「後期高齢者医療制度」に関する意見書(平成21年10月13日)
新政権により、後期高齢者医療制度の廃止が明らかにされている。
この後期高齢者医療制度については制度実施に際しての説明の不十分さ、とりわけ年金から保険料を引き去ることや、これまでの医療保険制度では負担のなかった被用者保険の被扶養者であった高齢者にも保険料負担が生じることなどから、当初こそ確かに混乱と反発も見られた。
しかしながら、この制度はもともと従来の老人保健制度の抱えた問題点を解決し、高齢者医療を安定的に支え、国民皆保険制度を将来にわたって維持できるようにするために昨年4月より施行されたものであった。
その後、低所得者に対する保険料のさらなる軽減や不満を呼んだ年金引き去りに加えて、口座振替による保険料納付の選択も認めるなど種々の改善策の実施などにより、施行からほぼ1年半を経て、現在では制度もほぼ軌道に乗り、定着し始めていると判断している。
厚生労働大臣の発言通りに廃止された場合、これまでに制度構築に要した多額の費用と、都道府県、広域連合、市町村の努力を無にすることはもとより、老人保健制度の問題点の解決を遠ざけて再び失速し、高齢者や制度を実施する現場に大きな混乱が生じることが懸念される。
また保険料負担の増加などにより不安を増大させ、また高齢者の方の安定的な医療の確保を困難にすることは容易に予想されるところである。
よって、政府におかれては、後期高齢者医療制度を堅持の上で、制度の安定化と改善、とりわけ公費負担の大幅拡大などに取り組み、引き続き高齢者の負担軽減に努められるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
平成21年10月13日
福岡県議会議長 今林 久
内閣総理大臣 鳩山 由紀夫 殿厚生労働大臣 長妻 昭 殿