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地域公共交通への支援の強化を求める意見書

 鉄道やバス、タクシーなどの地域公共交通は、地域住民が健康で文化的な日常生活を送る上で欠かすことのできない移動手段であるとともに、地域間の人や経済の交流を支える重要な社会基盤である。しかしながら、地方における人口減少やモータリゼーションの進展による利用者の大幅な減少に加え、急速に進む物価高騰の影響による経費増大、さらには運転手をはじめとする担い手不足など、公共交通事業者は、事業継続に当たり多くの課題を抱えている。
 国は、令和5年10月に「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」を改正し、地域公共交通のリ・デザインに向けて、地域の関係者の連携と協働を促す支援制度を新たに設けたが、全国各地で、担い手不足によるバス路線の大幅な減便や廃止、ローカル鉄道の存廃に関する議論が行われるなど、とりわけ地方の公共交通を取り巻く環境は急速に悪化しており、地方の財政負担の状況を踏まえると、国によるさらなる支援拡充がなければ、地域公共交通の維持・確保は困難な状況にある。
 このような状況が続けば、地方創生2.0における基本構想の第1の柱、「安心して働き、暮らせる地方の生活環境の創生」の実現を妨げかねない。
 よって、国におかれては、地方創生推進の根幹をなす地域公共交通の重要性に鑑み、次の事項について必要な措置を講じるよう強く求める。

  1.  全国的な鉄道ネットワークのあり方について、国の責任において議論の上、早期に方向性を示すとともに、ローカル線の果たす役割が堅持されるよう、国の負担等に対する考え方を示すこと
  2.  路線バスやコミュニティバスを維持・確保するため、交通事業者や地方公共団体に対する財政支援の拡充及び必要な予算の確保を行うこと
  3.  地域公共交通の担い手確保に向け、国においても人材確保対策を積極的に進めること
  4.  鉄道事業の安全輸送の確保のため、事業者の企業規模によらず、各種減免・補助制度を維持・拡充するとともに、必要な予算を確保すること
  5.  AIオンデマンドや自動運転をはじめとする交通DXの推進や貨客混載など、交通事業の高度化や地域経済活動の発展に資する新たな取組について、必要な技術開発や規制緩和を行うとともに、補助制度を維持・拡充すること

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

  令和7年2月20日

福岡県議会議長 香 原 勝 司

 

衆議院議長 額賀福志郎殿
参議院議長 関口昌一殿
内閣総理大臣 石破 茂殿
総務大臣 村上誠一郎殿
国土交通大臣 中野洋昌殿
内閣府特命担当大臣 伊藤良孝殿
(地方創生)