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身近な地域で出産できる助産システムの実現と妊婦健診、出産費用の公費負担による無料化を求める意見書(平成22年10月8日)

 全国で産科と小児科の医師、分娩を取り扱う病院・診療所が減り続け、拠点病院への産科の集約化が進められた。しかし、地域によってはかえって、産科の空白地域が広がり、妊婦が出産する病院を探すことさえ難しくなっている。また、集約化された拠点病院では、これまで扱ってきたハイリスク出産や治療に加えて、正常分娩までが集中し、新生児集中治療管理室や母体・胎児集中治療管理室の病床不足、それを扱う医師やスタッフの不足が深刻化している。
 一方、緊急搬送される妊婦には、妊婦健診を受けていない「飛び込み出産」も多く、未受診の原因の多くが経済的理由であるとされている。妊婦健診は出産までに14回受けることが望ましいとされ、5回分は国の財政措置が地方交付税によって行われ、その運用は市町村が行っている。一昨年から残り9回分について、地方財政措置が行われるようになったが、都道府県による基金創設など、仕組みが複雑な上、2年間の期限付き措置となっている。
 出産は、母体と胎児の命にかかわる問題であり、安心して出産できる助産システムをつくり、妊娠出産の費用は国の負担か、公的保障を行うべきである。
 よって、政府におかれては、下記事項を実施するよう強く要望する。

1 誰でもどこでも最低14回の妊婦健診が受けられるよう、公的保障を実現すること
2 出産にかかわる費用は、公費負担の制度を確立し、無料化を実現すること
3 身近な地域で出産できる安心・安全の助産システムをつくること。そのために、医師を確保するとともに、正常な妊娠出産、産後と育児のケアを担える助産師の専門性を生かす職域の確立を図ること
4 「周産期医療ネットワーク体制」の充実とその情報システムの構築に向けて、自治体へ国の財政投入を行うこと

  以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

 

  平成22年10月8日

福岡県議会議長 田中 秀子   

 

内閣総理大臣 菅 直人 殿
総務大臣 片山 善博 殿
財務大臣 野田 佳彦 殿
厚生労働大臣 細川 律夫 殿