トップページ > 本会議の情報 > 平成28年12月定例会 >骨髄移植ドナーに対する支援の充実を求める意見書

骨髄移植ドナーに対する支援の充実を求める意見書

 骨髄移植や末梢血幹細胞移植は、白血病等の難治性血液疾患に対する有効な治療法である。わが国では、公益財団法人日本骨髄バンクが主体となり、 骨髄等の提供を広く国民に呼びかける骨髄バンク事業が実施され、平成28年9月末現在でのドナー登録者数は46万5255人となっている。一方、登録者数が減少傾向にある上、満55歳の誕生日で登録取消となり、 その取消数は増加傾向にある。
 こうした中、患者とドナーとの白血球の型が一致するHLA適合率が、平成27年時点で、95.9%と高いにもかかわらず、実際に移植に至るのは、 54.6%にとどまっていることが重大な課題として認識されている。その背景として、ドナー側の健康上の理由に加え、骨髄を採取する際は通常3泊4日の入院、 末梢血幹細胞提供の場合3から4日の通院の後、1泊2日の入院が必要になるため「仕事を休みにくい」といった事情があることも指摘されている。
 併せて、骨髄バンク事業では、ドナーの負担軽減のためのさまざまな取組が行われ、骨髄等の提供に必要な検査・入院等の費用が不要であるとともに、 万が一、健康障害を生じた場合でも、日本骨髄バンクによる団体傷害保険が適用されているが、ドナーが検査や入院等で休業した場合の補償については行われておらず、 ドナーが多くの患者に安心して骨髄等を提供できるような仕組みづくりが喫緊の課題となっている。
 よって、国におかれては、骨髄移植ドナーに対する支援の充実を図るため、次の事項について特段の措置を講じられるよう強く要望する。
1 国として、ドナーが骨髄等の提供に伴う入院、通院、打ち合わせ等のための休業補償制度を創設すること
2 国が事業主向けに策定した「労働時間等見直しガイドライン(労働時間等設定改善指針)」の中で、企業等におけるドナー休暇制度の策定を明示するなど、企業等の取組を促進するための方策を講ずること
3 がんや骨髄移植に関する正しい知識を得られるよう、若年層へのがん教育並びに国民への啓発をさらに推進すること

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

  平成28年12月20日

福岡県議会議長 中尾正幸

 衆議院議長 大島理森 殿
 参議院議長 伊達忠一 殿
 内閣総理大臣 安倍晋三 殿
 財務大臣 麻生太郎 殿
 厚生労働大臣 塩崎恭久 殿