人権擁護委員制度のさらなる周知と活動の活性化を求める意見書
人権擁護委員制度は、昭和23年に、諸外国に例を見ないわが国独自の制度としてスタートした。制度の誕生から今年で70年となり、この間、法律の整備や定数の拡充などが図られ、現在の人権擁護委員制度が確立された。市町村長が議会の意見を聞いて推薦し、法務大臣が委嘱した人権擁護委員は、現在、約1万4千人おられ、全国各地でボランティアとして、人権相談、調査・救済、啓発を柱に、さまざまな活動を献身的に続けられている。
しかしながら、不当な差別や虐待をはじめ、さまざまな態様の人権侵害が繰り返されている現実がある。
また、社会の国際化、高齢化、情報化の進展等に伴い、ヘイトスピーチや性的少数者の人権問題、インターネットによる人権侵害など新たな課題も現れ、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」など、人権に関する法律の整備も進んでおり、人権問題はますます複雑化、多様化してきている。そのため、人権擁護委員の活動を新しい視点で見直し、現在のニーズに応えるものとしていくことが必要である。
人権救済に対する社会の期待は強まっており、その期待に応えるべく、人権擁護活動の充実を図る必要があり、地域の中で身近な相談相手として、一人一人の人権が守られる環境づくりに貢献している人権擁護委員が果たす役割は、今後ますます重要となっており、その活躍が期待されている。
よって、国におかれては、国民の基本的人権を守るため、人権擁護委員制度の国民へのさらなる周知と研修の充実などその活動の活性化に資する環境を整備されるよう求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
平成30年3月28日
福岡県議会議長 樋口明
衆議院議長 大島理森 殿
参議院議長 伊達忠一 殿
内閣総理大臣 安倍晋三 殿
法務大臣 上川陽子 殿
厚生労働大臣 加藤勝信 殿