TPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加に対する意見書(平成23年10月7日)
政府は、昨年10月、当時の菅総理大臣が唐突にTPP交渉への参加検討を宣言すると、11月には早急に協議を開始するとの基本方針を閣議決定し、さらに本年1月には、国民生活への影響等、正確な情報提供と説明を求める全国の議会、農業関係者等への確かな説明や、国民的な議論も不十分なまま、6月をめどに方向性について判断する旨表明するという拙速な対応を続けてきた。
TPPは、物品貿易では原則として全品目の関税を即時または段階的に撤廃し、さらにサービス貿易、政府調達、競争、知的財産、人の移動等を含む包括的な協定であるが、米国、豪州をはじめ現在交渉に参加している国はほとんど農産物輸出国であり、参加すれば、これらの国から大量に輸入される安価な農産物の前に、我が国の農家の営農努力は水泡に帰し、農林水産省は、食料自給率が現在の40%から13%に低下すると試算している。これに加えて、外国人労働者の流入により、低賃金化とデフレがさらに進行し、参入規制の緩和等のため、食品衛生、医療、保険等、国民の安全と安心を支える制度が変わるおそれがあることも指摘されている。
このため、農業団体が各界・各層と連携して進めた署名運動に、全国で1,165万人、本県でも51万人が参加反対の声を寄せているが、このような国民の生活を一変させ、我が国の将来を左右する極めて重要な問題であるにもかかわらず、政府は11月の交渉参加に向け検討を進めている。
よって、国におかれては、真摯に国民の声を聞き、地域の農林水産業をはじめあらゆる産業分野、経済活動にはかり知れない影響を及ぼすおそれがあるTPP交渉には国民的合意がない限り参加しないことを強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
平成23年10月7日
福岡県議会議長 原口剣生
衆議院議長 横路孝弘 殿
参議院議長 西岡武夫 殿
内閣総理大臣 野田佳彦 殿
外務大臣 玄葉光一郎 殿
農林水産大臣 鹿野道彦 殿
経済産業大臣 枝野幸男 殿
内閣官房長官 藤村 修 殿
国家戦略担当大臣 古川元久 殿