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「九州の自立を考える会」第15回広域行政セミナー

 令和元年12月2日、本県議会議員をはじめ、九州の政財界の有志を会員とする「九州の自立を考える会」(会長:藏内勇夫議員)の第15回広域行政セミナーが福岡市内で開催され、栗原渉議長が出席しました。

 はじめに、九州の自立を考える会の原口剣生副会長から、「3年続けて九州を集中豪雨が襲い、大変な被害が出た。これは単県だけで補うことはできない。当会があることによって、九州は一つという形で災害対策をとることができ、数多くの地方分権、地方創生に関わる政策も訴えていくことができる」との開会の挨拶がありました。

 次いで、主催者を代表して藏内会長から「令和という新しい時代を迎えた。早速5月に当会でシンポジウムを行い、奈良大学の上野誠先生に講演をいただき、また、上野先生と島谷九州国立博物館長、大曲福岡県副知事にパネラーとして討論をいただいた。令和という時代は、文化を振興し、国をまとめていこうという意味も込められているということで、いい勉強になった。
  国の財政、借金が大きく膨らんでいる。このような状況で、国土強靭化など様々な課題がある。どこで財源を補うか。これは新しい日本の形をつくる地方分権を実現させる以外に方法はない。国のトップリーダーにはこのことを再度認識していただき、新しい日本をつくっていただきたい。そのために我々はしっかりと下支えをしていかなければならないと思っている」と挨拶がありました。


原口副会長挨拶

藏内会長挨拶

 栗原議長は、「8月の大雨災害を受け、九州各県議会議長会の会長として、長崎、佐賀両県議会議長と一緒に、政府に対し早期の激甚災害の指定及び被害への支援について要請を行った。11月には、九州各県議会議長会全員で政府に対する災害、防災・減災等についての要請活動を行った。引き続き、九州各県議会と連携しながら本県の総合的な防災対策をはじめ、県の振興に資する政策のさらなる充実のために積極的に取り組んでいきたい」と挨拶しました。
  また、小川洋福岡県知事から、「(九州の自立を考える会からの政策提言事項である九州ロゴマークについて)九州の自立を考える会におかれては、新たなシンボルバッジとしてロゴマークを使っていただくということで、大変心強く、ありがたく思っている。これからも九州一体となって実施する行事でこのマークを積極的に活用し、九州の魅力、活力、一体感を広く伝えていくことによって、九州のブランド力を高めていきたい」との挨拶がありました。


栗原議長挨拶

小川福岡県知事挨拶

 その後、在福岡米国領事館首席領事のジョン・C・テイラー氏が「日米経済協力と九州」との演題で講演されました。
 講師は、まず、世界の面積及び人口で半分以上、世界貿易の3分の2を占め、その重要性が日々増しているインド太平洋地域における米国の「自由で開かれたインド太平洋」戦略を話題とし、同地域では巨額の新規インフラを必要としているが、その投資は、効率的かつ持続的な成長発展と社会発展に寄与する(近江商人がいう)「三方よし」のものでなければならず、日米の投資であればそれが実現可能であるが、一方、中国の一帯一路構想には、主権侵害、透明性の欠如、債務の罠、地元利害への配慮欠如、環境汚染、腐敗の助長等の問題点があることを一般には知られていない多くの実例を挙げて詳しく説明されました。大変興味深い内容で、テイラー氏の「平和で安定した世界を実現するためには、新興国とともに、共通の利益と価値観を前進させる日米のパートナーシップの重要性がかつてないほど高まっている」との言葉に会場は大いに賛同していました。また、話題は、日本の農産物や海産物の輸出競争力が増進し、その多くは九州からであること、熊本や大分産の大麦から作られた青汁や焼酎、福岡産の太秋柿が米国で販売されていること、九州からの和牛の輸入が大変増えていることや九州、特に福岡を拠点とした会社で、将来有望なスタートアップ企業が次々と登場していること等の紹介に及び、九州の産業や起業家への期待感を示されました。
 最後に、米国のスポーツ産業についても紹介があり、日本では想像できないほど(5,200億ドル)のビッグビジネスで、大学スポーツでさえ日本のスポーツ産業全体の5倍の規模であること等、その実情や人気の秘密等についてもお話しいただきました。


会場の様子

講師:ジョン・C・テイラー氏

 閉会に当たり、吉村敏男副会長が、「国が進めている(行政サービスの新しい枠組みである)「圏域」を作っていく動きは、権限と財源の移譲が議論に入っていないので、平成の大合併の焼き直しになるおそれがある。そういう改革では地方は再生できないという声をあげることが我々の役割である」との挨拶がありました。

 
吉村副会長挨拶