トップページ > 本会議の情報 > 令和2年6月定例会地方財政の充実・強化を求める意見書

地方財政の充実・強化を求める意見書

 

 今、地方自治体には、医療・介護など社会保障への対応、子育て支援策の充実、地域交通の維持・確保など、より多く、また、より複雑化した行政需要への対応が求められている。しかし、現実に公的サービスを担う人材不足は深刻化しており、疲弊する職場実態にある中、新型コロナウイルス感染症対策や近年多発している大規模災害に伴う復旧・復興事業など、緊急な対応を要する課題にも直面している。
 こうした地方の財源対応について、政府はいわゆる「骨太方針2018」で、2021年度の地方財政計画まで、2018年度の地方財政計画の水準を下回らないよう、実質的に同水準を確保するとしている。実際に2020年度地方財政計画の一般財源総額は63兆4318億円、前年比1.2%増と、過去最高の水準となった。しかし、人口減少・超高齢化に伴う社会保障費関連を始め、予期せぬ感染症による地方の財政需要に対応するためには、さらなる地方財政の充実・強化が求められている。
 よって、国におかれては、2021年度の政府予算と地方財政の検討に当たっては、歳入・歳出を的確に見積もり、地方財政の確立を目指すよう、次の事項の実現を強く求める。
1 社会保障、感染症対策、防災、環境対策、地域交通対策、人口減少対策など、増大する地方自治体の財政需要を的確に把握し、これに見合う地方一般財源総額の確保を図ること
2 とりわけ、子育て、地域医療の確保、介護や児童虐待防止、生活困窮者自立支援など、急増する社会保障ニーズへの対応と人材を確保するための社会保障予算の確保及び地方財政措置を的確に行うこと
3 新型コロナウイルス感染症対策については、2021年度においても、感染拡大に備えた医療提供体制の強化や経済・雇用情勢に即した追加の経済対策を臨機応変に実施し、その際、地方の対策に必要な経費は、国の責任において十分な財源を確保すること。また、経済活動の著しい停滞により、地方税の減収も予想されることから、地方の歳入に不足を来さないよう、地方消費税を含めて減収補填対策を講ずること
4 2020年度から始まった会計年度任用職員制度に要する経費については、地方財政計画において増額計上されたところであるが、引き続き所要額の調査を行い、増加分についても地方財政計画の歳出に確実に計上すること
5 地域間の財源偏在性の是正に向けては、偏在性の小さい所得税・消費税を対象に国税から地方税への税源移譲を行うなど、抜本的な改善を行うこと。また、各種税制の廃止、減税を検討する際には、自治体財政に与える影響を十分検証した上で、代替財源の確保を始め、財政運営に支障が生じることがないよう対応を図ること
6 地方交付税の財源保障機能・財政調整機能の強化を図り、市町村合併の算定特例の終了への対応、小規模自治体に配慮した段階補正の強化など対策を講ずること
7 依然として4兆5000億円強と前年度を超える規模の財源不足があることから、地方交付税の法定率を引き上げ、臨時財政対策債に頼らない地方財政を確立すること

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

 令和2年6月24日

福岡県議会議長 栗原 渉  

衆議院議長 大島理森 殿
参議院議長 山東昭子 殿
内閣総理大臣 安倍晋三 殿
財務大臣 麻生太郎 殿
総務大臣 高市早苗 殿
経済産業大臣 梶山弘志 殿
内閣官房長官 菅義偉 殿
内閣府特命担当大臣 西村康稔 殿
(経済財政政策)
内閣府特命担当大臣 北村誠吾 殿
(地方創生規制改革)