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農業者年金制度の見直しに関する意見書(平成11年7月16日)

 農業者年金制度は、「農民にもサラリーマン並みの老後保障を」という全国の農業者の強い要望により、昭和46年1月に発足した。この制度は、これまで農業者の老後生活の安定と農業構造の改善に寄与するとともに広く農業・農村に必要不可欠な制度として定着している。
 しかしながら、発足して28年が経過し、この間に、農業就業人口の減少、農業者の高齢化の進展等、農業者年金をめぐる状況は制度創設当時の状況と大きく変化している。特に、新規加入者の減少や受給者の増加、農家経済の悪化による保険料収納率の低下等が大きな課題となっている。
 このため、新たな「食料・農業・農村基本法」のもとで、さらなる農業年金制度を充実強化する必要がある。
 よって、政府におかれては、制度の見直しに当たって、下記事項に十分留意の上、検討いただくよう強く要望する。




1.公的年金制度としての継続性と農業者の信頼の確保について
年金制度は世代を超える息の長い政策であることを踏まえ、公的年金制度としての継続性とこれに対する農業者の信頼の確保を基盤として検討すること。

2.政策年金としてのあり方について
本制度を、引き続き農業経営の近代化や経営規模の拡大を促進する等農業構造の改善を推進するという構造政策年金として位置づけて見直しを行うこと。

3.財政年金の長期安定化について
制度及び財政基盤の長期安定を図り、農業者が安心して加入できる制度とするため、年金制度改革全般の動向を見ながら、その仕組み及び国庫補助のあり方を含めて検討し、必要な措置を講じること。さらに、保険料水準については、農業者の負担の限界に十分留意して設定すること。

4.経営移譲の範囲の拡大について
経営を移譲する後継者がいない場合、一定の要件のもとで配偶者が営農を継続するときは移譲相手として認めるなど、経営移譲の範囲を拡大すること。

5.女性加入要件の改善について
女性の加入要件は夫が加入していること、家族経営協定の締結、耕作面積要件等女性にとって要件が厳しいため、さらに加入しやすいような措置を講じること。

6.遺族に対する給付の改善及び支給停止要件の緩和等について低水準にある死亡一時金の給付水準等を改善すること。また、農村女性が経済的に自立できるよう遺族年金制度の検討や経営移譲で後継者に貸し付けた農地を配偶者へ贈与することについては認めること。

 以上、地方自治法第99条第2項の規定に基づき、意見書を提出する。

 平成11年7月16日

福岡県議会議長  吉原 太郎

内閣総理大臣  小渕 恵三 殿
厚生大臣     宮下 創平 殿
農林水産大臣  中川 昭一 殿