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牛海綿状脳症の発生に伴う畜産物の安全対策に関する意見書(平成13年10月15日)

 牛海綿状脳症は、1986年にイギリスで初めて発生が確認され、今までに欧州の16カ国で累計18万3千頭強の発生が報告されており、人の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病との関連性が指摘されている。変異型クロイツフェルト・ヤコブ病は、痴呆や手足の麻痺などの症状を呈し、死に至る病気であり、EU諸国では牛海綿状脳症の感染拡大防止のために数百万頭が処分されているところである。

 我が国では、これまで「国内の牛は安全である」と強調されてきたが、本年9月21日、千葉県下でと畜された乳用牛1頭に牛海綿状脳症の感染が確認され、また1つ我が国の安全神話が崩れ去った思いである。全国の都道府県では、懸命に乳用牛及び肉用牛約450万頭すべてについて異常牛の点検調査を実施するとともに、導入牛経路や肉骨粉飼料の使用の有無など広範囲の調査を実施したところであるが、感染原因は依然として不明のままであり、その結果、畜産農家はもとより、消費者や食肉を販売する多くの小売店では不安が募るばかりである。生産現場での畜産物の安全と家畜衛生は畜産農家の悲願であるとともに、消費者に安全かつ衛生的な食材を提供することは、国の重大な責務である。

 さらに、我が国の危機管理を図る上で、また牛海綿状脳症の発生に伴う風評被害を防止するためにも、国による一刻も早い感染原因の究明と効果的な安全対策の確立は、全国の畜産農家や消費者並びに牛肉の販売不振にあえぐ流通・販売業者に対する喫緊の課題である。

 よって、本県議会は政府に対し、我が国の食の安全確保を的確に図るため、緊急に必要な措置として、下記事項について特段の配慮を求め、実現を期するものである。

一、牛海綿状脳症の感染原因の早期究明を図ること。

一、畜産農家に対する積極的な経営支援措置を講ずること。

一、安全かつ衛生的な食肉の流通確保を図ること。

一、牛肉販売に携わる流通・販売業者に対する速やかな支援措置を講ずること。

一、肉骨粉の製造及び飼肥料製造に係る業者並びに適正処分に対する救済措置を速やかに講ずること。

一、安全かつ衛生的な飼料確保を図ること。

一、国民に対し牛肉の安全性について、積極的にPRすること。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

 平成13年10月15日

福岡県議会議長  藏内 勇夫

内閣総理大臣  小泉 純一郎 殿
厚生労働大臣  坂口 力 殿
農林水産大臣  武部 勤 殿
経済産業大臣  平沼 赳夫 殿