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労働者保護のための規則の整備を求める意見書

 わが国は、働く者のうち約九割が雇用関係の下で働く「雇用社会」であり、その中で雇用労働者が、安定的な雇用と公正な処遇の下で安心して働くことができる環境を整備することが、デフレからの脱却、ひいては日本経済・社会の持続的な成長のために必要となる。
 にもかかわらず、今、政府内では、解雇の金銭解決制度やホワイトカラー・イグゼンプションの導入、限定正社員制度の普及など、一部では労働者保護の後退を招きかねない労働者派遣法の見直しなどの議論がなされている。議論の過程においては、働く者の犠牲の上に成長戦略を描くことは決して許されることではなく、むしろ政府が掲げる経済の好循環を推し進める労働者を保護するルールの審議が求められる。
 また、雇用・労働政策は、国際労働機関(ILO)の三者構成の原則に基づき労働政策審議会において議論すべきであり、国際標準から逸脱したものとなってはならない。
 よって、政府におかれては、今後、労働者保護ルールの整備を図るよう、次の事項について強く求めるものである。
1 不当な解雇として裁判で勝訴しても企業が金銭さえ払えば職場復帰の道を閉ざされてしまう解雇の金銭解決制度や、解雇しやすい正社員を増やす懸念のある限定正社員制度の普及、並びに長時間労働を誘発するおそれのあるホワイトカラー・イグゼンプションの導入などは、労働者の実態を踏まえ、慎重な審議を尽くすこと
2 低賃金や低処遇のままの派遣労働の拡大につながりかねない法改正ではなく、派遣労働者のより安定した直接雇用への誘導と処遇改善に向け、努力すること
3 雇用・労働政策に関わる議論は、ILOの三者構成主義にのっとって、労働者代表委員、使用者代表委員、公益委員で構成される労働政策審議会で行うこと

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

 

  平成26年3月28日

福岡県議会議長 松尾統章 

 内閣総理大臣 安倍晋三 殿
 厚生労働大臣 田村憲久 殿
 経済再生担当大臣 甘利明 殿
 内閣府特命担当大臣 稲田朋美 殿