地方議会関係ハラスメントの根絶を求める決議

 民主主義の確立のためには、性別を問わず誰もが平等に、かつ相互に個人の尊厳と人権を尊重して社会の営みに参加し、公職にも就任できることが不可欠である。この理念の下に諸外国では政治分野における女性の参画が進み、国会及び地方議会ともに女性議員が増加を続けているにも関わらず、わが国では未だ議会の場に女性の姿は少なく、諸外国との格差は広がるばかりである。
 そこで、この様な現状を打破し、男女の公職の候補者の数ができる限り均等となることを目指す「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律(平成30年法律第28号)」が制定されたが、さらに、令和3年6月には、性別を問わず立候補や議員活動等をしやすい環境整備等が必要であるとして同法が改正され、政党その他の政治団体や国及び地方公共団体の取組が強化された。
 その改正事項の1つが、公選による公職等にある者及び公職の候補者について、性的な言動、妊娠又は出産に関する言動等に起因する問題の発生の防止を図るとともに、当該問題の適切な解決を図るため、研修の実施や相談体制の整備等の施策を講ずることを国及び地方公共団体に義務付けたことである。
 さらに、その後、内閣府がハラスメント防止研修用教材等の作成に向けて昨年10月から11月にかけ全国の地方議会議員を対象として開設した投稿サイトには、わずか1箇月間で1300件を超えるハラスメント事例が寄せられた。その内容は、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメント事例が多いが、マタニティハラスメントその他の嫌がらせ行為も含まれ、議員間のものと有権者から議員に対するものがそれぞれ約半数を占めていた。
 このことは、議員候補者等へのハラスメントも数多く存在することを容易に想像させるとともに、残念ながら、今もなお様々な形のハラスメント行為が、性別を問わず公平な政治参画への機会と地方議員としての活動を阻害している実態を明らかにしたと言わざるを得ない。これは女性に限られた問題ではなく、地方議会の議員及び議員候補者等に関するハラスメントの根絶は、民主主義による住民福祉の向上を活動の目的とする地方議会にとって喫緊の課題であり、我々は、自ら全力でこれに取り組まなければならない。
 よって、当議会は、本県における地方議会関係ハラスメントの根絶を決意し、自ら率先してハラスメント根絶に向けた取組を定める条例の制定を目指すとともに、広く県内の各地方議会に対しても、連携した取組を呼びかけるものとする。

以上、決議する。

 令和4年3月10日

福 岡 県 議 会