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誹謗中傷の抑止と被害者救済についての意見書
21世紀は「人権の世紀」と言われる中、特定の個人や団体の名誉を棄損する誹謗中傷が後を絶たず、生活の安全を脅かされ、精神的に深く傷つき、自ら命を絶つなど看過できない人権侵害が深刻な社会問題となっている。
誹謗中傷は、面と向かって発言する、ビラをばらまく、文書を送りつけるなど、社会の中の様々な場面で発生している。特に、SNS等のインターネット上においては、匿名性や情報発信の容易さゆえに、個人の特定が難しいとの認識の下、悪質な書き込みも多く見受けられ、その被害や悪影響は甚大化し、憂慮すべき事態となっている。
国は、侮辱罪の法定刑の引き上げや、情報流通プラットフォーム対処法の制定などの対策を講じており、一定の効果は期待できるものの、必ずしも十分な状況ではない。
よって、国におかれては、誹謗中傷を抑止し、一人一人の人権が守られる社会にしていくため、次の事項について特に取り組むよう強く要望する。
- 誹謗中傷は断じて許されるものではないことはもとより、インターネットの特性を踏まえた情報リテラシーの向上について、学校における教育の充実をはじめ広報啓発活動等を積極的に実施すること
- 誹謗中傷による被害者を救済するため、警察や各自治体、支援団体等との連携による相談窓口体制の強化と周知を行うこと
- SNS等インターネット上の誹謗中傷を抑止し、迅速かつ円滑な被害者救済を実現するため、プロバイダ等による誹謗中傷の削除や発信者情報の開示など、被害者の負担軽減を進めること
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年2月20日
福岡県議会議長 香 原 勝 司
衆議院議長 | 額賀福志郎殿 |
参議院議長 | 関口昌一殿 |
内閣総理大臣 | 石破 茂殿 |
総務大臣 | 村上誠一郎殿 |
法務大臣 | 鈴木馨祐殿 |
警察庁長官 | 楠 芳伸殿 |