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海岸松林の松くい虫被害対策に関する意見書

 玄界灘、響灘に隣接している沿岸地域では、臨海地域特有の海から吹きつける強風や潮風、海砂の飛散を防ぎ、農作物や住宅、道路など人々の生活を守る防風保安林として、多くの松が植林されている。
 これらの松林は、今から約4百年前に黒田藩の統治下で最初の松苗の植林が行われて以降、数度にわたる植林や除伐などの手入れが継続的に行われ、多くの人々が松林の保護に携わってきた。同時に、松葉を燃料として利用するなど松林は人々の暮らしと密接なものであった。
 しかしながら、化石燃料への転換を機に人と松との関係は希薄なものになり、管理が行き届かないことで広葉樹が繁茂するなど、松にとっての生育環境は徐々に悪化してきた。
 さらに、本地域においては、松くい虫による松枯れの被害が平成23年度から急激に増加し、多くの松が失われ、一部では壊滅的な状態となっている。
 国の機関である福岡森林管理署や各市町においては、薬剤の散布など様々な松枯れ対策を講じているところであり、玄界灘、響灘に隣接した福岡県内自治体における平成26年度の松枯れ被害は、ピーク時の平成24年度に比べて被害量は半減しているものの、依然として深刻な状況である。
 よって、国におかれては、松林の危機的な状況を改善し、先人が培った貴重な財産である松林を良好な状態で未来へ引き継ぐため、次の事項を実現するよう強く求める。
1 松枯れが大量に発生した原因について、早急かつ緻密に分析し、その対策を講じ、これ以上の松枯れを防止すること
2 松枯れの予防を徹底するため、薬剤散布に加え、さらに樹幹注入を実施する場合も、そのすべてを補助対象とすること
3 国有林については、林野庁所管以外の航空自衛隊芦屋基地などの松林も含め、国の責任において松枯れの予防・松くい虫の駆除を徹底すること
4 国、県、市町が共通の認識を持ち、伐採後の処理を含めた効果的な保全活動を行うため、県、市町の意見を踏まえた長期的な松林保全施策を実施すること

   以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

  平成28年3月23日

福岡県議会議長 井上忠敏

 衆議院議長 大島理森 殿
 参議院議長 山崎正昭 殿
 内閣総理大臣 安倍晋三 殿
 財務大臣 麻生太郎 殿
 農林水産大臣 森山裕 殿
 国土交通大臣 石井啓一 殿
 防衛大臣 中谷元 殿
 内閣官房長官 菅義偉 殿