女性と子どもの自殺増を受け対策を求める意見書

 これまで、自殺対策基本法を制定し、自殺総合対策大綱に基づく地方自治体や関係機関の取組の効果もあり、2010年以降、10年連続で自殺者数が減少してきた。
 しかし、2020年は新型コロナウイルス感染症等の影響を受け、自殺の要因となりうる様々な問題が悪化したことにより、自殺者数は11年ぶりに前年を上回った。特に、女性の自殺者数が前年より935人増加していることに加え、児童生徒の自殺者数は過去最多の499人となり、深刻な状況にあるといえる。
 自殺の原因は、多様で複合的な原因・背景を有し、様々な要因が連鎖する中で起きているとされるものの、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、生活困窮や精神的不安等からの自殺者数の増加が懸念される。
 よって、国におかれては、次の事項を含む施策の早急な実施を行うよう強く求める。
1 自殺総合対策大綱の見直しにあたり、現行の自殺対策の取組と他の関連施策との連携を強化すること
2 国は、地方自治体が策定する自殺対策計画づくりを支援し、計画に基づく事業への財政支援や事業の結果の検証を行うことで、国が地方自治体と連携して全国的な自殺対策を改善・進化させること
3 自殺対策に資する、若年世代への「包括的な生きる支援」の強化や、働く人の尊厳と健康が守られる職場を増やすための枠組みづくり、「よりそいホットライン」の拡充など、「自殺総合対策大綱」に即した対策を実現するための予算等を確保すること
4 小中高校での相談体制の強化と子どもの意見表明権を保障する仕組みとともに、学校外にも若者の居場所作りを進めること

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

 令和3年12月20日

福岡県議会議長 秋 田 章 二   

衆議院議長   細 田 博 之 殿
参議院議長   山 東 昭 子 殿
内閣総理大臣  岸 田 文 雄 殿
財務大臣    鈴 木 俊 一 殿
文部科学大臣  末 松 信 介 殿
厚生労働大臣  後 藤 茂 之 殿