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特別養子縁組制度の利用促進に向けた民法の改正を求める意見書

 近年、児童虐待は大きな社会問題となっており、平成28年度に全国の児童相談所で対応した相談件数は過去最高の12万2568件となり、要保護児童数も4万5千人に上っている。
 こうした中、これらの社会的養護を必要とする子どもについて、家庭的な環境で養育することが必要との観点から、今般、厚生労働省の有識者検討会において、「特別養子縁組制度の利用促進の在り方について」が取りまとめられ、年齢要件を引き上げることや審判の申立権者に児童相談所長を加えること、また、実父母の同意の撤回を制限する仕組みを導入することなどについて議論が整理され、これを受けた法務省において、利用促進に向けた民法改正の議論が始まったところである。
 この特別養子縁組制度は、家庭裁判所の審判により養子縁組が成立した場合、養子は戸籍上養親の子となり、実父母との法的な親子関係は消滅するため、実父母による養育よりも養父母による養育が、将来にわたり子どもの福祉のために有益であることが確実である場合に認められるものである。
 児童虐待により実父母と暮らせない子どもにとって、新たな家庭と親が与えられ、安定した親子関係が育まれる重要な制度であるが、子どもの出自を知る権利をどう保障するかや、年齢要件が障壁となり縁組が成立しない事例があるなど、利用促進のためには課題も多い。
 よって、国におかれては、これらの課題解決のための議論を早急に進め、子どもの最善の利益を最優先とする観点から、特別養子縁組制度の利用促進に向けた民法の改正を早期に実現するよう強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

  平成29年9月28日

福岡県議会議長 樋口明

 衆議院議長 大島理森 殿
 参議院議長 伊達忠一 殿
 内閣総理大臣 安倍晋三 殿
 総務大臣 野田聖子 殿
 法務大臣 上川陽子 殿
 厚生労働大臣 加藤勝信 殿
 内閣官房長官 菅義偉 殿
 一億総活躍担当大臣 松山政司 殿