多文化共生のための社会基盤整備を求める意見書

 外国人材の活用が進められ、外国人労働者は製造業や農業をはじめ、地域経済にとって欠かせない存在となっている。その数は、2020年月末時点の在留資格でみると、技能実習約40万人、資格外活動(留学生のアルバイト等)約37万人など、合計約172万人に上り、10年間で100万人以上増加している。
 このような外国人労働者の増加による社会経済情勢の変化を踏まえ、地域社会や行政との接点をもちにくい環境にある在留外国人に対し、国や地方自治体による支援を拡充し、在留外国人の人権を保障するとともに、多文化共生社会の形成についての基本方針を明確にすることが、必要不可欠である。
 よって、国におかれては、次の施策の実施を行うよう強く求める。
1 国の事務・事業の実施に当たり、国籍や社会的文化的背景が異なることを理由に不当な差別的取扱いがなされないようにすること
2 国籍及び社会的文化的背景が異なることを理由とする差別に関する相談や、紛争の防止・解決に必要な体制を整備すること
3 多文化共生社会の形成に関する教育・啓発を行うほか、地域における在留外国人との交流の促進により、多文化共生社会の形成について国民と在留外国人相互の関心と理解を深めること
4 在留外国人に対する日本語等の習得機会の確保、情報提供等により、在留外国人が日常生活、社会生活及び職業生活を地域社会の構成員として、円滑に営むことができるための措置を講じること
5 地方自治体が取り組む多文化共生社会形成のための各種事業について、必要な財政措置などの支援を行うこと

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

 令和4年3月24日

福岡県議会議長 秋 田 章 二   

衆議院議長   細 田 博 之 殿
参議院議長   山 東 昭 子 殿
内閣総理大臣  岸 田 文 雄 殿
総務大臣    金 子 恭 之 殿
法務大臣    古 川 禎 久 殿
財務大臣    鈴 木 俊 一 殿