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ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV―1)関連疾患に関する意見書(平成20年10月9日)

 ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV―1)は、致死率が高い「成人T細胞白血病(ATL)」や、排尿、歩行障害を引き起こす「せき髄疾患(HAM)」の原因ウイルスであり、ウイルス感染者(キャリア)は全国で120万人に上ると推定されている。ATLで年間約1,000人が命を落とし、HAM発症者は激痛や麻痺、歩行障害に苦しんでいるが、いまだに根本的な治療法は確立されていない。
 このウイルスは輸血や性交渉により、また母乳を介して母親から感染するが、このうち輸血による感染は、献血時の抗体検査が1986年11月から導入され、新たな感染はほぼなくなっている。しかし、ウイルスに感染してから発症するまでに40年から60年と期間が長いため、母親がキャリアであると知らずに子どもに授乳し、後に自身が発症して初めて我が子に感染させてしまったことを知るケースがある。このため、妊婦健康診査時に抗体検査を実施し、陽性の場合は授乳指導を行い、感染拡大を抑制している自治体もある。
 HAMについては平成21年度から難治性疾患克服研究事業の対象疾患に指定されることになり、今後、治療法の確立へ向けた研究促進が望まれる。
 よって、政府におかれては、ヒトT細胞白血病ウイルス1型関連の疾患の予防、感染の拡大防止を推進するため、下記の項目について早急に実現されるよう強く要望する。

1.潜在患者の把握など実態調査を行うこと
2.医療機関等へのHTLV―1に関する情報を周知徹底すること
3.治療研究の促進及びワクチンの開発を行うこと
4.ウイルス感染者の相談体制のより一層の充実を図ること
5.発症者への支援、福祉対策を推進すること

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

 平成20年10月9日

福岡県議会議長  貞末 利光

内閣総理大臣  麻生 太郎 殿
厚生労働大臣  舛添 要一 殿