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ストーカー行為等の規制等に関する法律の改正を求める意見書

 近年、ストーカー被害は増加の一途をたどっており、警察庁によれば、平成27年のストーカー被害認知件数は全国で2万1968件、本県においても1314件が報告されている。
 そのような中、先般、アイドル活動をしていた東京都在住の女性が、ファンを名乗る男に刃物で襲われるという痛ましい事件が発生した。男は、女性に対し、ツイッターでの執拗な書き込みを続けていたといい、世間ではストーカー被害として受け止められている。
 しかしながら、現行のストーカー行為等の規制等に関する法律(以下、「ストーカー規制法」という。)においては、メールを執拗に送信する行為は「つきまとい等」として規制対象となるものの、ツイッターなどのSNSを利用した書き込みやメッセージ送信行為については、同法の規制対象外とされている。
 そもそも、SNSを利用した書き込みやメッセージ送信行為は、発信者の意思を相手方に伝達するという点において、メールを用いた手段と何ら異ならず、恋愛感情等充足目的でのつきまとい等を規制して個人の身体・自由等を守るというストーカー規制法の趣旨に鑑みれば、現在広く普及し、今やメールの利用をも上回らんとするSNSを規制の対象に含めることが必要不可欠である。
 ストーカー行為等の規制等の在り方に関する有識者検討会は、平成26年8月5日付報告書において、SNSの利用に関してもストーカー規制法の対象とするよう提言している。また、先述の事件を受け、現在政府においても同法の改正が検討されているとのことであるが、増加の一途をたどるストーカー被害に一刻も早く対処するため、速やかな法改正が必要である。また、今後、SNSだけでなく、新たな手法、手段による「つきまとい行為」が発生することも予想される。
 よって、国におかれては、ストーカー規制法を改正し、SNSを利用した書き込みやメッセージ送信行為も、同法における「つきまとい等」として規制の対象とするとともに、被害の未然防止のため、社会各分野における相談体制を強化し、併せて、新たな「つきまとい行為」にも迅速に対応できるような法整備を要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

  平成28年6月21日

福岡県議会議長 中尾正幸

 衆議院議長 大島理森 殿
 参議院議長 山崎正昭 殿
 内閣総理大臣 安倍晋三 殿
 内閣官房長官 菅義偉 殿
 国家公安委員会委員長 河野太郎 殿