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「顧客からのハラスメント」の抜本的な対策を求める意見書

 近年、小売店や飲食店などで、従業員や商店主などが客からの暴言や、暴力などを振るわれ、ストレスを抱えるなど、いわゆる「顧客からのハラスメント」が問題となっている。
 2017年版「過労死等防止対策白書」によると、外食産業の労働者のうち、顧客からの理不尽な要求・クレームに苦慮することが「よくある」、「たまにある」と回答した者の割合が44.9%に達することが報告されている。また、厚生労働省が2018年1月に行った企業ヒアリングでは、顧客等による執拗な叱責や、脅迫、不退去、暴力に加え、SNSを用いた中傷行為など、企業全体の評価もおとしめられるような事例も報告されている。
 このような問題を受け、昨年12月の厚生労働省の労働政策審議会雇用環境・均等分科会において、「顧客等からの著しい迷惑行為については、指針等で相談対応等の望ましい取組を明確にすることが適当である」との報告をまとめている。
 一方、国民の消費生活の安定と向上を目的として、2012年に「消費者教育の推進に関する法律」が制定され、消費者教育の推進が図られているが、悪質なクレームの発生を抑止し論理的消費行動を喚起する取組は特段行われていない。「サービスを提供する側と受ける側がともに尊重される消費社会」をつくるためには、論理的な消費行動を促す具体的な対策が不可欠である。
 現在、「顧客からのハラスメント」を防ぐための法律や指針は存在しておらず、その結果、働く魅力を阻害し働き手や、後継者の担い手不足をもたらす原因ともなっている。
 よって、国におかれては、次の事項について適切に対策を講じるよう強く求める。
1 「顧客からのハラスメント」から労働者や事業主を守るために、法整備を含めた、より一層の取組を実施すること
2 「顧客からのハラスメント」及びその対策に関する実態調査・研究を実施すること
3 倫理的な消費行動を促すための啓発や教育の活動を推進すること

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

  平成31年2月21日

福岡県議会議長 井上順吾

 衆議院議長 大島 理森 殿
 参議院議長 伊達 忠一 殿
 内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
 法務大臣 山下 貴司 殿
 厚生労働大臣 根本 匠 殿