トップページ > 本会議の情報 > 平成26年6月定例会 >軽度外傷性脳損傷に関する労災認定基準の改正および教育機関への啓発・周知を求める意見書

軽度外傷性脳損傷に関する労災認定基準の改正および教育機関への啓発・周知を求める意見書

 「軽度外傷性脳損傷」(MTBI)は、交通事故や高所からの転落・転倒、スポーツ外傷等により頭部に衝撃を受け、脳内の情報伝達を担う神経線維である「軸索」が断裂する等により発症する病気である。
 2007年、世界保健機関(WHO)の報告によれば、年間約900万人の患者が発生していると推測されており、同報告から推計すると、日本には過去20年間だけでも数十万人が発症していると考えられる。
 症状は頭痛のほか、手足の痛み、運動機能の麻痺、味覚異常、排尿や排便の障害、睡眠障害など多岐にわたり、記憶力や判断力の低下に悩む患者もいる。最初はむち打ち損傷など首のけがと診断され、軽く扱われることが多く、このため、適切な治療の遅れや、十分な事故補償を受けられないといった問題が指摘されている。これは、磁気共鳴画像装置(MRI)等の画像検査では異常が見つかりにくいためで、労災保険の補償対象にならないケースが多く、患者が働けない場合には、経済的に追い込まれるケースも多々あるのが現状である。
 通学路での交通事故やスポーツ外傷が多発している昨今、子どもたちがMTBIを発症する可能性も高くなっている。
 よって、政府におかれては、次の事項について適切な措置を講じられるよう強く要望する。                  
1 MTBIのために働けない場合、労災保険の障害(補償)年金が受給できるよう、労災認定基準を改正すること
2 労災認定基準の改正に当たっては、不正防止のため、画像検査に代わるMTBIの判定方法として、他覚的・体系的な神経学的検査を導入すること
3 教育機関へMTBIに関する啓発・周知を図ること

以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

  平成26年6月24日

福岡県議会議長 加地邦雄 

 内閣総理大臣 安倍晋三 殿
 文部科学大臣 下村博文 殿
 厚生労働大臣 田村憲久 殿