよう、徹底的な封じ込めを図るため、引き続き県民及び事業者の皆様のご理解とご協力を何とぞよろしくお願い申し上げます。

 この議会に提案しております議案は、30件であります。その内訳は、予算議案2件、条例議案10件、工事請負契約の締結に関する議案13件、財産の取得に関する議案3件、人事に関する議案2件であります。

 まず、予算議案について、ご説明申し上げます。
 今回の補正予算は、新型コロナウイルス感染症対策に要する経費のほか、地域活性化等に必要な経費を措置しております。
 補正予算の額は、一般会計で868億200万円余となっております。財源につきましては、国庫支出金などの特定財源のほか、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」、繰越金を計上しております。

 次に、補正予算の主な項目について、ご説明申し上げます。
 まず、新型コロナウイルス感染症対策であります。
 第1は、「感染拡大の防止」であります。
 先ほど申し上げましたワクチン広域接種センターの設置・運営に要する経費を計上するとともに、市町村の高齢者へのワクチン接種を促進するため、接種回数や人員を増やした医療機関に対し、接種費用の上乗せを行うための経費を計上しております。
 また、県民の皆様が安心して飲食店を利用できるよう、県内全ての飲食店を対象とする「福岡県飲食店等感染防止対策認証制度」を創設します。
 飲食店を調査員が訪問し、感染防止対策が徹底されているかについて、約40項目の県独自の基準で確認の上、認証します。これにより、現在の感染防止宣言ステッカーについては、新しい認証マークに貼り替えていくこととなります。認証を受けた飲食店には、対策継続のため、1店舗当たり5万円の支援金を給付し、基準を満たさない店舗には、アドバイザーが指導・助言を行い、認証されるよう支援します。
 さらに、緊急事態措置の延長に伴い、休業や営業時間短縮の要請に応じた事業者に給付する「福岡県感染拡大防止協力金」や、高齢者施設及び障がい者施設の職員に対するPCR検査費を増額しております。

 第2に、「雇用対策の強化と生活困窮者の支援」であります。
 新型コロナウイルス感染症の影響で働く場を失った方々を支援するため、県庁や県の出先機関において、200人の緊急短期雇用を追加する経費を措置しております。
 また、休業手当を支給する事業者の雇用調整助成金の申請等を支援するため、専門家を地域の商工会や市町村等に派遣する個別相談会の開催経費を措置しております。
 さらに、経済的困窮や社会からの孤立などにより、支援が必要な女性に対し、街頭での呼びかけやSNS等による個別相談、就職支援機関等への付き添い支援を実施するための経費を措置しております。
 このほか、生活福祉資金の特例貸付の申請期間が本年6月末から8月末までに延長されたことに伴い、その原資を増額するとともに、特例貸付の借入限度額に達するなど、貸付けを受けられない世帯に対し、新たに「新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金(仮称)」の給付に要する経費を措置しております。

 第3は、「事業継続の支援」であります。
 緊急事態措置の延長に伴い、県独自の支援策である「家賃支援金」や、「福岡県中小企業者等月次支援金」を増額するための経費を計上しております。
県内中小企業の逸品を集めたDОCОRE(どぉこれ)商品の売上回復と販路拡大を支援するため、「福岡県ウェブ物産展」で割引販売を行うほか、商品のデータベースを構築し、有力バイヤーに発信する経費を計上しております。
 農業者の支援では、出荷量が大幅に減少している地酒や焼酎の製造業者を支援するため、原料である県産の酒米、麦などの仕入経費に対する助成費を計上しております。
 また、家畜飼料となる牧草類の輸入が停滞し、確保が難しい状況にあることから、牧草類の自給生産拡大を図る畜産農家の機械導入に対する助成費を計上しております。
 さらに、需要の減少により販売価格が低迷している園芸農家を支援するため、野菜等の生産者の種苗購入費や、花の小売店の県産花き仕入経費に対する助成費を措置しております。
 観光振興では、「福岡の避密の旅」第2弾として、新たに、県内の宿泊施設の割引旅行券を県民向けに前売り販売し、事業者の資金繰りを支援するほか、旅行の際に土産物店や飲食店で利用できる地域クーポン券を発行し、関連業界の支援につなげてまいります。
 また、感染収束後の第3弾では、県民が県内の宿泊施設を利用する際、宿泊料金の割引と地域クーポン券の発行を行うこととし、これらに要する経費を計上しております。
 さらに、宿泊事業者が行う感染防止対策の強化やワーケーションスペースの整備等に対する助成費を増額するとともに、県の宿泊税を活用し、政令市以外の宿泊施設に対する補助率の嵩上げを行うための経費を措置しております。

このほか、福岡市地下鉄福岡空港駅とJR福北ゆたか線の接続可能性について、複数のルート案の検討や将来の需要予測等を行う調査費などを計上しております。
 以上が補正予算の概要であります。

 次に、条例議案について、ご説明申し上げます。
 第1は、福岡県職員及び警察職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例2件であります。その内容は、防疫等作業に従事した職員に対する国の措置に鑑み、特殊勤務手当の加算又は額の改定を行うものであります。

 第2は、「過疎地域及び離島振興対策実施地域に対する福岡県税の課税免除に関する条例の一部を改正する条例」であります。その内容は、過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法の制定等に伴い、過疎地域の事業者に対する事業税等の課税免除の対象業種等を改めるものであります。
 そのほか、関係法令の一部改正に伴い所要の規定の整備を行う条例7件であります。

 工事請負契約の締結に関する議案は、一般国道322号嘉麻バイパストンネル工事ほか4件について契約を締結するもの及び福岡県公営住宅中鶴団地第7工区建築工事ほか7件について議決内容の一部を変更するものであります。

 財産の取得に関する議案は、抗インフルエンザウイルス薬の取得に当たり、県議会の議決を求めるものであります。
 人事に関する議案は、福岡県教育委員会委員の任命及び福岡県監査委員の選任について、県議会の同意を求めるものであります。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。


追加提出議案(令和3年6月15日)

 本日、追加提案いたしました議案は、予算議案1件であります。

 今回の補正予算は、県民への新型コロナウイルスワクチンの接種を迅速、円滑に進めるため、県による優先接種に必要な経費を追加するものであります。
 補正予算の額は、一般会計で17億3,800万円余となり、その結果、一般会計の総額は、2兆3,257億6,300万円余となります。
 一般会計の歳入は、国庫支出金を計上しております。

  補正予算の内容について、ご説明申し上げます。
 県では、市町村のワクチン接種を支援するため、県内2か所にワクチン広域接種センターを設置し、6月7日から、高齢者への優先接種を開始したところです。
 県民への接種をさらに加速させ、市町村の負担軽減を図るため、県による優先接種の対象を、ワクチン接種の対象外となっている子どもに業務上接触する機会が多い方や、クラスターが発生した場合の影響が大きい施設等の職員のほか、不特定多数の県民との接触が不可欠な業務に従事する県職員など約12万人に拡大することとしました。
 具体的には、保育士や教職員、放課後児童クラブの職員、消防団員、柔道整復師のほか、介護サービス事業所や障がい福祉サービス事業所、児童養護施設等の職員、さらに県職員のうち、児童相談所、保健福祉環境事務所の職員などを対象とします。
 接種会場については利便性を考慮して、県内に6か所程度設置し、また、対象となる方が接種を受けやすいよう、平日の夜間や土日、祝日の日中に接種することとしており、これらの会場の設置・運営に要する経費を計上しております。
 また、パトロール活動等において、不特定多数の方に接する警察官等に対し、治安体制維持の観点から、迅速かつ計画的な接種が可能な職域接種を実施することとし、そのための経費を措置しております。
 今後、職域接種を希望する事業者に対しては、県の相談窓口による医療従事者確保のための窓口の紹介や、接種に必要となる備品・消耗品等の情報提供などの支援により、県民へのワクチン接種を進め、感染の封じ込めを図ってまいります。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。


追加提出議案(令和3年6月22日)

  本日、追加提案いたしました議案は、予算議案1件であります。

  本県における新型コロナウイルスの新規陽性者数は、このところ50人以下で推移し、また、直近1週間の人口10万人当たりの数は、ピークである5月15日時点の67・2人から4・7人と大幅に減っており、国の分科会が示す判断指標のステージⅡ相当以下に改善しております。
  医療提供体制については、5月12日の緊急事態措置開始以降も順次強化し、陽性患者を受け入れる病床は、目標の1,220床を上回る1,403床に、うち重症病床は136床から201床に増床しました。また、宿泊療養施設は、5月以降、新たに4施設を開設し、計10施設、2,106室となりました。
  これらの体制強化の効果もあり、6月16日時点の病床使用率は30・4%、重症病床使用率は22・2%に低下しております。
  これらの改善傾向を受け、6月17日、政府対策本部は、6月20日をもって、本県を緊急事態措置を実施すべき区域から解除することを決定しました。
  これもひとえに、不要不急の外出自粛や休業・営業時間短縮などの厳しい要請にもかかわらず、多くの県民及び事業者の皆様にご理解とご協力をいただいたおかげであり、深く感謝申し上げます。
  また、病床や診療・検査体制を確保するとともに、強い使命感を持って、新型コロナウイルスとの闘いの最前線でご尽力いただいている医療従事者の皆様に対し、心からお礼申し上げます。

  緊急事態措置の解除は決定したものの、6月16日時点では、病床使用率など4つの指標がステージⅢに該当していること、人口が多く、他県との往来が活発な本県において感染が再拡大した場合、九州全域に及ぼす影響が大きいことを踏まえ、政府対策本部は、6月17日、特措法第31条の4第3項に基づき、本県をまん延防止等重点措置を実施すべき区域とし、その期間については、6月21日から7月11日までとすることを決定しました。
  現在の新規陽性者の状況を見ると、従来株に比べて感染性の強い変異株にほぼ置き換わっており、さらにデルタ株など新たな変異株の脅威もあることから、人と人との接触機会を減らすことにより、ステージⅡ相当以下になるまで感染をしっかり抑え込み、早期の感染再拡大を防いでいく必要があります。
  特に、感染リスクが高いとされる飲食の場において感染を抑え込むことが重要です。このため、大規模な繁華街を抱え、県内の飲食店の約8割が集中している北九州市、福岡市及び久留米市においては、より厳重に警戒しなければなりません。

  このため、北九州市、福岡市及び久留米市をまん延防止等重点措置区域とすることといたしました。また、その他の地域においても必要な措置を継続することが適切であると判断し、市町村、専門家のご意見もお伺いした上で、県民及び事業者の皆様にお願いする措置を決定したところでございます。
  なお、今後、新規陽性者数が1日30人以下で安定的に推移し、「病床使用率」及び「重症病床使用率」がステージⅡ相当以下となった場合には、期間内であっても、専門家の意見も伺った上で、国に対し、まん延防止等重点措置の解除を要請したいと考えております。
  県民及び事業者の皆様には、引き続きご不便とご苦労をおかけし、大変心苦しく、申し訳なく思っておりますが、これまでの努力を水泡に帰すことなく、感染を確実に封じ込めるため、改めて県民及び事業者の皆様のご理解、ご協力を何とぞよろしくお願い申し上げます。

  今回の補正予算は、新型コロナウイルス感染症対策に要する経費を追加するものであります。
補正予算の額は、一般会計で444億7,300万円余となり、その結果、一般会計の総額は、2兆3,702億3,600万円余となります。
  一般会計の歳入は、国庫支出金及び「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を計上しております。

  補正予算の内容について、ご説明申し上げます。
  市町村のワクチン接種の負担軽減を図るとともに、県民への接種をさらに加速させるため、県による優先接種の対象を、理容・美容、旅館・ホテル、飲食店などの日常生活に密接に関係する生活衛生関連業に従事する方に拡大することとし、接種会場の設置・運営に要する経費を計上しております。
  また、まん延防止等重点措置への移行に伴い、営業時間短縮の要請に応じた事業者や集客施設等に給付する「福岡県感染拡大防止協力金」を措置するとともに、県独自の支援策である「福岡県中小企業者等月次支援金」の給付に要する経費を計上しております。

  以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。