出産育児一時金の増額を求める意見書

 厚生労働省によると2019年度の出産費用が、正常分娩の場合、全国平均額は約46万円で、室料差額等を含む費用の全国平均額は約52万4千円となっている。出産にかかる費用は年々増加し、費用が高い都市部では現在の42万円の出産育児一時金の支給額では賄えない状況になっている。
 国は、2009年10月から出産育児一時金を原則42万円に増額し、2011年度にそれを恒久化、2015年には一時金に含まれる産科医療補償制度掛金分3万円を1万6千円に引き下げ、本来分39万円を40万4千円に引き上げた。2022年1月以降の分娩から産科医療補償制度掛金を1万2千円に引き下げ、本人の受取額を4千円増やすとともに、医療機関から費用の詳しいデータを収集し実態を把握したうえで増額に向けて検討することとしている。
 一方、2019年の出生数は86万5千239人で、前年に比べ5万3千161人減少し過去最少となった。少子化克服に向け、安心して子どもを産み育てられる環境を整えるためには、子どもの成長に応じた、きめ細かな支援を重ねていくことが重要であり、一時金はその大事な一手であると考えられる。
 少子化対策は、わが国の重要課題の1つにほかならず、子育てのスタート期に当たる出産時の経済的な支援策を強化することは欠かせない。
 よって、国におかれては、現在の出産に要する経済的負担に見合う額に出産育児一時金を引き上げるよう強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

 令和3年9月30日

福岡県議会議長 秋田 章二  

衆議院議長       大島 理森 殿
参議院議長       山東 昭子 殿
内閣総理大臣      菅  義偉 殿
財務大臣        麻生 太郎 殿
厚生労働大臣      田村 憲久 殿