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適格都道府県センター訴訟制度の拡大を求める意見書

 平成24年改正暴力団対策法により、いわゆる適格都道府県センター訴訟制度(以下、「本制度」という。)が創設された。これは、認定を受けた各都道府県の暴力追放センターが、地域住民にかわり、暴力団事務所の使用差止等を請求できる制度であり、これにより、暴力団事務所排除の促進、地域住民の人格権保護が図られるものと期待された。
 もっとも、本制度で認められる訴訟類型は事務所の使用差止等に限られ、例えば損害賠償請求等、事後的な被害回復の場面においては、従前どおり住民自身による訴訟遂行が必要とされる。そのため、意義ある制度ではあるものの、利用は全国で3件であり、その他の訴訟類型への拡大を望む声が上がっている。
 そもそも、改正法により本制度が認められたのは、暴力団を相手とする訴訟においては、住民の心理的な負担が大きく、報復を恐れて権利行使を躊躇するなど、住民の権利実現、ひいては安心安全な社会の実現に対し大きな障壁があったからである。
 この点、かかる趣旨は、事務所の使用差止のみならず、暴力団による犯罪行為等に対する損害賠償請求等についても同様に当てはまり、このような場面にも本制度の対象を拡大することが、改正法の趣旨実現に一層寄与する。
 全国で暴力団による事件がなくならない中、特に本県では、五つの指定暴力団と、平成27年12月末時点で約2400人の暴力団構成員等が存在し、同年の暴力団構成員等による刑法犯の検挙件数が1392件を数えるなど、暴力団による犯罪行為等に対する損害賠償請求等、住民自身による訴訟遂行が必要となる場面も多い状況にある。
 本来、暴力団による住民への被害の防止及び回復は国の責務であり、報復を恐れて権利行使を躊躇するなど暴力団壊滅に向けた取組が画餅に帰すことのないよう、国として本制度の充実をより一層図るべきである。
 よって、国におかれては、暴力団対策法を改正し、損害賠償請求等の場面にも適格都道府県センター訴訟制度を拡大するよう要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

  平成28年12月20日

福岡県議会議長 中尾正幸

 衆議院議長 大島理森 殿
 参議院議長 伊達忠一 殿
 内閣総理大臣 安倍晋三 殿
 内閣官房長官 菅義偉 殿
 国家公安委員会委員長 松本純 殿