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公務員獣医師の処遇改善を求める意見書

 動物は、我々の生活を様々なかたちで豊かにしてくれるかけがえのない存在である。人の命が大切であるように動物の命に対しても感謝と畏敬の念を忘れず、その尊厳を守らなければならない。
 このような動物愛護の精神が、多くの先人の長年の努力にもかかわらず、未だ国民共通の理解として定着するまでには至っていない中、動物愛護管理法の一部を改正する法律が本年9月1日に施行された。動物をさらに大切にするため、新たに、人と動物の共生社会の実現を図ること、所有者の終生飼養の責務等が明記されるとともに、動物取扱業者に係る規制強化などが行われたものである。これにより、都道府県等の役割はさらに拡大し、改正法の的確な実施業務を担う獣医師の職責と業務量が増大することは確実である。
 一方、今日、高病原性鳥インフルエンザや狂犬病をはじめとする人と動物の共通感染症や口蹄疫などの伝染病が世界各地で発生し、その流行制御や食品の安全性確保を求める国民の声が格段の高まりを見せている。そこで、このような国民の期待に応えるべく、先般、日本医師会と日本獣医師会により、人と動物、さらに環境の健康は深くひとつに繋がっており、連携・協働してその一体的増進に取り組むとする包括協定が締結されたところであるが、家畜衛生、公衆衛生等の現場において、まさに水際の防疫措置や食品衛生業務の中核を担う公務員獣医師の業務も、ますます高い専門能力と判断力が要求され、困難性を増している。
 しかし、現在、これらの業務に従事する地方公務員獣医師には、国の指導に基づき、医師の下でその処方や指示により医療に従事する職種と同じ医療職給料表(二)が適用されている。対象者の全てが医師・歯科医師と同様六年間の教育課程を修めた免許取得者となろうとしており、かつ、その業務も医師等と同様、高度な自己判断に基づき遂行しなければならない専門職としてふさわしい処遇とは、到底言えないのである。そして、このことが、全国的に公務員獣医師が採用困難職種となっている最大の要因と言わざるを得ない。
 よって、国におかれては、公務員獣医師がより一層責任と誇りを持って職務に専念できるよう、次の措置を確実に実施するよう強く求める。
1 都道府県等の公務員獣医師の処遇を改善し、人材確保を推進するため、国が率先して国家公務員獣医師に適用する俸給表を医師等に準じたものに改め、又は初任給調整手当の創設等を行うこと
2 都道府県等が、動物愛護の推進、家畜衛生、公衆衛生等の責務を果たすため、独自に地方公務員獣医師の処遇改善に取り組み、医療職給料表(一)の適用又はこれに準じる給料表の創設を行うときは、地方自治の趣旨に則り、これを尊重すること
3 医師と看護師等との関係に準じてチームによる動物医療提供体制を整備するため、「動物看護士」の専門職としての位置づけを行うこと

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

 

  平成25年12月19日

福岡県議会議長 松尾統章 

衆議院議長 伊吹文明 殿
参議院議長 山崎正昭 殿
内閣総理大臣 安倍晋三 殿
財務大臣 麻生太郎 殿
総務大臣 新藤義孝 殿
厚生労働大臣 田村憲久 殿
農林水産大臣 林芳正 殿
人事院総裁 原恒雄 殿