トップページ > 本会議の情報 > 令和2年6月定例会私学助成の拡充に関する意見書

私学助成の拡充に関する意見書

 

 我が国の私立学校は、独自の建学の精神に基づく個性豊かな教育を実践するとともに、多様な教育機会を提供し、社会の各分野で活躍できる有為な人材の育成に努めてきたところである。しかしながら、私立学校を取り巻く経営環境は、少子化の更なる進行などにより厳しさを一層増しており、その健全性の確保が重要な課題となっている。
 また、子どもたちの安全を守る私立学校施設の耐震化も喫緊の最重要課題となっている。
 このような中、我が国の公教育の一翼を担う私立学校が自主的・主体的な管理運営を行い、今後とも健全な発展を続けていくには、近年の社会・経済情勢の変化に対応できるように、財政基盤の強化が重要であり、そのためには、私学助成の貴重な財源となっている国庫補助制度の維持、強化が必要不可欠である。
 高等学校生徒に支給される就学支援金は、今年度から年収590万円未満世帯で引き上げられ、専攻科に係る修学支援制度も創設されるなど一定の成果が上がっているものの、依然として私学に学ぶ生徒の保護者の負担は重く、小・中学校も含め、公私間の格差は残されたままとなっている。
 また、新型コロナウイルス感染症が教育現場を始め社会全体に様々な影響を及ぼす中で、児童生徒の学びを保障するためには、遠隔授業などのICT環境の整備や保健衛生用品の確保などの感染症対策、今後の授業増に対応した教員配置などの取組に対する支援の拡充強化は不可欠である。
 よって、政府におかれては、令和3年度予算編成に当たり、私立高等学校等経常費助成費補助金の国庫補助制度を堅持し、一層の拡充強化を図るほか、私立学校施設の耐震化を促進するため、その補助率及び補助対象を拡大するなどの財政支援の拡充を図ること、また新型コロナウイルス感染症に対応するための様々な取組に対しても支援を強化するなど、私学助成制度全般の拡充強化に努められるとともに、国公私立学校間の保護者負担の格差是正の実現及び今般の新型コロナウイルス感染症の影響を受け保護者の収入が減少する児童生徒への就学支援策の強化が図られるよう強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

 令和2年6月24日

福岡県議会議長 栗原 渉  

内閣総理大臣 安倍晋三 殿
財務大臣 麻生太郎 殿
総務大臣 高市早苗 殿
文部科学大臣 萩生田光一 殿