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WTO農業交渉等に関する意見書(平成14年12月20日)

 我が国の農業・農村は、食料自給率の低下や担い手の高齢化、過疎化の進行などの課題に直面しており、農業者はもとより、関係団体、行政等、一体となって農業の継続的発展と農村の振興に向け懸命の努力を重ねているところである。

 そうした中、WTOでは、来年3月のモダリティ(約束の基準)決定に向け、農業交渉が進められており、我が国は「多様な農業の共存」を基本に、農業の多面的機能、食料安全保障など貿易以外の関心事項に対する配慮を強く求めている。

 しかしながら、我が国の主張に賛意を示す国は少なく、大勢を占める農産物輸出国グループは、すべての関税を大幅に削減し、輸入数量の大幅な拡大提案を行っている。

 仮に、輸出国グループの提案内容を基本としたモダリティの決定となれば、農産物貿易は一部の輸出国の意のままとなり、我が国の農業は崩壊の危機に直面し、国民へ食料を安定的に供給するという国家としての基礎的な役割を果たせなくなることが強く懸念される。

 また、最近シンガポールとの間で初めて自由貿易協定が結ばれ、今後もこのような協定の拡大が予測されるが、自由貿易協定は関税撤廃を基本とするものであり、WTO農業交渉における我が国の提案内容を十分踏まえた対応が重要である。

 よって、政府におかれては、WTO農業交渉及び自由貿易協定の交渉においては、特に次の事項を重点に、毅然とした態度で臨むことを強く要望する。

1.WTO農業交渉について
  (1) 「多様な農業の共存」という我が国提案の基本を達成できるよう、農業の多面的機能、食料安全保障などの「非貿易的関心事項」をモダリティに適切に反映させること 
  (2) 国内消費量の変化に合わせたアクセス数量の見直し、及び関税化の特例措置を適用した品目に課せられている加重されたアクセス数量を解消すること 
  (3) WTO農業交渉は、生産者だけの課題ではなく、国民全体の課題であることから、理解促進のための対策を積極的に講じること  
 
2.自由貿易協定について
 自由貿易協定が我が国の食料安全保障や農林水産業の構造改革の努力に悪影響を与えないよう農林水産分野に係る利害得失を十分に検証すること 

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

 平成14年12月20日

福岡県議会議長  久保 九州雄

内閣総理大臣  小泉 純一郎 殿
外務大臣     川口 順子 殿
農林水産大臣  大島 理森 殿
経済産業大臣  平沼 赳夫 殿