本文
地方消費者行政に対する恒久的な財源確保等を求める意見書
消費者を取り巻く社会経済情勢は、高齢化の進展や成年年齢の引下げ、孤独・孤立の顕在化等による消費者の多様化、デジタル化の進展、国際化などを反映し大きく変化している。このような中、情報通信技術を活用した新たな商品・サービスの出現や取引・決済方法の多様化により、消費者の選択肢が広がり消費生活は豊かになってきている反面、取引の方法や内容をめぐる新たな消費者トラブルが発生し、消費者問題は複雑多様化している。
令和5年度における全国の消費生活相談件数は約90万9000件、消費者被害・トラブル推計額は約8.8兆円に上っており、県内においても49,205件の消費生活相談が寄せられている。
消費者被害を防ぐためには、相談体制の確保や消費者教育・啓発などの地方消費者行政の充実・強化が重要である。しかしながら、これまで地方消費者行政の下支えとなってきた地方消費者行政強化交付金推進事業は、令和7年度末に県内の多くの自治体で活用期間が終了するため、交付金を活用して実施してきた相談体制の維持や消費者教育・啓発に係る事業の継続が困難となるなど、地方消費者行政の後退・縮小が懸念される。
さらに、国が進める全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO‐NET)の刷新により生じる費用の負担、消費生活相談員の担い手不足なども、地方消費者行政の安定的実施を妨げる要因となっている。
よって、政府におかれては、地方消費者行政の充実・確保を図るため、次の措置を講じるよう強く要望する。
- 地方消費者行政を安定的に推進するための恒久的な財源措置を講じること
- 消費生活相談員の安定的な確保と処遇改善に係る制度設計を行うとともに、必要な予算措置を講じること
- 国が進める全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO‐NET)の刷新により地方公共団体に生じる費用については、国が責任をもって措置すること
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年7月4日
福岡県議会議長 藏 内 勇 夫
内閣総理大臣 | 石破 茂殿 |
総務大臣 | 村上誠一郎殿 |
財務大臣 | 加藤勝信殿 |
内閣府特命担当大臣 | 伊藤良孝殿 |
(消費者及び食品安全) |