HPVワクチンの積極的勧奨の再開に関する意見書

 日本では、毎年約1万1千人の女性が子宮頸がんに罹患し、約2800人が死亡している。しかし、国内の子宮頸がん検診の受診率は、40%前後にとどまっている。 子宮頸がんの原因であるHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染を予防するには、HPVワクチン接種が有効であるが、日本では、平成25年4月に予防接種法に基づく定期接種がなされたものの、副反応が疑われる症状が相次いで報告されたことから、厚生労働省の勧告により、同年6月には、HPVワクチン定期接種の積極的な勧奨が差し控えられた。
 このことにより、HPVワクチン接種率は、積極的接種勧奨の差し控え勧告以前の世代では70%程度であったが、勧告以降の世代では1%未満にまで落ち込んでおり、定期接種としては、著しく低い接種率となっている。
 子宮頸がんから女性の命を守るため、福岡県議会から令和3年3月に「子宮頸がん対策の強化を求める意見書」を国に提出し、副反応被害の徹底した検証を進めると同時に、検診率向上に向けた対策の強化に取り組むよう要望してきた。 
 このたび、厚生労働省の審議会が出した、HPVワクチン接種の積極的な勧奨を差し控えている状態を終了させることが妥当であるとの結論を踏まえ、同省はHPVワクチンの個別勧奨について地方自治体に通知したところである。
 よって、国においてはHPVワクチンの個別勧奨と子宮頸がんの予防を一層推進するに当たり、次の事項に取り組まれるよう強く要望する。
1 積極的勧奨の差し控えにより接種機会を逸したすべての方が費用の心配なく接種できるよう、キャッチアップ接種の財政措置を講じること
2 HPVワクチン接種に係る安全性・有効性に関する必要な情報提供を積極的に行い、接種率の向上を図ること

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

 令和3年12月20日

福岡県議会議長 秋 田 章 二   

衆議院議長   細 田 博 之 殿
参議院議長   山 東 昭 子 殿
内閣総理大臣  岸 田 文 雄 殿
総務大臣    金 子 恭 之 殿
財務大臣    鈴 木 俊 一 殿
厚生労働大臣  後 藤 茂 之 殿
内閣官房長官  松 野 博 一 殿