ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ

本文

ライドシェアの導入について慎重な検討を求める意見書

 訪日観光客の急回復や、深刻な運転手不足によるタクシー供給不足の解決策として、一般ドライバーが自家用車を使い有償で利用者を運ぶ「ライドシェア」導入を目指す議論が高まっている。
 しかし、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに自家用車の一般ドライバーのみが運行責任を負う形態を前提としたライドシェアは、安全性の確保、利用者の保護等の課題が指摘されている。加えて、利用者の少ない過疎地域では、需要過少のため機能しないおそれもある。
 さらに導入している各国の状況をみると、暴行事件や交通事故の増加のほか、認可された運送サービス事業者の経営圧迫や運転手の低所得化など様々な問題が生じ、ライドシェアを禁止又は規制強化する動きも多数ある。
 これまで政府は、タクシー運転手不足を解消するため待遇改善等の取組を実施しており、運転手の採用に回復の兆しがみられるところである。また、令和5年10月に改正施行された地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等において、利便性・持続可能性・生産性の高い地域公共交通ネットワークへの再構築に関する仕組みが規定され、各地域で取り組みはじめたところである。
 よって、国におかれては、ライドシェアの導入について利用者の安全・安心に極めて大きな懸念があることに鑑み、次の事項を踏まえて慎重に検討し、持続可能な運送サービスの提供の確保に資する諸施策を講じるよう強く要望する。
1 安全性の確保、利用者保護等に万全を期すこと
2 地域公共交通の担い手である運送サービス事業者の経営を圧迫することなく、需要に対応できるよう一層の各種支援、規制緩和等に取り組むこと
3 一般ドライバーによる過剰供給が運転手の低所得化を生じさせないように、働き方の多様化の推進と地域の運行需給バランスの双方に配慮すること

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

  令和5年12月20日

福岡県議会議長 香 原 勝 司

 

衆議院議長 額賀福志郎殿
参議院議長 尾辻秀久殿
内閣総理大臣 岸田文雄殿
総務大臣 松本剛明殿
国土交通大臣 斎藤鉄夫殿
内閣府特命担当大臣 河野太郎殿
(規制改革担当)