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「漁業基本法」の早期制定に関する意見書(平成10年12月18日)

 我が国の漁業は、今、経済・社会の発展や国際情勢の変化等により、大きな転換期に立ち至っている。
 昭和38年に沿岸漁業等振興法が制定されて以来、これに基づき各種振興施策が展開され、一定の成果は見られたものの、沿振法制定当時とは異なった新たな問題がさまざまに生じてきた。
 国内的には、過剰漁獲や海洋環境の悪化等に伴う漁業生産の低迷、漁業就業者の減少や高齢化の進行、また国際的には、国連海洋法条約の発効に伴う漁獲可能量(TAC)制度の導入や新たな日中、日韓漁業協定の締結による本格的な二百海里体制への移行など新海洋秩序のもとで、これら水産業内外の厳しい状況に的確に対応し、将来に向けて展望を切り開いていかなければならない時期に来ている。
 また、本県においては、韓国、中国と漁場が隣接し、これまでに両国漁船による不法操業が後を絶たない。漁具被害や操業妨害、さらには資源乱獲による漁場の荒廃等、漁業者の苦悩は筆舌に尽くしがたいものがあり、新協定成立後の行政としての適切な対応が強く求められ、今や水産政策全般の見直しが必要である。
 このためには、今後の我が国漁業の理念を示し、基本的な枠組みを明確にした基本法の制定が必要となってきた。
 また、農業、林業において基本法が制定されている中で、同じ基幹産業である漁業だけが取り残されていることは解せないところでもある。
 よって、政府におかれては早急に「漁業基本法」を制定して、我が国における漁業・漁村の位置づけを明確にし、その振興に関する基本方向を示し、これに沿って漁業政策の確立を図られるよう強く要望する。

 以上、地方自治法第99条第2項の規定に基づき、意見書を提出する。

 平成10年12月18日

福岡県議会議長  板橋 元昭

内閣総理大臣  小渕 恵三 殿
農林水産大臣  中川 昭一 殿