高校教科書の検定に関する意見書(平成19年10月10日)
去る3月30日、文部科学省は、平成20年度から使用される高等学校教科書の検定結果を公表したが、沖縄戦における「集団自決」の記述について、「沖縄戦の実態について誤解するおそれのある表現である」との検定意見を付し、日本軍による命令・強制・誘導等の表現箇所を削除・修正させている。
その理由として同省は、「日本軍の命令があったか明らかではない」ことや、「最近の研究成果で軍命はなかったという説がある」ことなどを挙げているが、沖縄戦における「集団自決」が、日本軍による関与なしに起こり得なかったことは紛れもない事実であり、今回の削除・修正は、体験者による数多くの証言を否定しようとするものである。
また、国内唯一の地上戦を体験し、一般県民を含む多くの尊い生命を失い、筆舌に尽くしがたい犠牲を強いられた沖縄県民にとって、今回の削除・修正は到底容認できるものではないと言える。
よって、本県議会は、沖縄戦の実相を正しく伝えるとともに、悲惨な戦争を再び起こさないようにするためにも、同記述の見直しが速やかに行われるよう強く要請する。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
平成19年10月10日
福岡県議会議長 貞末 利光
衆議院議長 河野 洋平 殿
参議院議長 江田 五月 殿
内閣総理大臣 福田 康夫 殿
文部科学大臣 渡海 紀三朗 殿
沖縄及び北方対策担当大臣 岸田 文雄 殿