水田農業の振興に関する意見書

 我が国の水田農業は、私たち日本人の主食である米を生産する場であるだけでなく、水源の涵養や国土の保全、良好な景観の形成といった、多様で多面的な役割を果たしており、これらの機能は米づくりを通じて維持されてきた。
 一方で、主食用米の需要量の推移は全国ベースでみると中長期的に減少傾向にあり、最近は人口減少や高齢化等を背景にその減少幅も年10万トン程度に拡大している。さらに、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で業務用米の需要が低迷しているため、在庫量の増加が生じ、米価が低迷するなど、農業者にとって経営の先行きが不透明な状況となっている。
 このような中、水田農業を維持し、持続的に発展させていくためには、基幹的農業従事者が高齢化している状況を踏まえ、安定した担い手の確保を図るとともに、水田を有効活用し、所得を確保する必要がある。
 よって、国におかれては、水田農業の持続的発展を図ることが重要であることに鑑み、次の事項を実現されるよう強く要望する。
1 主食用米について、需要に応じた生産に向け、水田フル活用の推進に必要な経営所得安定対策等の交付金に係る予算の恒久化と併せ、十分な予算を措置すること。また、国内での消費拡大に取り組むとともに、米価の動向を踏まえ、収入減少影響緩和対策の制度改善など万全なセーフティネット対策を講じること
2 麦について、豊作時の価格の安定のため、市場隔離が可能となるよう、畑作物の直接支払交付金の増額を行うとともに、国産麦の利用拡大を促進すること

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

 令和4年3月24日

福岡県議会議長 秋 田 章 二   

衆議院議長   細 田 博 之 殿
参議院議長   山 東 昭 子 殿
内閣総理大臣  岸 田 文 雄 殿
財務大臣    鈴 木 俊 一 殿
農林水産大臣  金 子 原二郎 殿