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令和2年12月定例会の知事議案説明要旨

当初提出議案(令和2年12月1日)

 本日ここに、第9回福岡県議会定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、ご参集いただき、厚くお礼申し上げます。

 先月25日、宗像市の養鶏場において、本県では初めて、高病原性鳥インフルエンザが発生いたしました。まず、何より大切なことは初動対応の徹底による封じ込めであり、全庁を挙げて、また、国、自衛隊、宗像市及び関係団体の協力を得て、鶏の殺処分、埋却等の防疫措置を迅速に、かつ、徹底して行い、関係者の皆様のご努力により、殺処分、埋却が完了しております。
 また、県内全ての養鶏場に対して、厳重な警戒を要請するとともに、緊急消毒のための消石灰を配付しているところです。今後これ以上拡大しないよう、引き続き、予防措置の徹底に努めてまいります。
 さらに、県民の皆様に対しては、これまで鶏肉や卵を食べることで、鳥インフルエンザが人に感染した事例はないことなど正確な情報を発信してまいります。

 さて、新型コロナウイルス感染症につきましては、全国的に感染者数が増加傾向となっておりますが、本県では、これまでの様々な取組み、県民及び事業者の皆様のご理解とご協力、医療従事者、様々な分野で社会を支えている多くの皆様のご尽力によって、他の地域に比べて低い水準で推移し、医療提供体制もしっかり確保できている状況です。
 今後、季節性インフルエンザの流行と新型コロナウイルスの感染再拡大が同時期に発生するおそれがあります。そのような中で、コロナ禍における初めての年末年始を迎え、帰省、旅行など全国的な人の移動が増え、人が多く集まる行事も見込まれます。
 県としましては、PCR等の検査をしっかり行い、陽性者が出れば、その人の症状に合わせて医療機関又は宿泊療養施設に入っていただく、また、それと同時に社会全体で感染防止を図りながら、社会経済活動のレベルを上げていくことを基本としております。
 これから会食の機会が増えるシーズンになります。事業者、特に飲食店の皆様につきましては、多くのお客様に安心して利用していただけるよう、換気に努めるほか、県の助成金も活用し、感染防止対策の徹底をお願いします。
 県民の皆様には、県の「感染防止宣言ステッカー」を掲示し、感染防止対策を実施している店舗を利用していただき、「マスク」「手洗い」「身体的距離」「三密の回避」といった基本的な感染防止対策の徹底と、「人にうつさない」「人からうつされない」「感染しているかもしれない」という意識を常に持って、行動していただくことをお願いします。

 この議会に提案いたしております議案及び諮問は、25件であります。その内訳は、予算議案2件、条例議案7件、専決処分したものについて報告し承認を求める議案1件、工事請負契約の締結に関する議案9件、その他の議案5件、福岡県教育委員会が行った退職手当の支給制限処分について知事への審査請求がなされたことに伴う県議会への諮問1件であります。

 まず、予算議案について、ご説明申し上げます。
 今回の補正予算は、歳出予算については事業費及び給与費の補正、歳入予算については県税等の補正であります。
 歳出予算のうち、事業費につきましては、新型コロナウイルス感染症対策、豪雨災害の復旧・復興、地域医療の充実等及び高病原性鳥インフルエンザ緊急対策に必要な経費について157億5400万円余を増額する一方、見直しを行った事業に係る経費及び税関連市町村交付金等について162億6900万円余を減額することとしております。
 給与費につきましては、去る10月15日及び11月12日、人事委員会から福岡県の職員の給与等に関する報告及び勧告がありましたので、勧告制度の趣旨及び国家公務員に対する国の取扱い等を勘案し、総合的に検討をしてまいりました。その結果、勧告どおり、期末勤勉手当の引下げを実施することとしました。併せて、特別職の職員及び県議会議員の期末手当についても、一般職の職員の期末勤勉手当の状況に鑑み、引き下げることとしております。これにより、給与費は10億1600万円余の減額となっております。
 歳入予算につきましては、4月補正予算で新型コロナウイルス感染症対策の財源を財政調整基金等3基金から繰り入れていましたが、そのうち77億円を「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」に財源振替することとしました。
 また、景気は持ち直しの動きが見られるものの、これまでの新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、本年度の県税収入は、現計予算額を417億円程度下回ることが見込まれることから、減額することといたしました。県税収入に代わるべき財源として減収補てん債の発行、追加の事業見直しなどを行うこととし、それでもなお財源不足が生じたため、財政調整基金等3基金から51億円の繰入れを行ったところです。
 これらの結果、補正予算の額は、一般会計で15億3000万円余の減額となり、補正後の一般会計の総額は、2兆2191億8100万円余となります。

 次に、補正予算の主な項目について、ご説明申し上げます。
 まず、新型コロナウイルス感染症対策であります。
 第1は、「医療提供体制の強化と感染防止対策の徹底」であります。
 重症化リスクの高い高齢者及び障がいのある方への感染やクラスターの発生を防ぐため、高齢者施設及び障がい者施設の職員に対するPCR検査に要する経費を新たに計上しました。
 今後の感染拡大やクラスターの発生に備え、県の備蓄を強化することとし、医療機関及び福祉施設等で使用するマスク663万枚、医療用手袋1150万双などの購入経費を計上したほか、感染症患者と接する医療従事者等に対する慰労金支給のための経費を増額しております。
 また、コロナ禍における情報提供の充実を図るため、避難所の混雑状況や警報などの気象情報を分かりやすく発信する県防災ホームページの改修に要する経費及び避難所等における障がいのある方への合理的な配慮を啓発する動画等の作成経費を計上しております。

 第2は、「『新しい生活様式』を踏まえた地域経済の活性化」であります。
 観光振興については、先月5日から「『福岡の避密の旅』観光キャンペーン」として、本県の宿泊施設を利用する旅行者の宿泊料金の割引支援を実施しましたが、2日間で受付数が上限に達したところです。そこで、宿泊料金の割引支援に係る経費を増額するほか、県内の観光施設等を訪問する旅行者のタクシー料金の割引支援に要する経費を新たに計上しております。
 また、商工会議所・商工会等が行うプレミアム付き地域商品券については、これまでの発行状況を踏まえ、その発行規模を拡大するための助成費を増額しております。
 中小企業の支援では、県制度融資に創設した無利子、無担保の「新型コロナウイルス感染症対応資金」の融資枠を拡大するとともに、県が保証料を全額肩代わりする「緊急経済対策資金」について、来年度以降必要となる保証料を基金に積み立てるための経費を計上しております。
 また、外国人技能実習生が入国時に求められる14日間の待機に伴い、受入企業等が負担する宿泊費、レンタカー代等に対する助成費を新たに措置しております。
 このほか、介護サービス事業所が行う介護ロボット、ICT機器の導入に対する助成費を増額しております。

 次に、令和2年7月豪雨災害の復旧・復興については、市が行う斜面対策工事及び事業者が行う高齢者福祉施設の復旧に対する助成費を計上しております。

 地域医療の充実等では、救急病院等が行う医師の労働時間短縮の取組み及び小規模産科医療機関が行う新生児聴覚検査機器の整備に対する助成費を新たに措置しております。
 また、老朽化が進む県保健環境研究所の建替えに向けた調査費を計上しております。
 このほか、「東京2020オリンピック聖火リレー」を実施するための債務負担行為を措置しております。

 次に、高病原性鳥インフルエンザ緊急対策であります。
 養鶏場における防疫措置の実施のため、鶏の殺処分、埋却及び発生地の消毒に要する経費を計上したほか、制限区域内の養鶏農家の経営を支援するため、手当金支給に要する経費及び運転資金借入れに対する利子補給の債務負担行為を措置しております。
 また、今後の発生に備え、県内全養鶏場の緊急消毒に要する経費のほか、養鶏農家が行う防鳥用ネット、侵入防止柵等の整備に対する助成費を計上するとともに、防護服、ゴーグル等、県の資機材の備蓄強化に要する経費を措置しております。
 以上が補正予算の概要であります。

 次に、条例議案について、ご説明申し上げます。
 第1は、「福岡県緊急経済対策資金信用保証料補填臨時基金条例」の制定であります。新型コロナウイルス感染症による影響の拡大により、著しい信用収縮が生じた中小企業者の保証料の負担を軽減し、保証料補填の財源に充てるため、「福岡県緊急経済対策資金信用保証料補填臨時基金」を設置するものであります。

 第2は、福岡県職員、公立学校職員及び警察職員の給与に関する条例等の一部を改正するもの3件であります。人事委員会の報告及び勧告に鑑み、期末勤勉手当の額の改定を行うものであります。

 そのほか、特別職の職員の期末手当の額の改定を行う条例及び関係法令の一部改正に伴い所要の規定の整備を行う条例2件であります。

 次に、専決処分したものについて報告し承認を求める議案は、排水ポンプ車の取得に係るものであります。

 工事請負契約の締結に関する議案は、県営排水対策特別事業浮島地区排水機製作据付工事ほか5件について契約を締結するもの及び門司大翔館高等学校体育館改築工事ほか2件について議決内容の一部を変更するものであります。

 その他の議案は、来年度の当せん金付証票の発売額及び本県が所管する公の施設のうち4施設に係る指定管理者の指定について、県議会の議決を求めるものであります。

 以上、提出議案等の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。

追加提出議案(令和2年12月11日)

 本日、追加提案いたしました議案は、予算議案1件であります。

 今回の補正予算は、国の予備費を活用し、低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金の支給に要する経費を追加するものであります。
 補正予算の額は、一般会計で5億8500万円余となり、その結果、一般会計の総額は、2兆2197億6600万円余となります。
 一般会計の歳入は、国庫支出金を計上しております。

 補正予算の内容について、ご説明申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、低所得のひとり親世帯の生活実態が依然として厳しい状況にあることを踏まえ、1世帯5万円、第2子以降1人につき3万円の臨時特別給付金を年内に再支給するための経費を計上しております。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。