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TPP(環太平洋経済連携協定)への対応に関する意見書

 政府は、11月9日に、「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定し、「情報収集を進める」ために「関係国との協議を開始する」こととした。
 TPPは、原則としてすべての物品について関税の撤廃を目指しており、仮にTPP参加となれば、輸出面の効果が見込める反面で、国内の農業生産をはじめとして、地域経済、社会、雇用については極めて深刻な影響をこうむることが十分予想されるところである。
 我が国は食料の60%を海外に頼っているが、食料自給率がさらに低下することになれば、安全・安心な食料の安定供給が脅かされ国民に大きな不安を与えることになる。
 また、TPPでは、物品貿易の自由化だけではなく、金融、保険、政府調達、医師、弁護士、会計士等の業務の自由化及び看護師、介護福祉士等の労働市場の開放などを含む包括的な交渉が行われることから、参加の条件によっては、農林水産分野以外にも経済や生活にかかる多様な分野について基準や仕組みを根本的に変更することになり、「国のかたち」が一変してしまう可能性も否定できない。
 よって、国におかれては、下記の措置を早急に講じられるよう強く要望する。

1 我が国及び本県農業への重大な影響が懸念されるTPPについては、拙速に判断せず、参加の是非を国民に問うなど、国民的議論を踏まえて慎重に対応すること
2 TPPについては、全品目の関税撤廃だけではなく、さまざまな分野での包括的な交渉が行われ、農林水産分野のみならず多様な分野に影響があること及びその内容を国民に十分説明すること
3 「多様な農業の共存」を基本理念として、農業・農村の多面的機能の発揮、食料自給率の向上など食料安全保障の確保、農業・農村の振興等を損なわないよう対応すること

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

 平成22年12月1日

福岡県議会議長 田中 秀子

衆議院議長  横路 孝弘 殿
参議院議長  西岡 武夫 殿
内閣総理大臣 菅 直人 殿
総務大臣    片山 善博 殿
外務大臣    前原 誠司 殿
財務大臣    野田 佳彦 殿
農林水産大臣 鹿野 道彦 殿
経済産業大臣 大畠 章宏 殿
内閣官房長官 仙谷 由人 殿
国家戦略担当大臣 玄葉 光一郎 殿