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環太平洋パートナーシップ(TPP)協定締結に関する意見書

 環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉が参加12カ国の閣僚会合において「大筋合意」に達し、その後、協定案の全文も公表された。
 政府は、「国家百年の計であり、私たちの生活を豊かにしてくれる」とその意義を強調し、新聞、テレビ等の報道の大勢も輸出拡大等の好機と捉え歓迎の声を伝えている。しかしながら、その内容は、いわゆる農林水産物の重要五品目(米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源)においてすら、その3割で関税を撤廃するとともに、新たな関税割当枠の設定や関税率の段階的引き下げなど、大幅な譲歩を受け入れたものとなっている。
 協定案の衝撃的な市場開放水準の高さに農業生産の現場では動揺が広がり、将来への不安や絶望、怒りの声が渦巻いている。また、農林水産省も、協定が実施された場合の影響評価において、まさに重要5品目を中心として長期的には価格下落など関税引き下げの影響を懸念するとしているが、楽観的すぎると指摘せざるを得ない。
 よって、国におかれては、TPP協定の締結が国民生活の根本にかかわる極めて重大な政策転換であることを踏まえ、次の事項を実現するよう、強く求める。
1 協定案が農林水産分野の重要5品目に関する衆参両院決議を遵守し、国益にかなったものとなっているかについて、国会で十分な審議を行うこと
2 生産者が将来への展望を持って農業経営を継続できるよう、政府は中、長期的な農業政策を速やかに確立することはもちろん、担い手に対するセーフティネット等、現場のニーズに沿った適切な対策を確実に実施すること
3 協定案とこれが実施された場合の農業だけにかかわらず地域経済等に及ぶ影響について、その根拠とともに具体的かつ詳細な情報提供と説明を早急に行うこと

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

  平成27年12月1日

福岡県議会議長 井上忠敏

 衆議院議長 大島理森 殿
 参議院議長 山崎正昭 殿
 内閣総理大臣 安倍晋三 殿
 財務大臣 麻生太郎 殿
 外務大臣 岸田文雄 殿
 厚生労働大臣 塩崎恭久 殿
 農林水産大臣 森山裕 殿
 経済産業大臣 林幹雄 殿
 環境大臣 丸川珠代 殿
 内閣官房長官 菅義偉 殿
 経済再生担当大臣 甘利明 殿