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「新しい認知症観」に基づく認知症施策の推進を求める意見書

 高齢化の進行に伴い、我が国の認知症の人の数は増加している。令和4年の認知症の高齢者数は約443万人、軽度認知障害(MCI)の高齢者数は約559万人と推計され、高齢者の約3.6人に1人が認知症又はその予備群といえる状況にあり、今後も増加することが見込まれている。
 このような中、国は、認知症の人を含めた国民一人一人がその個性と能力を十分に発揮し、相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力ある社会の実現を推進することを明記した「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」を制定するとともに、認知症施策を総合的かつ計画的に推進するため、令和6年12月に「認知症施策推進基本計画」を策定した。
 この計画では、広く国民が「認知症になってからも、一人一人が個人としてできること・やりたいことがあり、住み慣れた地域で仲間等とつながりながら、希望をもって自分らしく暮らし続けることができる」という「新しい認知症観」を理解し、地域の多様な主体が「新しい認知症観」に立ち、それぞれ自分ごととして、連携・協働して施策に取り組むことが求められている。
 よって、国におかれては、「新しい認知症観」に基づく認知症施策の更なる充実・強化のため、次の事項について特に取り組むよう強く求める。

  1. 正しい知識と理解に基づく予防を含めた認知症への備えとしての取組、認知症の人と家族を社会全体で支える体制の構築や、地域の実情に応じた体制づくりに対する恒久的な財政措置など、認知症の人が希望をもって自分らしく暮らし続けられる環境整備を行うこと
  2. 認知症の発症メカニズムの解明と予防・治療に係る研究開発を加速化するなど、国による認知症に係る研究開発の促進を図ること
  3. 認知症の危険因子の一つとされる難聴に係る正しい知識の普及啓発を図るとともに、市町村における聴力検査に係る助成や、身体障害者手帳の交付対象とならない軽度・中等度の難聴者に対する聴覚補助機器等の購入支援など、難聴の早期発見・早期介入のための環境整備を行うこと

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  令和7年7月4日

福岡県議会議長 藏 内 勇 夫 

 

衆議院議長 額賀福志郎殿
参議院議長 関口昌一殿
内閣総理大臣 石破 茂殿
厚生労働大臣 福岡資麿殿