認知症の人も家族も安心な社会の構築を求める意見書

 日本における認知症の人の数は推計値で約600万人を超え、高齢者の増加に伴い、今後も増えることが見込まれており、将来を見据えての備えの拡充が求められている。
 今日、認知症の人に対する介護や医療の分野においては、認知症に対する知識や経験の蓄積や、認知症を進行させる要因の解明など、大きな進展が見られる。
 また、地域や家庭においては、家族をはじめ周囲の人々の正しい知識と理解のもと、認知症の人の尊厳と日常を守る、認知症との共生型社会への転換が求められている。
 よって国におかれては、認知症の人も家族も安心して暮らせる地域の構築を図るとともに、当事者や家族の困難を最小限に抑えるために、以下の事項について特に取り組むよう強く求める。
1 認知症の人に初期の段階から、家族や周囲の人々が適切に対応するための、認知症サポーター等の育成促進や、身近な薬局や介護施設等への相談窓口の開設を支援すること
2 認知症の重症化抑制や認知機能の維持のため、当事者や家族との連携を重視し、薬や対処法等の研究開発体制を強化すること
3 認知症グループホームへ、低所得者や圏域外の人々も利用できる入所の仕組みづくりなど、認知症の人と家族に寄り添う制度を整備すること
4 認知症のリスク低減につながる生活習慣や栄養補給など、国民の日常をサポートする知識や情報を提供すること
5 認知症に対して、地域が進める施策を国が総合的に推進する、「(仮称)認知症基本法」を整備すること

  以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

  令和5年3月20日

福岡県議会議長 桐 明 和 久  

衆議院議長 細田博之殿
参議院議長 尾辻秀久殿
内閣総理大臣 岸田文雄殿
厚生労働大臣 加藤勝信殿