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株式会社の農地の権利取得に反対するなど新しい農業基本法の考え方についての意見書(平成10年6月29日)

 現在、国の「食料・農業・農村基本問題調査会」において、新しい農業基本法の制定に向けて論議が大詰めを迎えている。
 この中で、農業の担い手が減少し、活力が低下してきたことを背景に、担い手の一員として株式会社の農地取得による農業への参入問題を初め、我が国農政が抱える諸問題について具体的な検討がなされている。
 昨年12月に出された中間とりまとめにおいては、株式会社の農地取得による農業への参入や食糧自給率の目標の明示、中山間地域等条件不利地域の直接所得補償など今後の農政の根幹に係る4項目については、意見の一致を見ておらず、賛否両論が併記されている。
 農業、農村が果たしている食糧の安定供給はもとより、国土、自然環境の維持保全や緑豊かな農村空間の提供、さらには地域の伝統文化の継承等、農業と農地が持つ多面的な機能が損なわれることがあってはならず、農業者が希望と誇りを持って取り組むことができるような魅力ある農業を構築すべきである。
 よって、政府におかれては、新しい農業基本法には、次の事項をはっきりと位置づけるなど特段の配慮をされるよう強く要望する。

一、多様な担い手を確保育成し、農地の投機及び土地利用秩序の混乱のおそれがある株式会社の農地権利取得は認めないこと。
一、米を初めとする主要な農畜産物は国内生産を基本とすること。
一、カロリーベースの食糧自給率や主要農産物の生産目標を明示すること。
一、中山間地域など条件不利地域における日本型直接所得補償制度を導入すること。
一、価格変動による農家所得への影響を緩和するための農業経営安定対策を確立すること。

 以上、地方自治法第99条第2項の規定に基づき、意見書を提出する。

 平成10年6月29日

福岡県議会議長  板橋 元昭

内閣総理大臣  橋本 竜太郎 殿

農林水産大臣  島村 宜伸 殿