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聴覚障害者の社会参加を制限する欠格条項の早期改正を求める意見書(平成11年2月23日)

 1981年の国際障害者年は「完全参加と平等」をテーマに掲げ、国際的にも国内的にも障害者に対する差別をなくし、社会的理解を広げるための大きな力となり、聴覚障害者の社会参加と平等の保障は、我が国でも着実に前進してきた。
 明治時代からの差別、偏見を背景とした民法11条(準禁治産者の要件に「聾者・唖者・盲者」を入れていた)、及び刑法40条(判断能力が低いとして聾唖者の刑事責任を軽くしていた)も、次々に改正された。
 しかしながら、医師法、薬剤師法など医事、薬事関係法を中心に、「耳が聞こえない者、口がきけない者」を絶対的に欠格事由と規定し、個々の能力も事情も一切関係なく、一律に資格や免許を与えないとしている条文がまだ残されている。これは、聴覚障害者の社会参加の観点から個々の障害程度、業務遂行能力、手話通訳等、必要な支援策を配慮する方向で資格や免許の付与を講じるべきである。
 また、欠格事由が記載されていないものの、結果として聴覚障害者の社会参加を制限している法律もある。著作権法では、視覚障害者のための本や雑誌の点字化の自由が認められているのに、映画やテレビ番組を録画したビデオテープに手話通訳や字幕をつけて聴覚障害者に普及する自由を認めていない。このため、聴覚障害者はテレビ番組を自由に享受し、情報を獲得して生活向上に利用する活動が制限されている。また、公職選挙法では、候補者のテレビ政見放送はそのまま放送することを規定しており、手話通訳や字幕をつけることを認めていない。このため聴覚障害者は、政見を知る機会が制限されており、国民の権利である参政権が保障されていない。
 よって、政府におかれては、聴覚障害者にとって差別的な法律をノーマライゼーションの理念に基づき、早急に改正されるよう強く要望する。

 以上、地方自治法第99条第2項の規定に基づき、意見書を提出する。

 平成11年2月23日

福岡県議会議長  板橋 元昭

内閣総理大臣  小渕 恵三 殿
法務大臣     中村 正三郎 殿
厚生大臣     宮下 創平 殿
自治大臣     野田 毅 殿