本文
正副議長所信表明(就任2年目にあたって)
目次
1 なぜ私たちは正副議長に就任したのか。何をしようとしているのか。
2 福岡県の国際化と経済発展を目指した歴代知事と県議会の取組み
3 福岡県議会の海外活動の意義と成果について
4 部課長会問題と政治資金規正法の関係について
5 結びに
いよいよ令和8年度が始まり、私ども第74代福岡県議会議長藏内勇夫と第88代福岡県議会副議長中尾正幸も、ともに就任2年目を迎えます。そこで、改めて今、私たちが、かたや2度目の議長に就任し、かたや議長経験者が副議長に就任するという極めて異例の議員活動を断行した切実な思いとこれからの県政への思いを県民の皆さんにお伝えするため、そして、昨今の一部マスコミ等による偏った、本質をとらえない報道や情報発信により、少なからぬ皆さんに県議会の活動に対する誤解や不信が生じている現状を憂慮し、説明責任を果たすため、ここに、私どもの所信を表明します。
1 なぜ、私たちは正副議長に就任したのか。何をしようとしているのか。
私、藏内勇夫は、平成13年(2001年)5月に第54代の福岡県議会議長に就任しました。翌2002年5月までの任期は、短いようにも見えますが、当時、まだ47歳と若い私にとって大変密度が濃い激務の日々でした。特に印象深いのは、国との闘いといっても過言ではない、地方分権と地域振興の取組です。当時、1990年代のバブル崩壊後、わが国は長期停滞の時代に突入しており、小泉内閣が「聖域なき構造改革」の旗を掲げ、地方も自らの力で成長発展していくことが求められていました。
そこで、私が青年会議所等の皆さんとともに取り組んだのが、この九州の自立と発展に向けた「九州をひとつに」という運動です。具体的な目標として、アジアと九州を文化の絆で結び、ともに発展する機運を醸成するための「九州国立博物館の誘致」と、東京と博多を結んでいた新幹線を鹿児島まで延伸し、九州の経済的・文化的一体化に向けた背骨とするための「九州新幹線の開設」を掲げ、福岡県、福岡県議会、財界を挙げて、この運動に取り組んでいただきました。
しかし、国は、行政改革の縛りを受けており、「国立博物館は既に三つある。新しい施設はつくらない。」、「役人は増やさない。」と拒絶し、九州新幹線についても「スーパー特急」案を押し付けてきました。そこで、私は、この極めて高いハードルを乗り越えるには世論の力が必要だと考え、九州国立博物館の誘致には当時のマスコミの皆さん方にも大変協力をいただきました。また、九州各県議会を回り、そのご了承もいただきました。九州新幹線では、まず、スーパー特急案に対し、地元議会として明確に拒否の意思を表明し、九州の政財界の総力で全線フル規格化を実現しました。
このように、中央集権と東京一極集中に抗い、地方が生き残り、地方に住む私たちの生活を、それぞれの地方の実情に合わせた形で豊かにする地方分権型の政策を国に求めていくには、マスコミを含め、地方のあらゆる力を結集することが不可欠です。各地方自治体、財界、マスコミ等が自己利益の実現に固執し、別の方向を見ていたり、極端な場合は反目したりといった状態が続けば地方は消滅するしかない。この危機感の下に、地方の声をひとつにまとめ、確実に国に届けることができるリーダーが必要との思いで結束された方々が、私に福岡県議会議長に就任し、全国都道府県議会議長会の会長となって、喫緊の課題である地方創生に取り組むことを強く要請されたのです。
その思いに動かされた私は、2度目の議長となり、昨年6月、全国都道府県議会議長会の会長に就任いたしました。それからは、定期的に開催される国と地方との意見交換の場で高市首相とも何度もお会いし、地方の実情等を訴え、新たな地方創生の枠組みである広域リージョンの推進にも取り組んでいます。また、高市首相から地方制度調査会の委員に任命され、大都市制度の見直しや副首都問題に取り組んでいます。
しかし、一方で、福岡県の諸課題も疎かにすることはできません。
そこで、私は、私が全国の公務で不在の折にも、安心して福岡の問題を託せるパートナーとして(議長経験者として前例がありませんでしたが)、中尾正幸議員に副議長職をお願いし、快く、引き受けていただきました。
今後、私たちは、二人三脚で、福岡県政の刷新と発展、そして全国都道府県議会議長会の場も活用した地方創生の取組を進めてまいります。
2 福岡県の国際化と経済発展を目指した歴代知事と県議会の取組み
今、福岡県は、国際化の進展において、国内でも先頭集団にいます。
もちろん、歴史的な経緯もあります。戦前から中国大陸との往来が盛んでした。
また、戦後の米軍駐留の影響も大きいと思います。駐留軍人と家族のために領事業務を行う駐在所が開設されたのが1950年。1952年4月の講和条約発効と同時に領事館に昇格しました。これは、戦後最も早い米国領事館の開設で、日米開戦で閉鎖されていた神戸領事館が再開されたのは1953年です。神戸領事館は、その後、大阪に移転し、福岡とほぼ同時期に開設された名古屋領事館は、その後、閉鎖、再開を繰り返す状況ですから、在福岡米国領事館は、戦後、最も長い歴史を有し、併設された国務省管轄の福岡アメリカ文化センターとともに福岡の国際化に貢献してくれたことは間違いありません。
しかし、今日、福岡市は在住外国人が5万人を超え、海外の様々な都市ランキングにおいて東京、大阪・京都に次いで国内3番目の国際的都市として認知されるようになっています。これは、海外8都市と友好提携を結ばれている福岡市のご努力ももちろんあったでしょうが、これまでに、北九州市が同じく海外8都市、宗像市が3都市・地域、大牟田市が2都市、飯塚市、八女市、大川市及び太宰府市が各1都市・地域と提携し、須恵町、添田町、川崎町も海外の地域や大学等と連携・協力の覚書を結ぶなど、本県に海外に向けた進取の気性、国際交流の機運が満ちていることが最大の要因であると思います。そしてまた、このような国際化は、歴代の知事と県議会の長年の取組と海外諸国の福岡県人会のご尽力がもたらしたといって過言ではないことを強く申し上げたいと思います。
始まりはハワイです。1967年4月から1983年4月まで4期務められた亀井光知事が、1981年に福岡県とハワイ州の姉妹提携を結ばれ、続いて福岡県議会もハワイ州議会と友好提携を結びました。キーマンは、ともに県人会会員で、豊前市にルーツを持つジョージ・アリヨシ州知事と八女市にルーツを持つダニエル・イノウエ連邦上院議員でした。福岡県の発展には海外との経済・文化交流が不可欠との確信から海外展開の橋頭保となるハワイとの交流を求めていた亀井知事と県議会は連携し、ハワイ州の県人会のご仲介でお二人の協力を得ることができました。在日米軍の通訳をされていたアリヨシ知事と太平洋戦争で片腕を無くされたイノウエ上院議員は、内心は複雑な思いもおありでしたでしょうが、両県・州の共存共栄と日米の懸け橋になれば、との大所高所の観点から、惜しみないご支援をいただきました。この両県州の提携が地方空港では考えられないとされた福岡・ハワイ直行便の就航に寄与します。そして、このハワイとの直行便の存在がアジア諸国との経済・文化交流と直行便の就航に展開していきます。詳しくは後述しますが、現在、福岡空港は羽田、成田、関西に次ぐ国内4番目の旅客数2,800万人の国際空港に成長し、さらに、20年後には旅客数3,500万人、東・東南アジアの直行便就航国数で日本一を目指すなど、本県の経済に実に多大な貢献をし、これからも貢献し続けていくことは誰の目にも疑いがないでしょう。
しかし、実は、このハワイとの提携が亀井知事自身には暗い影を落とします。
円ドルレートが250円近い時代です。ハワイとの提携には、当時としてそれなりの額のお金がかかりました。これを問題視した地方紙のネガティブ・キャンペーンを背に当選されたのが、次の奥田八二知事です。1995年までの在任期間の前半、1990年代初頭まで、日本はバブル時代でしたが、本県経済は低迷していたように思います。県職員の給与も、全国で最下位レベルにまで落ちていました。
県議会との関係もぎくしゃくし、この時期、県が本来の力を発揮できなかったのは残念ですが、議論を尽くすことができたというプラスの面もありましたし、奥田知事は大変な人格者でした。そして、私が奥田知事の最大の功績と思っているのは、旧県庁跡地に国際交流の拠点「アクロス福岡」を建設し、旗振り役の「福岡県国際交流センター」を設立されたことです。これらは、まさに目的どおりの働きをしています。
続く麻生渡知事には、1995年4月から2011年4月までの4期、実に、力強く、本県の経済発展をけん引していただきました。また、国際化について麻生知事は、福岡をアジアのゲートウェーにすると宣言され、アジア地域との交流に尽力されました。県議会も、二元代表制の一翼として時に厳しいやり取りを行うこともありましたが、しっかりと同じ方向を向いて県勢発展を支えたつもりです。
なお、麻生知事は、「県職員に頑張ってもらうために職員給与を全国トップレベルにする。」と号令されたと聞いており、実際、そうなりました(現在の順位はわかりませんが)。無駄はもちろんいけませんが、お金を投資すべきところには大胆に投資する勇気が大切です。
続く小川知事も、2011年4月から残念ながら病に倒れ辞職された2021年3月24日まで、麻生知事が築かれた土台と本県の伝統を引き継ぎ、県議会からの政策提言も踏まえて、スポーツの国際大会の誘致等を核とした「スポーツ立県」や「アジアに開かれた交流拠点」を本県の政策目標として真摯に県政に尽くされました。
そして、服部誠太郎知事です。「世界から選ばれる福岡県」という、まさに国際化の更なる進展を「1丁目1番地」とした政策を着実に進めていただいています。
以上のように、国際化の推進による経済・文化の国際交流、そして、そのことによる人の交流は、海外からの留学生や研修生が本県の経済活動を支える貴重な労働力となっていることを含め本県の発展の原動力となってきたのです。
3 福岡県議会の海外活動の意義と成果について
2で述べましたように、福岡県議会は、歴代の知事とともに本県の国際化と国際交流の推進に取り組み、そのための海外活動を継続的に実施してきました。
しかし、バブル崩壊後、失われた10年、やがて、失われた30年といわれて、わが国が世界における輝きと地位を失い、地方も消滅可能性を議論される時代に入り、私ども県議会は、従来の国際交流を目的とした海外活動だけではなく、新たな海外活動にも取り組むようになりました。
わが国の経済成長を支えた産業が次々に国際競争力を失う中、どうやって本県の新たな成長発展を図り、県民生活・県民福祉を維持し、向上させていくのか、その道筋を創ることが急務でしたが、国全体が方向性を見失っている時代です。福岡県単独で盛り返せる訳がありません。そこで、福岡県議会議員の有志(ほとんど全員でしたが)と九州の経済界等の有志が集まり、九州が一体となって新たな成長戦略をつくり、自らが見本となって国の政策に取り入れてもらうために政策研究団体「九州の自立を考える会」を設立しました。同会が2014年にまとめた政策提言集「九州の成長戦略」は、その多くが実現し、今も実現に向けた取組が進められています。
その政策提言の基になったのが、福岡県議会として海外の参考事例を調査するために行った新たな海外活動です。なぜ海外か。元気と自信を失った国内には参考となる事例がなかったのです。
念のために申しますが、私たちの海外調査活動は、他の県議会が行っているものとは異なります。よくあるのは、議員の知見を広める研修的な意味合いで実施され、全ての議員が任期中に一度は参加できたり、予算額を抑えるために行先に関わらず旅費支給額は定額とする(残りは自己負担)といった「海外視察」です。福岡県議会でも、かつては、そういう、一見、平等で経済的に見える「海外視察」も行われていましたが、随分前に廃止されています。
今、私たちが実施しているのは、県議会が超党派でとりまとめることによって実現可能性が高い政策提言を行うための海外調査活動です。そのためには、主要会派の代表者クラスが参加することにより会派間で問題意識と知見を共有することが大事になります。参加者が偏るように見えるのは、そういう理由です。
なお、こうした実践的な形で海外の参考事例を調査する機会は滅多にありませんし、政策提言に幅広い意見を取り入れる必要もありますから、希望する議員の自費又は政務活動としての参加も許可しています。
調査の成果である政策提言で実現したものは、農業のICT化や海外輸出に向けたブランドの確立、輸出戦略の司令塔「九州農産物通商」の設立、観光振興に向けたDMO(インバウンド等促進の専門機関)の設立や宿泊税の創設、国際スポーツ大会の誘致とスポーツ振興、県立美術館の建替え移転による大濠公園の世界水準の文化施設地域化など、枚挙にいとまがありません。国際化に関しても、福岡空港から、韓国のソウル(仁川)、釜山など5都市、台湾の台北(桃園)、高雄、タイ・バンコクの2空港、ベトナムのホーチミン、ハノイ、フィリピンのマニラ、マレーシアのコタキナバル、シンガポールのチャンギ空港に直行便が飛ぶようになり、さらに利便性を高めるために提言した他の空港との連携強化や北九州空港への自動車専用道路新設及び都市高速道路と福岡空港との直結にも着手しています。
一方で、従来からの取組である海外諸地域との交流活動についても大きな進展がありました。県もハワイ州、中国江蘇省、バンコク都、インドのデリー準州、ベトナム・ハノイ市の行政機関との間で友好提携を結んでいますが、互いにトップは一人であり、多忙な身です。なかなか、双方の地域の共存共栄に向けた具体的な施策や取組について協議する機会をつくることは困難で、事務レベルでできる根回しも限界があります。しかも、行政機関同士が合意しても互いの議会が同意しなければ実現しません。そこで、政治的な話ができる私ども議会の主要会派の代表者クラスが一緒に相手国を訪問することにより、その場で県議会としての意思決定ができるような体制で根回しをし、まず、連携の覚書(MOU)について議会間が合意をする。さらに、それを受けて行政機関間でのMOUが締結されるといったパターンができてきました。
しかし、こうした本県議会特有のものと自負する高度な政治活動ができるようになったのは、長年継続してきた相互理解のための交流活動によって、先方の議会関係者、その地域の県人会や相手地域の友好交流団体の方との人と人のつながり、絆が形成され、信頼関係ができたからだと思います。
先般ご逝去された、福岡県日韓親善協会の設立にご尽力され、同会の副会長を務めるとともに韓国政府から勲章も授与された村井正隆氏も、常々、「韓国との交流は人である。交流を重ね、信頼と友情を培うことだ。」と説かれていました。福岡市と釜山市や福岡県議会と慶尚南道議会の友好提携の橋渡しをされた村井氏の言葉には重みがあります。
海外での調査活動による政策提言が実現するには約10年の時を要したものも多く、人と人の信頼関係を築くのも多年の時間と交流経験を要します。昨今の報道を受け、福岡県議会の海外活動について「成果が見えない」とか「成果を説明してほしい」というお声をよくいただきます。何をもって「海外活動の成果」とするのかにもよるでしょうが、成果が出てくるには時間がかかるということ、また、外交的な要素が加わった国際交流活動の場合、まだ交渉継続中の段階で説明できるものではないこと等、「成果の説明」には困難が伴うことはご理解いただきたいと思います。
とはいえ、前述の事例を含め、公表できる時期が到来したものについては、議会のHP等で積極的にご説明することとしており、今、準備を進めているところです
また、経済性や透明性、費用対効果等に配慮した契約方法の改善など、ご指摘をいただいている点は改善することを前提として、私どもは、このような福岡県議会の海外活動は大きな意義を持つものだと確信しており、これからも必要なものは継続してまいりたいと考えています。
4 部課長会問題と政治資金規正法の関係について
今年の3月25日、某地方紙が「福岡県の課長級以上でつくる「部課長会」が各職員の同意を得ないまま、給与から天引きした会費を県議会議長・副議長の政治資金パーティー券購入に充てていた」と報道し、その後、その部課長会による購入費を政治資金収支報告書に記載されていないことを問題視する報道も続きました。
この「政治資金パーティー」とは正副議長の就任祝賀会のことですが、これらの報道が何を問題としているのか分かりにくいという声をよく伺います。
それも当然で、本来別々の3つの問題を、しかも、それぞれ県職員を対象とする法律に関する問題と議員を対象とする法律に関する問題を区分・整理せず、全て議員の問題であるかのように報道されていることに分かりにくさの原因があります。
第一は、この「部課長会」の運営のあり方と会費の徴収の仕方の問題です。
われわれ議員は、県職員出身者等一部を除き、この「部課長会」の存在や性格を全く知りませんでした。報道後、任意加入の互助的な親睦団体と分かり、県職員OBに伺いますと、半世紀以上前に自然発生的にできた会で、先の地方紙が、「会費の使途は懇親会費や慶弔費と定めているが、実態は議会対策費に使われている」と、あたかも部課長会が議会対策を目的とした組織であるかのように報じているのは全くの誤報であると断言しました(最近の他紙の報道では、さすがにこの論調はなくなりましたが)。
しかし、もし会費が報道のように強制的に徴収されているのなら実質的に部課長会への強制加入となり、憲法にも関わる問題です。また、会費は給与から天引きされていたと報道されていますが、もし本人の同意がないのなら地方公務員法で保障された給与の全額払いの原則に違反します。
しかし、いずれにしても、これらは、県議会及び議員とは関わりのない県職員側の問題です。
第二は、「部課長会が正副議長就任祝賀会の会費を支払っていた」と報道されたことについて、それが部課長会という団体として会費を支払ったり、誰か(部課長会の会長である部長、同会の経理責任者等)が「あっせん」して支払ったものなのかどうかという問題です。
県職員は地方公務員法によって政治的行為が制限されており、特定の政治団体を支持する目的で(金額に関わらず)「寄付金その他の金品の募集に関与すること」は禁じられています。そして、政治資金パーティの会費の支払先は、この政治団体となります。したがって、万一、部課長会の誰かが部課長会を代表して会費を払ったり、その政治団体の支持を求めて会費を募ったりすれば、地方公務員法違反となるおそれがあります。
しかし、これも職員自身の法令遵守義務の問題であり、議員からそのような違法行為を求めることはあり得ません。
なお、念のために申し添えますと、各部課長個人が自らの意思で祝賀会に参加することは何ら違法ではなく、憲法上保障された思想信条等の自由の範囲内です。
第三は、仮に、部課長会がひとりの「者」として20万円以上の会費を支払ったものだったり、部課長会の誰かが会費を20万円以上集めて回り(つまり、あっせんして)支払ったものだったのならば、政治資金収支報告書への記載が必要だったのではないか、という問題です。これは、もちろん、議員側の問題であり、確かに政治資金規正法第12条は政治団体の会計責任者に対し、20万円を超える会費を支払った「者」の氏名等や会費の支払いをあっせんしてその合計額が20万円を超えるあっせん者の氏名等を政治資金収支報告書に記載するよう義務付けています。
しかし、私ども自身の会計責任者と主な正副議長経験者に聞き取り調査を行った範囲では、就任祝賀会への案内状は(部課長会あてではなく)各部課長個人あてであり、領収書も各個人に出していることが確認できました。また、念のため入金通帳も精査したところ、「〇〇部」の名義で入金されたものはありましたが、「部課長会」名義で振り込まれたものは確認できませんでした。さらに、会計責任者に「〇〇部」名義の振込の処理について質しましたところ、振込手数料の節約と事務処理上の便宜のため、各部課長からの依頼に基づいて庶務担当者が代行し、一括で振り込んだのだろうと認識していたとのことでした。
以上がこれまで私どもが取材に対してはお答えしているのに報道されていない正確な事実関係です。
なお、職員側の認識や実態は、今、総務部で調査を行っていると伺っています。しかし、その結果がどうであれ、私どもには知りようのない職員側の事情であり、政治資金収支報告書を作成した会計責任者としては、あくまでも関係書類に示された内容どおりに作成するほかなかったのが実情です。また、そもそも、当該部課長が違法の疑いがあることをしているとは思いもしません。したがって、「政治資金収支報告書に未記載」なのではなく、「部課長会からの収入」とは記載のしようがなかったというのが、本件報道に対する率直な感想です。
私どもは、以上の調査結果を踏まえて政治資金規正法を所管する福岡県選挙管理委員会事務局に見解を求めました。同事務局からは、総務部による調査が継続中であることから、「一般論」として、「(総務部の)調査に基づき政治資金収支報告書に記載すべき事項があるとの申し出があれば、法に基づき実態に合わせた修正が必要となります。」との説明を受けました。調査の結果として、部課長会からの支出やあっせんによる支出だったという「実態」が確認され、その旨の報告があれば、もちろん、私どもは報告書を修正します。当たり前のことです。
5 結びに~報道への疑問
最近の某地方紙の報道には、多くの違和感を感じざるを得ません。
ハワイとの交流活動については「高級リゾートホテルに宿泊」と、観光目的であるかのように報じます。「何度も行く必要があるのか」と問い、読者投書欄も使って「成果」が疑問と主張します。
しかし、宿泊したホテルの部屋は訪問団の団長として来客対応ができることが条件となっていますが、特段に高級なものではありませんし、宿泊代金も、事務局から所管の人事課の承認を得ていると聞いています。
また、前述のとおりハワイとの交流は本県の国際化と経済的発展の原点です。継続的な人と人の交流が両地域の発展に不可欠です。
しかも、ハワイはリゾートとしての印象が強いのは確かですが、環境保護の先駆者でもあり、人と動物(海洋生物)が共存できる環境を守っているからこそ、アメリカ本土から多くの人が集まる場所になったのです。このため、人と動物と環境の健康を一体的に守る取組であるワンヘルスへの関心は高く、大学や大学院での教育に先進的に取り組まれています。一方、福岡県は小中高レベルのワンヘルス教育が進んでいて、お互いに学ぶべきものは多いと感じており、ハワイを訪問するたびに、ハワイ大学との意見交換が行われているのです。
次に、性急に「成果」を求める報道姿勢にも疑問があります。
4で述べましたように成果が出るには時間がかかります。昔、わが国の企業でも流行した「成果主義」は失敗しました。短期的な「目に見える成果」を重視し、長年の準備段階における、目には見えにくい努力を正当に評価することができなかったため、結局、その企業の活力は失われたのです。しかし、いまだに「成果主義」の残滓はあり、成果が出たときに偶々担当しただけの幸運が評価され、下積みの努力が報われないと、理不尽な思いを抱いている人も多いのではないでしょうか。
さらに、部課長会をめぐる報道についても残念な思いがあります。
県職員の職務の執行をチェックする立場でもある私たち議員は、ときに厳しいことを言うこともありますが、ともに県民のために仕事をしているのですから、大多数の職員とは理解しあえている、信頼関係を築けていると思ってきました。そういう職員が退職されるときは、法に抵触しないよう留意しながら個人的に送別会を行うこともありました。ですから、就任祝賀会等にも自発的に参加していただいていると信じていましたが、参加を強制されていると感じていた職員がおられたのなら遺憾であり、私(藏内)の名前で行われた会合でご迷惑をお掛けしていることをお詫びいたします。
私たちが正副議長に就任して以来、香原前議長が進めておられた議会改革を更に前進させるため、そして職員の皆さんの負担を軽減するため、執行部との協議のもとに、虚礼の廃止、過剰な議会対策の緩和を行ってきましたが、今回の問題を機に、さらに、議会と執行部の関係のデジタル化等による簡素化・合理化等の見直しを図ってまいりたいと思います。
それにしても、一部の偏った、物事の一面しかとらえない報道とこれに便乗し、さらに過激な表現で虚偽の事実をSNSで配信することによって閲覧数を稼ごうとする商行為は看過することができません。例えて言えば、この報道は、象を見た人が「細長い綱のようなものです」と象のしっぽを説明し、「平べったくて、ベニヤ板のようでした」と耳を説明するようなものです。間違いではなくても本当の象の姿は分かりません。そして、SNSは、だからそれはお化けだと驚かせるようなものであり、もはや事実から遠く離れています。
私、藏内がライフワークとする「ワンヘルス」の活動を、私の政治活動とみなしているような報道も同様です。私は、獣医師であると同時に政治家でもあります。私が希求するワンヘルスの実現を図るためには、医師、獣医師、環境学者、経済人、教育者等、分野横断的な専門家と政治家が参加することが肝要です。このため、私は、国連はじめ世界の研究者のグローバルスタンダードである獣医師の立場で出来る活動と政治家=県議の立場で出来る活動を最大限に活用しているのです。したがって、私がワンヘルスに関する活動を行っているときは、一人の人間ですから、常に、獣医師であることと政治家であることを意識しています。2つに切り分けることはできないのですが、政治家という側面だけを強調して報道され、さらにSNSによってそれが戯画化されることによって、「ワンヘルス」という大切な理念が貶められていることが残念でなりません。
報道機関に対しては、こうした不公正な社会風潮を助長することがないよう、改めて公正、公平な報道を、そして、問題の全体像を捉えた報道を、是非、お願いしたいと思います。
以上